曖昧さ回避
概要
神の忠告を聞かずにドラゴンを滅ぼした罪を償うため、8つの涙を集め、神に捧げることが目的のロールプレイングゲーム。
フランスのゲームメーカー、インフォグラムズよりAmiga用に発売され、日本でもFM-TOWNS、SFCなどに移植された。SFC版とそれ以外の機種ではゲームの仕様が若干異なる(シナリオも少し変更されている)。あらゆる場面でスタッフの奇怪なセンスが光るゲームとして有名。
あらすじ
全ての始まりの時、神はまずドラゴンを作り、その後に人間を作られた。「ドラゴンが滅びる時、新世界が誕生し人間は滅ぶ……」神の忠告を聞かず、人間はドラゴンを絶滅させてしまった。神はドラゴン人間ドラッケンによる新世界「ドラッケン島」を作った。このままでは人間の世界はドラッケンによって滅ぼされてしまう。しかし神は人間に最後のチャンスを与えた。ドラッケン島にある「8つの涙」を手に入れることが出来れば、滅ぼさないと約束したのだ。こうして選ばれた四人の人間の勇者はドラッケン島へ送られ、涙を集めるため島の探索を始めた。やがて、勇者達はドラッケン島の王子王女達が、人間と共存しようとする穏健派「第九の涙の連合」と人間を滅ぼし世界の支配を企む過激派「炎の連合」に分かれ、抗争状態にあることを知ることとなる。
※PC版の場合は神は人間に最後のチャンスなど与えず、人間側から戦士達を島に派遣している
登場人物
ファイター(男)/アマゾネス(女):プレイヤーキャラ。いわゆる戦士型でヘビー系の防具の装備が可能だが、魔法は使えない。何故かファイターはモヒカン。デフォルトのパーティで始めると名前はSFC版ではアーサー(ARTHER。ファイター)、PC98版ではNIKKY(ニッキー。アマゾネス)となる。
スカウト:プレイヤーキャラ。いわゆる盗賊型の職業で、戦闘力はファイターには劣るが明かりを灯したり鍵を開錠するなど補助的な魔法を使用できる。デフォルトのパーティで始めると名前はSFC版ではヘルメス(HELMES。男性スカウト)、PC98版ではROMUALD(ロミュアルド。男性スカウト)となる。
プリースト(男)/プリーステス(女):プレイヤーキャラ。いわゆる僧侶型の職業で回復魔法が得意。刃物が装備可能なので緩い戒律の宗教の僧侶なのかもしれない。男性プリーストはキリストに似てる。デフォルトのパーティで始めると名前はSFC版ではヘスティア(HESTIA。プリーステス)、PC98版ではWILLOW(ウィロー。プリースト)となる。
マジシャン:プレイヤーキャラ。いわゆる魔術師型の職業で攻撃・攻撃補助魔法が得意。初期状態だとローブを着ているので分かりにくいが、女性マジシャンはかなり際どいレオタードを着ているようだ。デフォルトのパーティで始めると名前はSFC版ではマーリン(MERLIN。男性マジシャン)、PC98版ではMALIKA(マリカ。女性マジシャン)となる。
ホドケン/HORDKHEN:ドラッケン島の大地の王子。高慢で尊大な人物。炎の連合に入りたがっているが、ナクトカから激しく嫌われている為か入れてもらえない。その上性格が災いしてか、島民(酒場の客)からも嫌われている。炎の連合から連合に入れる代わりに人間を殺せと煽られるとあっさり乗る辺り、非常に分かりやすい性格。アーケンのことを裏では呼び捨てにして凶暴な男と言いつつアーケンに対する手紙の文面ではヘコヘコしている。設定上はドラッケン王族の中で最も弱いとされているが、プレイヤーからの体感ではホドケンは強い方にあたると思われる。ファイアーボールの魔法を使用する。SNES版の取説とPC版のインフォグラムズ公式ガイドブックに準公式とも言えるイラストが存在するのだが、他のドラゴン王族がおおむねゲーム中の姿に沿ったデザインになっている中でホドケンだけ完全に別人と化している。「このホドケン様は下等動物が大嫌いなんだ」「我が許しも得ず、また現れるとは無礼にも程がある! 死刑だ!! ハーッハッハッハッ!!」
ホドカ/HORDKHA(声…水谷優子):ドラッケン島の大地の王女。第九の涙の連合に属しているホドケンの妹。アーケン軍に城を襲撃され、囚われの身となってしまう。島民の中では最も信頼の厚い王女だとされており、ドラッケン島において炎の連合の虐殺の対象となっていた人間を自らの城に匿っていたことはもちろん、嫌われ者の兄ホドケンにも協力を呼びかける手紙を送っていることからその優しさが窺える。巨乳ビキニアーマー竜人という時代を先取りし過ぎた風貌の人物。FM-TOWNS版だと声付きで喋る。準公式イラストでは髪が天パだったり耳があったり鼻角が無かったりとゲーム中の姿とはやや異なる風貌になっている。「親愛なるお兄様へ……。神の祭りのあと、私に会いに来て下さい」「根源の神を呼び出す大連合を組織するには、全てのジェムを集めなければなりません」
