ハートのQ
クールな女性。お笑い好きで、ある人物の前では結構笑っている（ただしその表情から笑顔なのか分かりづらいらしい）。
彼女の父親は厳格でかなりの凝り性。それは真摯(しんし)にある道を突き進み、その道を極めたお方である。そんな家庭環境からか、思ったことは直球に答える竹を割ったような性格のお嬢様(ガール)。

ハートのJ
ヘタレな男性。料理男子で自信作はアップルパイ。料理を教えるのも得意。
チキンのハートを持っているが、覚悟を決め、ある人物の前で大胆な事をする強いハートも秘めている男(ボーイ)。

ハートのＡ

♥のJが『どう？そのアップルパイ。かなり自信作なんだけど』と隣の彼女に尋ねると…。

『甘い。くどい。リンゴが固い。だけどあなたの料理、私は好きよ。』と、♥のQは相変わらず直球で答えた。

はぁ～、まったく…

たまんねぇ～

というわけで、彼は彼女に首ったけなのでした。

二人が出合ったのは、小学校の入学式。

♥のJにとっては、
初めての学校も、

新しいランドセルも、

満開の桜並木だって、

♥のQ の前では全てくすんで見えていた。

その日から、彼は彼女に恋をして…

そして何もないまま高校2年に至るという体たらく（チキン）の友達以上恋人未満で、11年もの歳月が流れていた…。

このような関係に流れてしまった事に自ら『情けない。』とため息をつく♥のJ

しかしこれには些かながらの訳があった。

それは彼女（♥のQ）の父親（♥のK）である。厳格な彼女の父上はかなりの凝り性。それはそれは真摯(しんし)にある道を突き進み、その道を極めた方なのである。

略して 《極・道》

こうして自身（チキン）の手の内を開かした彼は…

もっとも、だからといって彼女がどうこうという訳ではなく…
いやそもそもそういった方だから、この竹を割ったような性格のお嬢様を…

と、リンゴがコロコロ転がって行ったり来たりするもどかしさの様に、ハッキリしない彼は正直に認めた。

♥のJ『チキンだよ。』

♥のQ『アップルパイなのに？』

だがいい加減、彼も覚悟を決めた。
いつまでも、このままの関係が続くとは限らない。いや、このままの関係ではいけないと決意した。

" 本気で彼女の事を愛しているなら、僕だって、変わらなきゃいけないんだ。 "

そうして♥のJは勝負に出た。
勝利(サクセス)するか否かを決める運命の日、彼は♥のQのカバンにこっそりと手紙を忍ばせた。

そこに一枚……

一途な思いを込めたカード（♥のA）を付け加えた。

手紙にはこう書かれていた。

これは君に対する僕の気持ちです。もしOKなら、このカードを受け取って欲しい。
でも、もしダメなら…その時はこのカードを突き返して下さい。

直球な♥のQと違って、♥のJにはこれが精一杯の告白だった。

そして翌日。

いつもの様に放課後の教室に残っていると、彼女が彼の目の前に現れた。
目の前の女性は何も言わずに、真っ直ぐと男性の目を見つめると一枚のカードを手渡した。

だけど、それは……

一途な思いに○（マル）が付け加えられたカード（♥の10）だった

これまでの手札(アタフタ)でようやく勝利(ラブハート)を掴み取り、思いが実った彼氏は神様、仏様にありがとうと感謝をした。いや何より思いを受けとめてくれた彼女にありがとうと、泣きそうになっていた。

♥のQはハンカチを♥のJに渡してあげた。

♥のJ『ありがとう。ごめんね、情けなくて。』
♥のQ『全然。』

今更になって♥のJは、自分なんかが相手で良いのか♥のQに訪ねると…

♥のQ『ええ、貴方より美味しいアップルパイを作る人が現れるまではね。』
♥のJ『頑張ります。』

ここまで進展するのに11年。彼女を少し待たせ過ぎたこの状況。返事のカードを見せた彼女は『こんな告白はまわりくどい』と返答のガードを見た彼氏に文句を言うと…

♥のJ『そんな事言ったて、君みたいな直球は僕には無理だよ。』
♥のQ『ちょっとくさすぎ。』

そんな相思相愛(ラブラブ)な男女。だがこの期に及んで、また臆病（チキン）な様を彼女の前でみせてしまう彼氏。

対する彼女は、尻込み（ピヨピヨ）している彼氏を真っ直ぐ自分に引き寄せて…

好き

毛先が赤い黒髪をまとめ髪にして、薄っすらと赤い顔で、真正面の人物に対して勝ち誇ったような表情を見せるクイーンと…

茶髪の短髪で真っ赤な顔と、真ん丸に開かれた眼で真正面の人物に負かされたような表情のジャック…

迷わず、彼氏のハートを一直線に掴んだ彼女。

彼氏の唇には彼女の赤いマークが付いていた…

" ほんと、僕の彼女は、 "

" ストレートだな～。 "