概要
「ルビー・サファイア・エメラルド」「オメガルビー・アルファサファイア」に登場するデボンコーポレーションの社長。「オメガルビー・アルファサファイア」での年齢は52歳。
また、ホウエン地方のポケモンリーグチャンピオンであるダイゴの実の父親でもある。
名前の由来は、アオイ科フヨウ属の植物からなり、リメイク版である「オメガルビー・アルファサファイア」から設定されており、息子のダイゴやオーキド博士、オーキド校長と同様、フルネームの明かされている人物である(アニポケも含めれば、シゲルも含まれる)。
なお、旧作ではグラフィックが一般と変わらなかったのに対し、リメイク版では固有のグラフィックが用意されている。
人物
息子のダイゴと同様、珍しい石を集めるのを趣味としており、デボンコーポレーションの社長室には、自身がプライベートで集めた珍しい石を飾っている程。
リメイク版では、祖父から引き継ぐ形で社長の座に就いたとされており、祖父の代からデボンコーポレーションが発展してきた理由について、「ある物」が関わってきた事実が判明している。
ポケモンリーグのチャンピオンを息子に持っている事もあってか、同じポケモン関連の大企業であるシルフカンパニーの社長に比べると、人物設定が深く掘り下げられている(アニポケに至ってはシルフカンパニー自体が紹介されていない程、不遇となっている)。
劇中の様相
カナズミシティにて、自身の荷物をマグマ団(アクア団)によって奪われてしまった所、主人公の活躍によって荷物は取り戻される事になり、そのお礼として彼(彼女)にポケナビをプレゼントする。
その後、主人公の正義感の強さや真っ直ぐさを見込んだのか、奪われた荷物をカイナシティのクスノキに届けるよう頼んでおり、更にムロじまにいるダイゴにも自身の直筆の手紙を持っていくよう依頼している。
これらを済ませると、そのお礼として主人公にがくしゅうそうちをプレゼントしてくれる事になる。
エピソードデルタでは…
オメガルビー・アルファサファイアにおける殿堂入り後の特別ストーリー『エピソードデルタ』にて、ムクゲや彼の運営するデボンコーポレーションについてクローズアップされる事になる。
ある日、突然トクサネ宇宙センターのソライシ博士から、突然軌道を変えた直径10キロメートルを超える意思を持ったかの様な巨大隕石が、ルネシティ南西の孤島へ向けて落下してくる異常事態となり、これが実現すればホウエンはおろか主人公達が住む星その物が滅亡してしまうという危機的事実を聞かされる。
隕石落下の時間まで刻々と迫る中、ムクゲは世界の滅亡という最悪な事態を避ける為の苦肉の手段として、デボンコーポレーションとトクサネ宇宙センターの共同で、ある「重大な決断」を迫られる事になった。
隕石衝突を回避する為の手段の概要とは、「飛来してくる隕石の軌道上にワープホールを作って隕石をどこかへワープさせる事で世界滅亡の危機を脱する」という物である。
ただし、このワープホールの制御に最も重要となる『通信ケーブル』には膨大なエネルギーが求められる事になり、それに協力すべく主人公やダイゴは石の洞窟や流星の滝に出向いて制御に必要な純度の高い隕石の欠片を集める事となる。
一方、この方法によって利用される事になる、デボンコーポレーションの発展にも関わっていた「∞(むげんだい)エナジー」には、ある重要な秘密も隠されていた。
「ツワブキ社長からある程度は聞いていると思うが今回の計画はロケットの中にあるポケモンの生体エネルギーとキーストーンに秘められた人間の生体エネルギーを掛けあわす―――
つまりメガシンカの時に発生する超大なエネルギーを人工的に作り出すことから始まる
そうして作り出したエネルギーをロケットから宇宙に向けて撃ち出し……そこにワープホールを作りだす……!
ワープホールを隕石の軌道上に作ることでここではないどこかに隕石をワープさせるのが目的なのだよ」
とどのつまり、この∞エナジーの正体とは3000年前遠い地方で起きた大きな戦争を終わらせる為にある男が造りだした最終兵器のエネルギー源だったポケモンの生体エネルギーを元に開発されたエネルギーであり、クスノキ艦長の潜水艇「かいえん1号」のモーターも、∞エナジーを利用した物である。
「ポケモンたちの犠牲によって得られるエネルギー―――そんなものとんでもないと言う人々も多いだろう
でもね、先代の社長であるわしのじいさんはこう思った。
『このエネルギーを活用して人々やポケモンの暮らしを豊かにできないものか』……と」
ポケモンを愛する者から見れば、この∞エナジーの実体を知って感じるであろう想いは、まず「忌避」となってしまうのは、間違いないのかもしれない…。
実際、この∞エナジーの使用を決断したムクゲ本人も、世界を守る為とはいえ使わなければならない事に思う所のある様子を見せていた程である。
しかし、ホウエンどころか「世界の滅亡」という、かつてマグマ団とアクア団によって引き起こされたグラードンとカイオーガ覚醒による災害事件の問題よりも更に大きく上回る危機的問題と直面する中、計画後に多くの者達に非難される可能性も覚悟の上で、ムクゲは∞エナジーを利用した計画を断行する事になった。
だが、自分達の行動を「想像力が足りない」と見なすヒガナの妨害によって、∞エナジーを利用した計画は頓挫。最終的には主人公とメガレックウザの働きにより迫り来る巨大隕石は破壊され、犠牲を出す事なく世界滅亡の危機は去った。