アーケン/HAAGGKHEN:ドラッケン島の水の王子。炎の連合に属している。人間ハンティング、ゾンビ作りと充実した趣味を持っている。島民はおろかホドケンやナクトケンからも恐ろしいだの凶暴だの言われるような相当な性格。言動もかなり逝ってしまっている。ただし、ナクトカやハズルケンらに宛てる手紙は普通に書いている。ナクトカとはいとこの関係。アーカの宮廷へスパイを差し向けているらしく、アーカ城の従者に警戒されている。水の王子だがファイアーボールの魔法を使用する。「ハック! ハック! ドラッケン!! 親愛なるナクトカへ」「いい加減に降参しろ!! 俺のゾンビのコレクションになりたいのか? へっへっ! ずたずたに引き裂いてやる!!」
アーカ/HAAGGKHA(声…松井菜桜子):ドラッケン島の水の王女にして第九の涙の連合を率いるリーダー。アーケンの姉であり、ホドカの友人。聡明な人柄ではあるが、やはり言動が危なかったり、珍しい生き物(ユニコーン)やドラゴンを城に飼っていたり、弟同様かなり変わった人物だと推測される。周りが揃いも揃って死んだり再起困難になったりする為、最終的に一人勝ちのような形になる。ゲーム中、人間の勇者達やナクトケンに出していた指令も冷静に考えると色々と不自然……? 巨乳でスク水みたいな服を着てる。本名はアナク・ドラック=アーカ。FM-TOWNS版だと声付きで喋る。「私に手を貸してください。ホドケンの宮廷に行き、彼を抹殺して欲しいのです」「成功をお祈りします。また、すぐに再会できますよう……」
ナクトケン/NAAKHTKHEN:ドラッケン島の空の王子。第九の涙の連合に属していたが、姉ナクトカの軍に城を襲撃され、自分の領地を壊滅状態に追い込まれてしまう。初登場時には敵襲の時に自分一人だけ物陰に隠れ続けて生還したり、いちいち図ったようなタイミングで登場するのでヘタレではないのか? とプレイヤーの間で囁かれている。SFC版では普段は落ち着いた物腰でコミュニケーションを取ってくるがハズルカのイベントの際には口調が激昂したものに変わり、人間の勇者達への指示も荒々しくなるので余計にダメな人という感じの雰囲気が漂う。こうなると「きっと私には(姉を)どうすることもできなかったでしょう……」という台詞も自分を殺そうとした姉に対して「許すわけにはいかない」と言いつつも本心ではまだ諦めが付いていなかったという意味なのか、文字通り自力では姉を倒せないことを自白したのか怪しくなってくる。人間の勇者達では太刀打ちできないナクトカ城の門番を始末しているので実力が無い訳では無いのだが……。一応機種によってナクトカ撃破後に登場するタイミングと場所が違う。「来るのが遅すぎましたね。私はこの城の主ナクトケンです」「卑劣な盗賊、ナクトカの城へ行きナクトカの命を奪うのだ!!」
ナクトカ/NAAKHTKHA:ドラッケン島の空の王女。ナクトケンの姉であり、ハズルケンの婚約者。笑いながら悪魔を召喚して外に放ち、実の弟や婚約者の妹すら平然と殺害しようとする鬼畜だが、ハズルケンに対してはかなりデレデレになるなど起伏が激しい。敵対するドラッケン王族の中では唯一パラライズの魔法を使用する強敵。戦闘前に衛兵を呼ぶような台詞を言うが、SFC版以外だと本当に衛兵が増援として出現する。巨乳ビキニ。「共に涙を分かち合いましょう。あなたの腕に抱きしめられる時が待ち遠しい……」「私の結婚式の食事に招待してやろう。もちろんメインの料理はお前達だ! ハーッハッハッ!!」
ハズルケン/HAZHULKHEN:炎と死の王子の異名を持つ炎の連合の指揮官。3Dフィールドを歩いていて出てくる黒い巨人、赤い巨人の幻影などはハズルケンが呼び出している。設定上は魔法の達人とされているが、実際に戦うとなんと魔法を使ってこない。その場から動きもしないので遠距離攻撃で一方的に倒せてしまうし、下手すると一太刀で瞬殺出来てしまう、RPG界全体で見ても最弱の部類に入るラスボス。当時の攻略本でも「意外とモロい」などとメタクソに書かれている。ナクトカはこいつの何処に惚れたんだろう。下半身がビキニパンツを穿いてもっこりしているように見える。準公式イラストも同様。「虫けらも大変だな……」「ここまで集めてくれたことに礼を言うぞ! これがあれば私の望みは叶うのだ!!」
