概要
英語表記:noisy minority
政治用語の一つであり、「騒々しい少数派」「声がでかい少数派」あるいは「声だけ大きい少数」「やかましい少数意見」の意。
アメリカ合衆国のリチャード・ニクソン大統領が1969年11月3日の演説で使用し、当初は「ヴォーカル・マイノリティ(vocal minority)」と言われていたが、けたたましい大声を張り上げたり大騒ぎすることで、本来多数派であるはずの声や真に社会的少数者である人々の声が遮られ、騒々しい者たちが多数意見や社会的少数者の総意であるかのように錯覚させる(あるいは意図的にそうさせている)という事態が起こるようになってきたことから、「騒々しい」「うるさい」という意味の「ノイジー(noisy)」が使用されるようになったとされている。
ノイジー・マイノリティ化する人間には社会的弱者(必ずしも少数派とは限らない)が多く、その動機には「騒ぎ立てないと周囲が注目してくれない(これを炎上商法と見るかはケースバイケース)。」「権力闘争がしたいだけで、少数派の事を本気で考えている訳ではない。」といったものがあるという考えがある。
一方で少数派が少々声を上げても権力側や多数派が無視を決め込んだり強引に黙らせようとしたりするため、大きく騒ぎ立てざるを得ないケースも少なくない。これは耳を傾けない権力側や多数派の落ち度である。権力側、多数派、冷笑系がこの言葉を使うと詭弁の一種・トーン・ポリシングになりかねないので注意が必要。
対義語は『サイレント・マジョリティ(silent majority)』(「沈黙の多数派」「もの言わぬ多数派」或いは「声なき大衆」の意)。
余談
日本では選挙の投票率の低さ(特に若年世代)が問題視されている。選挙は投票という行動を起こした有権者の声を届ける民主主義のシステムであり、投票率があまりにも低いと「もの言わぬ多数派」よりも「声が大きい少数派」が勝利することが十分あり得る。
みんな、選挙に行こうね。
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岸信介 - 「国会周辺は騒がしいが、銀座や後楽園球場はいつも通りだ。私には声なき声が聞こえる。」と、ノイジー・マイノリティという言葉こそ使っていないが、デモ隊を少数派と決めつけるレッテル貼り・詭弁であしらった。