概要
発祥はインドであるが日本ではタイ米と呼ばれている。実際に国際市場ではタイから輸出される米が圧倒的に多いが、インドシナやインドネシアなどから輸出される米も増加している。
戦後は平成の米騒動でタイから輸入されるまでインディカ種の米に触れる機会が無かったため、インディカ種=タイ米と呼ばれるようになったと思われる。
調理法
粘り気が無くパサパサとしており、日本米(ジャポニカ米)と同じように炊飯器で炊きあげ単体で食べると全然おいしくない。古くは「南京米」と呼ばれ「不味い米」の代名詞と化していたが、平成米騒動の際、タイ米に適した調理法が知られず戦後の外米トラウマを再演させる結果となった。牛丼屋にはじまる外食チェーンではコスト上の問題から通常の白米と混合して提供したものの、固い米質は特に牛丼で行われる急いでかき込む食べ方をすると、のどに頻繁に引っ掛かり、非常に食べづらく、かつ不快なものであった。当時は『美味しんぼ』などでタイ米の美味しい食べ方が啓蒙されたが、結局日本人の間に「外米=まずい」という先入観だけを残し、タイ米に適した調理法は定着しなかった。
本来はゆでこぼしたり、味をつけた煮汁と一緒に煮込み、リゾットやパエリア、ピラフのような炊き込みご飯のようにして食べられる。タイカレーのようなサラサラとした汁料理がよく合う他、炒飯にするのも良い。しかし、米のゆで汁が水質汚染の元凶となっているということから、インドや東南アジアでも近年は炊飯器で炊かれることが多くなっている(インディカ米用の炊飯器は、ジャポニカ米向けと加熱パターンを変えているが、ゆでこぼしたものに比べどうしても味は落ちるようである)。
実は、平成の米騒動の時日本が輸入したタイ米は、一般庶民が購入できるコメとしては最上級の、「Bランク」のものであった(「Aランク」はいわゆる各国王侯貴族がほぼ全量買いきっているため)。またその年コメが不作だったのはいつ梅雨明けしたか結局わからなくなるほどの長雨の結果であり、水不足では全然なかった。そのため、「湯取り(茹でこぼし)」調理法に特段の支障事由もなく、周知不足が不評の原因と言っていい。
2020年代になってからは企業努力も相まって、長粒米モードの炊きこみが可能な炊飯器が少数だが流通しており、美味しく食べる方法が広がっている。
現在は「ナンありません」と拘ったベンガル料理店『Puja』のインパクトからかタイ米の中でもバスマティライスの知名度は比較的向上している。