ハズルカ/HAZHULKHA:第九の涙の連合に属する炎の王女。ハズルケンの妹。諸事情により空気。ナクトカを危険視している。SFC版ではザルトクという天文学者を雇っているのだが、ROM内にその名前を名乗り星座に対する注意を呼びかけている台詞があるのみでゲーム中では一切出てこない。椅子の飾りのせいで胸が無いように見えるが、準公式イラストではホドカやナクトカらのようなビキニアーマーを着用しており、人並みにサイズはあるようだ。「ナクトカ姫の強大な権力は世界中に不安の影を落としている」
その他
ドラゴン:
ドラッケンの世界では神の子供とされている。驕り高ぶった人間から乱獲された挙句、勇者志望のDQNに最後の一体を殺されて絶滅してしまう(DQNはその後当然処刑された)。魔力の源でもあり、ドラゴンが絶滅した瞬間に世界から魔法の力が消え失せた。神の使い(後述)が現れるドラッケン島では普通に魔法が使用できる。
炎の連合:
人間を滅ぼし、世界の覇権を奪おうと目論む過激派のドラッケン王族達の同盟。このゲームでは基本的にこの炎の連合に属する兵士や怪物、及び王子王女達と戦っていくこととなる。ドラゴンを滅ぼされて生まれたドラッケンとしては当然の正当防衛だとも言われるが、ゲーム上の都合、と言うか悪役としての役目を押し付けられた為か、人格に問題のある人物ばかり集まりつつある。
第九の涙の連合:
人間の世界の破壊を阻止し、人間と共存することを目指す穏健派のドラッケン王族達の同盟。だが炎の連合との戦力の差が圧倒的に大きいようで、リーダーであるアーカ以外のメンバーは苦戦を強いられている。そこに現れた人間の勇者達は願ってもない救いの手だったのかもしれない。ホドカ曰く、第九の涙を信じている救世派。(ただしハズルケンも第九の涙の存在を信じているようだ)
八つの涙:
八人のドラッケン王族がそれぞれ持っている宝石。ドラゴンが絶滅した際に神が悲しみのあまりこぼした涙だとされる。人間側はこれを全て集めることが目的であり、炎の連合(ハズルケン)もこれを集めて神を呼び出し、その力を利用し、人間を滅ぼす、或いは世界を征服する為に使おうとしていることをハズルケンとの戦闘中に聞ける。
第九の涙:
八つの涙を、島の中心において捧げると神と共に現れる宝石。四大要素の調和と、一度は絶滅に追い込まれたドラゴンの力の復活を表している。パッケージでマジシャンが掲げているのが八つの涙とこの第九の涙である。
根源の神:
ドラッケンの世界では神はドラゴンの姿を取っている。3Dフィールドで敵として現れるのは神の使いであり、エンディングで現れる四体のドラゴンが神そのものである。ドラッケンの王族達が直接政治を仕切っているにもかかわらず王子や王女と名乗っているのは、ドラッケンという種族の父親が神である以上、神を王と定めているからだと推測される。なお、四体の神は大地の神がドレッケン、水の神がアーケン、空の神がウィッケン、炎の神がフィッケンと呼ばれている。また、SFC版の寺院の司祭の名前は神の名前から引用されている。(ただし水の王子との混同を避けるためか、水の世界の寺院の司祭の名前のみアレッケンとなっている)
ハック! ハック! ドラッケン!/HAK! HAK! DRAKKHEN!:
兵士が叫んでたり手紙の文頭によく書かれている文章。ドラッケンを称える、「ハイル○○!」とか「○○マンセー!」とかそんなニュアンスの言葉。
アナク・ドラッケン/ANAK DRAKKHEN:
炎の世界における、炎の連合の狂信者が叫ぶ台詞。SFC版では進行上必ず聞くことになる。ANAKとはフランス語で「息子」を意味する。つまり「ドラッケンの息子」という言葉。なお、FM-TOWNS版でアーカが名乗る本名のファーストネームは「アナク・ドラック=ドラゴンの子」という意味となる。
FM-TOWNS版付属のコミックでは「アナーク・ドラッケン・アグナイール・ハースト」で「ドラゴンに栄光あれ、新世界創世、アナク・ドラッケン」という訳になっていた。
星座:
ドラッケンでは夜間に3Dフィールドを歩いていると夜空の星座が突然動き出し、空中から怪物が襲撃してくることがある。星座はドラッケン島では悪の使いと呼ばれ、長く見ない方が良いものとされ恐れられている。
余談
エンディング終了時のメッセージ通り、このゲームのシステムを踏襲したドラッケン2がインフォグラムズにより発売が予定されていたが、何らかの事情で開発中止となり、その際にケザー島などの設定の一部がスーパードラッケンに引き継がれたようである。(当時のフランスのゲーム雑誌にドラッケン2のシナリオの説明とゲーム画面が載っていた)
関連タグ
スーパードラッケン ケムコ Infogrames インフォグラム レトロゲーム