概要
物語中盤より登場する、クウガの専用マシンである装甲二輪車。
トライチェイサー2000に、前後に分離・変形したゴウラムが融合合体したもので、仮面ライダーシリーズとしては初となる「複数のマシンが合体してパワーアップするライダーマシン」でもある。
合体前に比べて重厚なフォルムでありながらも、その最高速度は実に400km/hにまで上り、耐久性も大幅に向上。メ・ギャリド・ギとの戦闘においても、相手のトラックによる押し潰しを受けながらも全くの無傷であったほどである。
必殺技として、フロントの一対の角に封印エネルギーを集束、全速力をもって敵に体当たりを繰り出す「トライゴウラムアタック」。単純な破壊力もさることながら、その封印エネルギーの量も膨大であり、ギャリド戦でこの技を繰り出した際には直接本人に命中した訳でないにもかかわらず、これを受けたトラックから溢れ出す封印エネルギーの奔流を受けて爆発四散している。
物語前半におけるクウガの最強戦力というべきトライゴウラムであるが、勿論クウガの変身する各フォームと同様に、トライゴウラムにも無視できないデメリットが存在する。
その一つが、トライゴウラムアタックを使用する度にゴウラムが元の破片状に戻ってしまう、という点である。これはゴウラムの体組織を構成する金属成分が、技の発動の際にエネルギーに転換・放出されるがゆえの現象であり、そのため一度の合体につき一回しか使用できない上、使用後はゴウラムが元通り回復するまでの間、合体自体が不可能となる。
そしてもう一つのデメリットとして挙げられるのが、トライチェイサー2000にかかる多大な負担である。合体している間はゴウラムに合わせる形で、トライチェイサー2000の側も金属部分を始めとした車体の各部形状が変化し、それに伴って排気量までも変わるのだが、このような無茶な変形がトライチェイサー2000に悪影響を及ぼさないはずもなく、合体の度に蓄積されていった著しい金属疲労が後に機能停止という深刻な事態を引き起こすことともなる。
備考
企画当初は「トライゴウラム自体が超古代のメカで、トライゴウラムからゴウラムが分離する」、今風に言えばキャストオフしてバイクになるといった趣のマシンとして設定されていたが、文芸担当からの「超古代にバイクはおかしい」との指摘を受け、トライチェイサーとゴウラムが別々に登場する運びとなった。
ベース車両は合体前とは異なり、ヤマハ・V-MAXを使用。トライチェイサー2000のベース車両であるバンペーラに対し、V-MAXはクルーザータイプの大型バイクであるため、当然ながら元々の構造からして大きく異なっており、前述した「合体中は車体各部の形状も変形する」という設定もまた、ベース車両の変更で生じた構造上の矛盾に対する辻褄合わせによるものと言える。
「ポピニカ DXトライゴウラム」など、商品化に際しても基本的に変形合体ギミックの搭載を前提とするため、こうした矛盾は後年に至るまでつきまとう形となっており、車高を下げる機構を搭載したり(ポピニカ版)一部パーツを差し替えとする(S.I.C.極魂、SO-DO CHRONICLE)といった形で、極力作中イメージに近付ける試みはなされているものの、それでもタイヤ幅の違いなどといった細かな点まではフォローしきれていなかったりもする。V-MAXをベースとした形での商品化も、2023年現在殆ど確認されていない。
デザインを手掛けた野中剛も「トライアル用のバイクがベースであったことから、デザイン的な制約があった」と後年のインタビューで語っている。
2009年放送の『仮面ライダーディケイド』ではゴウラムが原典とは異なる形での登場となったため、トライゴウラムも未登場に終わっている。