概要
SF映画「STARWARS」のスピンオフ作品群に登場するライトセーバーの一種。
劇中に登場する一般的なライトセーバーよりもかなり前の時代(EP1よりも1000年以上前。ゲーム「オールドリパブリック」で描かれている古共和国時代)に作られた古いタイプのセーバーであるが、ジェダイよりもマンダロリアン文化と深い繋がりがあることが特徴という異色の一振りである。
特徴
その名前が示す通り、生成される光刃は黒いが、刀身は金属製の刀剣と似通っており切断可能な方向が限定されている(側面も接触した物体を焼くが、その威力は非常に低く物体を溶断する程ではない)。刀身の形状が金属製の刀剣と似通っている、切断可能な方向が限定されているなど、レジェンズ作品に登場したブロードセーバーとの共通点が多い。
切断方向が限定されている為か、威力は通常のライトセーバーよりも高いと思しき描写がある(「マンダロリアン」の一幕で、通常のライトセーバーを受け止めても赤熱しなかった純ベスカーの槍が赤熱していた)。
ヒルト(日本刀でいうところの柄の部分)の断面は円形のものが多い通常のライトセーバーと異なり、楕円形になっている。
起動中の駆動音も異なり、光刃展開中の駆動音は通常のセーバーよりも高く、振り回した際の音も通常のセーバーが「ブォン…ブォン…」と低めであるのに対し、ダークセーバーは「ヒュン…ヒュン…」と甲高いものとなっている。
また、このセーバー唯一の特徴として、コアであるカイバークリスタルに製作者であるターの残留思念が含まれている事が挙げられる。その為、クリスタルが認めた者でなければまともにダークセーバーを振るう事はできない。なお、認めてもらう条件は「マンダロア(マンダロリアンの指導者。ターもかつてはそうだった)に相応しい戦闘能力と指導力を兼ね備えている」事。認められていない者がダークセーバーを振るおうとすると、刀身がとんでもない重量物に感じるらしい(認められなかった者の一人であるディン・ジャリン曰く「刀身がクソ重くてまともに振るえない」)。また、認められた者が振るえば凄まじい戦闘能力を使い手に付与する(実際、シディアス相手に防戦一方だったモールがダークセーバーを抜いた途端、互角以上に斬り合っている)。
なお、「刀身が重く感じる」というのは非フォースユーザー限定らしく、認められていない者が振るったとしてもその者がジェダイだった場合、普通のライトセーバーとして使える模様。ター・ヴィズラもやはりジェダイである事の証左と言えるだろう(ジェダイは非フォースユーザーがライトセーバーを振るう事を「極めて不遜な行い」と考えている為)。
だが、ダークセーバーの最大の特徴は、その血塗られた歴史である。
血塗られた歴史
製造〜ヴィズラ氏族の家宝へ
ダークセーバーは、そもそもは史上初のマンダロリアン出身のジェダイであるター・ヴィズラが生み出したライトセーバーであった。
そもそもジェダイは自分のセーバーは自作するという習慣があったため、この時点においてはダークセーバーは数多くのセーバーと同じく、1人のジェダイが組み上げたセーバーの一本に過ぎず、ター・ヴィズラ死後は長くコルサントのジェダイ聖堂で保管されていた。
だが、その後勃発した古共和国の内乱(クローン戦争の約1000年前に起きた戦乱)の混乱に乗じ、ター・ヴィズラの子孫であるヴィズラ氏族の手で盗み出されてしまう。ヴィズラ氏族はこのセーバーを片手に他の氏族を圧倒。一時期は指導者として惑星マンダロアを統一したこともあった。
そしてダークセーバーはヴィズラ氏族の家宝として歴代当主に伝えられ、他のマンダロリアンからも「歴史と名誉のある武器」として認識されるようになっていったのである。
なお、クローン戦争時のヴィズラ家当主であるプレ・ヴィズラの語るところでは、歴代当主の中にはこのセーバーでジェダイと争った者もいるらしい。
クローン戦争最中の混乱
だが、クローン戦争の最中転機が訪れる。
当代のヴィズラ家当主プレ・ヴィズラは、当時協力関係だった元シス卿モールに裏切られ、マンダロア指導者をかけた決闘に敗北。ダークセーバーも奪われ、そのまま奪われたセーバーで斬首されるという非業の死を遂げる。
モールは奪ったダークセーバーを掲げ、自分が真のマンダロアの指導者であることを宣言。ヴィズラの副官だったボ=カターン・クライズの一派が離反するも、その後も表向きはアルメック首相をリーダーとしつつ、裏では過激派組織「デス・ウォッチ」と共に統治者として君臨することとなった。
なお、モールはこのセーバーを使って自らが蹴落としたサティーン・クライズ女公爵を(オビ=ワン・ケノービへの見せしめもかねて)処刑している。
だが、クローン戦争終戦間際に共和国の介入によりアルメックは死亡、モールも逮捕され、ボ=カターンが新たに摂政としてマンダロアの指導者に就任。しかし、モールが逮捕される際にもダークセーバーは押収されず、その所在は不明なままだった。
指導者のシンボルへ
再びダークセーバーが歴史の表舞台に登場するのは、約15年後。
モールに連れられ惑星ダソミアを訪れたエズラ・ブリッジャー、サビーヌ・レン、ケイナン・ジャラスがモールのアジトにて保管されているダークセーバーを発見。色々あって、脱出する際にサビーヌが持ち出したことで、セーバーは再びマンダロリアンの手に戻ったのであった。
