メ・ギャリド・ギ
めぎゃりどぎ
『バックします……バックします……バックします……』
「ビゲソ・ゲギゼギ・ビゲソ!(逃げろ、精々逃げろ!)」
「そぉだ、その顔~!!」
「ゴセンゲ・バババサ・パビゲサ・セバギギ!(俺の背中からは逃げられない!)」
未確認生命体(グロンギ)のうち、メ集団に属するヤドカリ種の怪人。警察からは未確認生命体第24号として扱われている。
怪人態は、一見するとヤドカリというよりは別の虫のようにも見えるデザインだが、よく見ると目元がハサミ、顳顬(こめかみ)にある筋がヤドカリの脚になっている。“ガブルンゲ・ババゾロ・ヅゴドボ(悪夢の背中を持つ男)”という異名の通り、敵や獲物を攻撃する際には背中を向けて後ろ向きに襲いかかるという風変わりな習性を持っている。
戦闘においては胸の鎖を相手に巻きつけ、両手のカッターで敵を切り裂く戦法を得意としている・・・らしいのだが、いざクウガと戦った場面ではそれらを有効に活かしていたとは言い難く、また終始劣勢に立たされていたこともあってか、他のグロンギと比べると格闘は不得手だったのではないかと見る向きもある。
人間態は作業用の道具を装飾品とする半裸の男性。被っているヘルメットをカラフルなテープとゴムホースで飾り、腹には安全ロープを巻き、そして左の上腕には逆向きにした「安全第一」の腕章を、安全ピンで直接地肌に止めておくなど、ファッションセンスの奇抜さにおいてはメ集団の中でも群を抜いたものがある。
リント(人間)を潰し、その感触を味わうことを至上の喜びとしており、古代においては巨大な石のローラーを用いて殺人に及んでいたとされる。後ろ向きで襲いかかるのもそうした嗜好に起因しているものと見られる。
また、ヤドカリのように身体を何かで隠して(包んで)おくことを好む・・・というよりはそうしていないと落ち着かない性分で、現代においても人間の乗り物である自動車、特にトラックを自身の「殻」とし、それを前出のローラーに代わる殺人の手段としても活用した。
トラックへの気に入りようは相当なものがあったようで、ゴオマから「リントの作ったもの」に入っていることを罵られた折には、クラクションで反撃し悶絶させた後に「これは、これで、良いんだ」と満足げな様子を示していた。単にトラックを気に入るだけではなく、その運転方法や周辺機器の操作方法をも、短期間かつ独学で身につけるなど、現代の人間の文化に対する順応性も相応に備えている。
当然、リントの言葉もある程度は喋れるが、グロンギ語での会話も含め、その喋りには片言めいた独特な間合いや区切りが目立つのも特徴である。
初登場となったEPISODE14では、クウガとの戦闘で負傷したメ・ビラン・ギがバルバやゴオマらから嘲られているのを他所に、ふと目についたワゴン車に乗り込み、興味津々な様子でこれを動かそうとする。
無論この時点で運転方法など知らないギャリドは、雨も降っていないのに適当に弄ってワイパーを誤作動させ、『バックします』のアナウンスとともに後方にあった別の自動車に突っ込んでしまう・・・のだが、それすら意に介することなく恍惚の表情を浮かべていた。前述した腕章を安全ピンで地肌に留める、という奇行もこの時のことである。
その後EPISODE15にて、自身にゲゲルの番が回ってきた際には、どこから調達したのか既にトラックに乗り換えており、2000年4月17日に三鷹にてゲゲルを開始。それから翌18日までの間に幕張方面に移動しつつ殺人を重ねていった。目標人数、並びに期間設定については作中では言及されていない。
手口自体は至って単純で、自身の運転するトラックをバックさせ、標的を轢殺するというものであったが、一方で「標的を轢殺した後、何度も何度も轢き直す」「標的を袋小路に追い詰め、塀とトラックの間に挟み込み圧殺する」など、その過程はどう考えても日曜朝の子供向け番組のレベルではない狂気を滲ませ、前回のプレイヤーによる凶行に引き続き視聴者を戦慄させるには十分なものがあった。
とりわけ後者については、壁とトラックとの間に挟まれた女性たちの苦悶と恐怖と絶望の表情を車載モニター越しに見て喜悦の笑い声を上げつつ、トドメだとばかりにアクセルを全開にし、合間に挟まれる『バックします』の音声までもが徐々に歪んでいくなど、前述した狂気をより際立たせる演出がなされている。
車による轢殺という、それまでとは毛色の変わった手口に当初こそ未確認生命体との関係を疑う声もあったものの、三鷹での犯行を付近のセブンイレブンの店員に目撃されていた事により、警察もこれが未確認生命体による犯行であると断定。使用されたトラックのナンバーも特定され追い込みがかけられる中、幕張方面に急行していたクウガが偶然にもトラックを発見、ギャリドはクウガからの追撃を受けることとなる。
千葉市内の工場地帯で追跡劇が繰り広げられる中、ギャリドは突如機能を停止したトライゴウラム(追跡途中で初合体を果たしていた)諸共クウガを得意のバックで轢き殺そうとするが、あわやのところでクウガがトライゴウラムを乗り捨て回避したために失敗してガスタンクに突っ込んでしまい、慌てて全速前進して回避。クウガを捜そうと下車したところでドラゴンフォームに超変身したクウガの強襲を受け、その素早さに翻弄された挙句ドラゴンロッドの一撃を食らったのみならず、折悪しく吹っ飛ばされた先にあったガソリン入りの一斗缶が引火し爆発炎上。ギャリドも敢え無く爆炎の中へと消えていった。