エピソードデルタ後ムクゲは「多くの命を守る為なら多少の犠牲は厭わないという自分の考えは間違っていたのかもしれない」という旨の発言をしている。
「厭わない」とは「ためらわない」という意味である。ムクゲは自分達の作戦で何らかの犠牲が出る事を覚悟していた。では、ここでいう「犠牲」とは何を指すのか。
1:ポケモンの犠牲
ワープ作戦の要である∞エナジーはポケモンの生体エネルギーで構成されている。
ヒガナに次元転移装置を破壊される前には既にロケットには3000年前の戦争で使用された最終兵器以上のポケモンの生体エネルギーが詰め込まれていた。
このエネルギーは緊急用として無理矢理ポケモンから取り出したものなのか、ロケットの燃料用エナジーから流用したものなのか、デボンが貯蔵していたものを提供したのか定かでは無い。
また、詰め込まれているエネルギーでも不足していた場合非常時として更なる生体エネルギーの取り出しに動く事を念頭に置いていたのかもしれない。
いずれも可能性の段階ではあるが有り得るものとして列挙しておく。
2:人間の犠牲
∞エナジーがポケモンの生体エネルギーで構成されている事に注目が集まっているために見過ごされているかもしれないが、ワープ作戦はロケットの中にあるポケモンの生体エネルギーによってワープホールを作るのでは無い。
ロケットの中にあるポケモンの生体エネルギーと人間の生体エネルギーを人工的に掛けあわして作り出す超大なエネルギーによってワープホールを作り出すのだ。
メガシンカと同様の現象を人工的に作り出すとはいえ、必要なエネルギーの種類は変わらない。そして、ポケモンの生体エネルギーはロケットの中にある。
なら、ここで必要になってくるのは最終兵器以上とされるポケモンの生体エネルギーと掛けあわす事ができる程の人間の生体エネルギーである。
メガシンカ現象を沢山分析して来たデボンであれば、ポケモンだけではなく人間から生体エネルギーを取り出す技術を確立させていても不思議ではない。
巨大隕石を飛ばす程のワープホールを作成するために最終兵器以上のポケモンの生体エネルギーを必要とした以上、もう一方の人間の生体エネルギーも莫大に必要となった可能性は勿論ある。
デボンの公式製品である∞エナジーはデボンが製品として普段から貯蔵・保管していたと考える事はできても人間の生体エネルギーを常に貯蔵・保管していたとはすぐには考えられない。
ましてや今回は突如隕石の軌道が変化しての緊急事態である。世界滅亡の瀬戸際で、自社が誇る∞エナジーだけでは事を成せない事態に直面して、
デボンコーポレーションやトクサネ宇宙センターの人々が文字通り己の命を懸けてメガシンカ現象を起こそうとしていた可能性は否定できない。
(現実世界でたとえるなら、自然災害等によって発生した危機に命懸けで対処する者達の姿か)
もしかするなら1と2の両方を覚悟してムクゲやソライシ博士、そしてダイゴ達は懸命に動いていたのかもしれない。
アニメ版
アニメ版の声優は田中正彦。アドバンスジェネレーションの17話に登場。また、側近の秘書としてクロダ(声:小西克幸)がいる。
ゲーム版に比べると、子供好きで茶目な面が描かれており、度々お忍びで街に繰り出しては変な発明品を子供達にアピールしているようだが、失敗する事が多い模様(劇中で見せた缶ジュースを自動的に開けるメカ「はい、どーぞ君」を見せた際は、缶ジュースを握り潰して自身がジュース塗れになるという風体を晒していた)。
ただ、これは決してただの道楽ではなく、発明のアイデアのインスピレーションを得るには、社長室に籠っているだけでは駄目という、発明家として自分なりの信念から来ている。
また、頭脳明晰で記憶力も優れており、社員達の顔と名前もしっかりと覚えている。
自身の発明品のアピールをしていた際、ハルカのポケギアを故障させて途方に暮れていたマサトと遭遇。彼に、デボンコーポレーションに行けば直してくれると教え、そこに現れた から逃走する。ついでにこの際、「デボンコーポレーションはポケモンも生み出す」と語っている。
その後、結局はクロダに捕まって本社に連れ戻された際、デボンコーポレーションを狙っている存在がいるという情報を掴んだジュンサーが訪れ、その隙にまたしても逃走を画策。そこで本社に来ていたマサトと再会し、彼の持っていたポケギアを修理させて、そこで初めて自身がデボンコーポレーションの社長である事実が明かされている。
ポケモンの見る夢を映像化させる装置、ポケモンと会話出来る機械、ポケモンその物になれる機械といった様々な未完成品をマサトに紹介する中、自社が最も開発に力を注いでいる機械であるポケモンを生み出す機械…正確には「化石ポケモンを復元させる機械」を見せるのだが、見覚えのない人物が社内をうろついているのに気付き、マサトと共に追跡する。
追跡した人物のその正体はアクア団のスパイであり、化石ポケモンの復元装置に使われる培養カプセルを持ち出した彼を追って合流したサトシ達と共に追い詰めるが、そこへロケット団三人組が介入。諍いの末に奪われた培養カプセルを取り戻す事に成功する。
その後、ムロじまにいる息子・ダイゴの存在を教え、ムロじまへ向かおうとしていたサトシ達に困った事があったらあってみると良いと助言した。
その際、ポケギアを故障させてしまった事実を知らないハルカ達にポケギアを見せるよう頼まれて困っていたマサトに、こっそりと修理を終えたポケギアを返して彼の面目を守るという粋な計らいを見せている。