ダース・ベインとは、SF映画『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品に登場するシスの暗黒卿である。
『ファントムメナス』のおよそ1000年前に活躍した人間の男性であり、映画本編には全く登場しないが、生前の彼の行動はその後のシスの歴史、引いては映画で描かれている時代の銀河系の歴史に多大な影響をもたらした。
なお、現在、スター・ウォーズのスピンオフ作品はフォースの覚醒以降に制作された映画に繋がる正史(カノン)とそちらに繋がらないパラレルワールドを描いたレジェンズ(非正史)が存在するが、本記事では正史(カノン)での設定を中心とし、両方の設定について記述する。
概要
彼がシスの暗黒卿となった時代、シスはジェダイと同様に数多くの人数が存在していた。
しかし、協調や平和を重んじるジェダイと異なり、シスは個人の欲望や利益を最優先に行動する事を教義としており、ジェダイとの戦いだけでなく仲間割れや下克上により他のシスとの戦いで命を絶たれる者も珍しくなかった。
そうして宗教組織としてのシスは内部崩壊を起こし、ジェダイとの戦いでダース・ベインを除いて全滅してしまったのである。
ベインはこうした出来事への反省から、「シスの正式な教義を学び継承するシスの暗黒卿は師と弟子の2名までしか同時に存在してはならない」とする「2人の掟」や「その2名により共和国やジェダイに存在を悟られぬようシスを細々と存続させつつ、共和国の転覆とジェダイの滅亡を実現させるための地盤を着実に築き上げる」とする「偉大なる計画」(レジェンズでは「シスの義務」などの呼称でも呼ばれている)といった教義を新たに制定した。
その後、ベインもジェダイとの戦いに敗れ、銀河共和国の人々やジェダイ騎士団の間では一般的にこれによってシスが完全に滅亡したと考えられるようになったが、その前にベインが訓練していた弟子(レジェンズではダース・ザナーという名前が設定されている)は密かに逃げのび、ベインによって改革された新たな教義に基づくシスの系譜を存続させていった。
そしてベインの死からおよそ1000年後、彼の改革はダース・シディアスによるオーダー66の発令と銀河帝国の発足という形で実を結ぶことになる。
正史のアニメ『クローンウォーズ』では、シーズン6第13話「犠牲」に登場。
ヨーダがシス発祥の地であり数多くの古代の暗黒卿が眠る墓所でもある惑星モラバンド(レジェンズでの名前はコリバン)を訪れるという過酷な試練に挑んだ際に、ベインの魂が炎に包まれた亡霊の姿で現れてヨーダの行く手を阻み、彼を自らの弟子とするために誘惑したが、もはや現世に影響をもたらす事のできない幻影であるとして一蹴されてしまった。
ちなみに、この時ベインの声を演じたのは、奇しくも映画でルーク・スカイウォーカーを演じているマーク・ハミルであった。日本語版でも、ルークの吹き替えを担当した島田敏が演じている。