・・・かに思われたが、その後の警察の現場検証では死体は発見されず、さらに付近にはギャリドがマンホールから逃亡したと見られる痕跡も認められた。そして警察の見立て通り、ギャリドはマンホールから下水道を経由して難を逃れており、その後別のトラックを奪ってさらなる犯行を重ねることとなる。
もっとも、この時点でバルバからは中間報告の怠りを理由として失格扱いとされており、新たなプレイヤーとしてガドラも呼び寄せられようとしていたため、目標達成の如何を問わずギャリドによるゲゲルは失敗に終わることが既に確定していた。
それを知る由もなくゲゲルを続けていたギャリドであったが、日没後に再びクウガからの追跡を受け、ここでも轢殺しようとバックさせたトラックを回避されたのみならず、今度は必殺の「トライゴウラムアタック」をトラックの横っ腹に叩き込まれ、横転を余儀なくされてしまう。
辛くもトラックから脱出し、なおもクウガを殺そうと息巻くギャリドであったが、それが墓穴を掘った形となり、そこに車体に刻まれた封印エネルギーのおびただしい奔流が流れ込むことで魔石ゲブロンが起爆、トラックもろとも大爆発した。
クウガの世界において、ズ・グジル・ギに代わり未確認生命体第7号として扱われていた。
ほとんど車外に出る事のなかった原典とは対照的に、自らパトカーをひっくり返すなどして大暴れしていたものの、駆けつけた小野寺ユウスケの変身したクウガとの交戦の末、ドラゴンフォームのスプラッシュドラゴンを胸に受けて爆死した。
その後ン・ガミオ・ゼダが復活を果たした際、彼に殺されグロンギに変化した一般人の中に、ギャリドへと変化した者も複数存在したが、うち一体はディケイドとクウガに襲い掛かりながらもガミオの攻撃の誤射により爆死、逃げようとした他の一体もガミオに無理矢理吸収されてしまった。
いずれもTVシリーズとは大きく異なる描写となっている。
『てれびくん』版
同誌に連載されたコミカライズ版ではトラックに乗ることはなく、またゴウラムの破壊を目的として行動を開始するなど、TVシリーズとは異なる行動原理が示されている。ゴウラムを調査していた沢渡桜子の元に現れ、夏目実加を人質にゴウラムの引き渡しを要求するも、ゴウラムが復活したためあえなく捕縛され、そのままタイタンフォームのカラミティタイタンを受けて倒された。
『HEROES』版
同作ではゴ集団に昇格するため、先にゲゲルの資格を得たメ・ギイガ・ギに対し度々妨害を仕掛ける。さらにゲリザギバスゲゲルの開始が近づいていることを知るや、ギイガを過熱状態にさせて自滅させようとしたが、これが裏目に出てギイガが暴走した為に逃走。
その途中で出くわした一条薫に襲い掛かり、彼を半殺しにしようとしたものの、背を見せた隙を突かれて神経断裂弾を撃ち込まれて爆死した。この時一条の車を奪って轢殺に及ぼうとするも、逆に彼によって撥ねられるという、TVシリーズとは真逆の構図も展開されている。
てれびくんのコミカライズと同様に、同作でもトラックを駆る事はなく、人間態では天井や壁を上るといったアクティブな行動を見せ、性格もよりサディスティックな面が強調されている。
また、怪人態はTVシリーズのそれに比べて目柄があるなど、よりヤドカリの意匠が強調されており、TVシリーズでは活用されず終いであった腕のカッターも、同作中では実戦で頻繁に用いられている。
リザードマン:『仮面ライダーウィザード』に登場するライダー怪人の一体。こちらも廃車を駆使した危険運転で主人公に襲いかかった、という共通項を有する
未来型ロイミュード:『劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』に登場する敵怪人の一体。現代に来た際にデコトラを略奪し、主人公に襲いかかった他、青い姿の仮面ライダーに吹き飛ばされてトラックごと爆散したという共通点を持つ
鬼頭はるか/オニシスター:『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の登場人物、およびヒーローの一人。(1回のみであるが)作中において危険なドライブテクニックを武器としたことがある、という点で共通項を有する
未確認生命体第○号
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EPISODE 14. TRY&GO-ROUND!
出久とかっちゃんの関係性って「DVの被害者と加害者みたい」と感想をいただいて確かにと思う今日この頃 そんなふたりがともに戦うのを通して歩み寄っていく(原作とはまた違った形で)のが今作品なのかもしれないです かっちゃんは不器用なツンデレ野郎(デレるタイミングがなかっただけ)なんだと思えばそれまでですが21,916文字pixiv小説作品