そして、マンダロリアンの一派閥「ジャーニーマン・プロテクター」に属するフェン・ラウからダークセーバーの歴史を聞いたサビーヌは、このセーバーを「ふさわしい人物」に譲ることを決意。
その頃、かつて摂政としてマンダロアを統治し、現在は帝国の統治と戦っているボ=カターンとサビーヌが共闘した折、「かつて正当な統治者だった」「有力な氏族の出身(※)」「リーダーとしての資質」「マンダロア解放のための志の高さ」などを加味してサビーヌはボ=カターンにセーバーを譲渡。
受け取ったセーバーを掲げたボ=カターンは他の氏族に対しマンダロア解放のため戦うことを宣言。それに集った氏族の面々が忠誠を誓い、ここに" 指導者のシンボル" としてのダークセーバーが誕生したのであった。
...のだが、実はこの裏で色々といざこざがあったらしく、特に「サビーヌが決闘を経ずにボ=カターンにセーバーを譲渡した」ことに関する継承の正当性の有無の論争は、その後のボ=カターンに暗い影を落とすこととなった。
※彼女の属するクライズ氏族はマンダロリアンの中でも特に有力な氏族の一つであり、彼女の実姉サティーン・クライズはモールやヴィズラに追い落とされるまでは正当な統治者だった。また、ボ=カターンも他のマンダロリアンからは「レディ」の敬称で呼ばれている。
帝国の簒奪と奪還への道のり
ダークセーバーを手に各氏族を従え帝国の占領と戦うボ=カターンだったが、帝国の治世末期に惑星マンダロアは見せしめとして焦土作戦の対象となってしまう。後世「千の涙の夜」と呼ばれるこの大虐殺の際、ボ=カターンはダークセーバーを帝国軍に奪われ、セーバーはモフ・ギデオンのものとなったのだった。
その後、マンダロアの仇討ちとダークセーバー奪還に燃えるボ=カターンは「ダークセーバーの奪還」を大義名分にあらためて抵抗組織を結成。
ディン・ジャリンらの協力もあってギデオンの旗艦の場所を特定し、奇襲作戦を決行。ついにギデオンを捕えることに成功した。だが、ギデオンはボ=カターンより先にディンと決闘して敗れており、ダークセーバーの正当な所有者はディンとなっていた。
ディンは「自分には必要ない」としてボ=カターンに渡そうとしたのだが、サビーヌとの一件での経験からボ=カターンは受け取ることができなかった。
そして、ギデオンを捕らえておきながら、ダークセーバーを奪還できなかったボ=カターンは部下たちに見限られてしまい、セーバーの所有者となったディンもその扱いに苦労することとなった。
そして...
ここから先、「マンダロリアン」season3のネタバレ注意
その後、素顔を晒したという戒律破りの贖罪のため惑星マンダロアの「鉱山の泉」を目指したディンは、鉱山内で未知の敵に襲われ捕縛されてしまう。
一度は彼の要請を突っぱねたボ=カターンだったが、彼からの救援要請を受けすぐに現場に急行。ディンを捕らえている敵を倒し、彼を救ったのだった。
その後、惑星マンダロア解放のため元部下たちの説得に向かったボ=カターンに同行したディンは、彼女も配下だった「マンダロリアン艦隊」メンバーにこう宣言した。
「俺はこのセーバーをボ=カターンに渡す。だが、ただ渡すわけじゃない」
「俺は贖罪のためマンダロアの鉱山に入ったが、そこで敵に襲われ、捕らえられた」
「その敵をボ=カターンが倒し、俺を救ってくれた」
「俺を負かした敵を、ボ=カターンが打ち負かした。ならばこのセーバーは彼女が持つべきだ」
「なんか文句あるか?」
(以上、ディンのスピーチを滅茶苦茶要約 & 平易にしたまとめ)
ディンの語ったよく言えば絶妙な落とし所、悪く言えば超絶屁理屈を聞いた艦隊メンバーは納得し、セーバーは再びボ=カターンの下へ戻ってきたのだった。そしてセーバーを再び手にした彼女に臣従を誓ったマンダロリアン艦隊は、「チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ」のメンバー、そして荒廃した惑星マンダロアに潜伏していた「ナイト・アウル」一派と協力し、ついに惑星マンダロア奪還に動き出した。
だが、その戦いの最中...ダークセーバーは破壊されてしまった。
ボ=カターンが因縁の相手モフ・ギデオンとの一騎打ちに挑んだ際、ギデオンが身に纏った新型ダークトルーパースーツの驚異的なパワーにより、握りつぶされてしまったのである(物理)。
「セーバーがなければマンダロリアンは団結はできなかろう」と嘯くギデオンだったが、その直後ディン、グローグー、ボ=カターンの連携攻撃により敗北、そのまま爆炎に飲まれて焼死。
マンダロリアンたちの悲願であった故郷・惑星マンダロア解放はついに果たされたのだった。
この戦いによりセーバーを永遠に失ったボ=カターンだったが、そんな彼女を配下のマンダロリアンたちは指導者として認め、「ザ・ウォッチ」の首領アーマラーから大工房再稼働セレモニーでの炉心点火役を任された彼女を籠手を打ち鳴らし(マンダロリアン式の拍手)、「マンダロアのために!」の斉唱で迎えた。
ここに、ダークセーバーの血塗られた歴史は幕を閉じ、マンダロリアンたちは新たな歴史を築き始めたのであった。