概要
オカルトでは有名な惑星。存在自体が創作であり、これまで一切実在が証明されていない。
シュメール人や、シュメール神話の最高神アヌンナキがここから来たという。
どちらにしても人間が宇宙から来たという事を証明しようとする人には重要な星。もっとも、彼らの主張の通りに従えば、天文学的に考えればたったの3600年周期のペースで太陽に接近し、接近しただけで太陽系の惑星の軌道を滅茶滅茶にするような巨大な質量を持った危険な惑星がまったくNASAなどに観測されていないことになる。
ある著述家の主張
1920年生まれの著述家「ゼカリア・シッチン」はいくつかの著作や発言を通じて、
人類は惑星ニビルから到来した宇宙人種族のアヌンナキが地球上の猿を金採掘のための奴隷として遺伝子操作して誕生した種族である。シュメール神話はその歴史を記した記録である。創世記に登場するネフィリムもこのアヌンナキのことである。 |
と主張している。
シッチンの主張はシュメールやアッカドの専門家を含む正規の天文学者、考古学者、歴史学者、人類学者から、偽史や疑似科学と指摘されている。
アヌンナキやニビルという単語自体はシュメール語の楔形文字の文献にも存在するが、上記の設定はシッチンの本が初出であり、彼の主張は天文学や考古学やシュメール語の専門知識の欠如に起因した古代語の文章の誤訳乃至は曲解によって生じた解釈である。
ニビルという実在はしない天体そのものが、シッチンのアイデアである。
完全に根拠不在の破綻した珍説にもかかわらず、シッチンの本は世界中で売れてしまい、この設定は大衆層の中に一定の影響力を持って定着し、疑似宗教やオカルトや陰謀説など幅広い近接ジャンルへと波及して組み込まれていった。
こうした話型はシッチンのオリジナルというわけではなく、「古代宇宙飛行士説」という、古代の地球に飛来した宇宙人が人類を想像したり文明を授けたという形式の、フィクションや陰謀説や偽史のジャンルとしてはメジャーなカテゴリーの題材となっている。
ニビルについてインターネットで検索すると、オカルト、陰謀説、スピリチュアル、終末論カルト、偽史、疑似科学のコミュニティに関係したウェブサイトが日本語英語問わず無数にヒットするが、そうしたサイトがもっともらしく説明している設定の元締めは上述したシッチンの誤訳と知識不足に基づいた珍説である。
また、そうしたジャンクな情報が氾濫するサイトの中にはネトウヨ的な陰謀論も頻繁に含まれており、陰謀論界隈では息をするように邪悪なネットユーザーによって人種差別発言が行われていることがままあり、あっという間にスピリチュアル話と一緒に朝鮮人が日本を極秘に侵略しているなどの与太話をセットで信じ込まされるようになってしまう。
シッチンの説はSFとしては面白く、彼に影響されたデービッド・アイクなどの陰謀論者の著作も読み物としては中々に突拍子もなくてフィクションとして割り切れば面白味もある作品ではある。
そういったお話に触れていくうちに根拠のないお話を信じ込まないようにしよう。
遊戯王への影響
遊戯王OCGというカードゲームに「原始生命態ニビル」が登場した。
2023年3月頃に、遊戯王カードwikiですらしれっとシッチンの偽史が記入されたことがあるが、全てはシッチンの話の中の事であり、根拠が一切ないことに注意しよう。
また、陰謀説やオカルトはしばしば映画や漫画やコンピュータゲームなど現代カルチャーのネタ元としても参照されている(例えばRPGなどでよく出てくるヒヒイロカネは戦前の新宗教の経典に記された偽史が元ネタ)。
遊戯王自体が原作漫画からしてそもそも陰謀説でメジャーなアイコンやモチーフを意図的に使いまくった作品であるため、ネタとしての相性自体はいいと言える。
上記の通り、遊戯王以外でニビルという言葉でヒットするのはまともなサイトよりも奇天烈なサイトの方が圧倒的に数が多いちょっとコアなワードのため、カードの元ネタが気になって調べているうちに良くない世界に引き込まれないようにしたい。
関連タグ
シュメール人・・・人類史上初の『文明人』なぜか宇宙人やエイリアンを連想させるらしい。(シュメール人の人種や言葉が現在でも解明できないので)