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ハーモニー

はーもにー

「調和」を表す単語。本項ではこの語をタイトルに掲げた伊藤計劃による長編SF小説を扱う。
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曖昧さ回避編集

  1. 「和声」のことを指し、調和を表す音楽用語和音コード)と同じ意味としてとられるが、厳密には和音の進行と各声部の配置や進行の組み合わせを指す。
  2. 転じて、「調和」「バランス」を表す英語。
  3. 伊藤計劃氏によるSF小説。本項では3について説明する。
  4. 漫画『ツインシグナル』の登場キャラクター。→ 【A-H】ハーモニー

概要編集

 伊藤計劃による2作目の長編SF小説。氏はこの作品の刊行の3か月後に肺癌によりこの世を去った。

没後に第30回日本SF大賞を受賞した。


 2015年にノイタミナムービー「伊藤計劃プロジェクト(Project Itoh)」の一作としてアニメ映画化が決定した。制作はSTUDIO4℃が担当。

当初は2015年11月公開予定の発表後に、同年12月4日から公開予定とされていたが、「虐殺器官」が公開延期となったため、その代替として11月13日に公開される。


 2015年4月発売のNewtype5月号から「虐殺器官」と共に漫画化・連載が決定。コミカライズは三巷文が手がける。

ちなみにこれ以前にもコミック百合姫誌上にてコミカライズされるという企画が挙がったが、続報が無く前述のようにNewtypeでの漫画化が決定したことから、頓挫した可能性が高いと思われる。

なお、伊藤計劃氏へのインタビューで、当初は下記〈大災禍〉(本人は「核戦争」とも、「〈大災禍〉の真っ只中」とも表現)を題材にし100枚程度書くも極端な世界を書きたいことを理由に現在のストーリーとなっている。(新版「ハーモニー」より、「伊藤計劃インタビュー」佐々木敦)


ストーリー編集

 21世紀後半、〈大災禍〉(ザ・メイルストロム)と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は見せかけの優しさと倫理が支配する“ユートピア”を築いていた。そんな社会に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した……。 それから13年後。死ねなかった少女・霧慧トァンは、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、ただひとり死んだはずだった友人の影を見る――

 この作品は架空のマークアップ言語「etml」(Emotion-in-Text Markup Language)で書かれているという設定である。


用語編集

  • 生命主義(ライフイズム)

〈大災禍〉(ザ・メイルストロム)後、世界的に支配的になった【健康】、ひいては生命を何よりも至上のものとみなす思想。

これによって人類は史上最も平和な時代を迎えたが、一方体内に埋め込まれた医療システム【WatchMe】を通して全世界につながることによって、個人の一挙手一投足もが把握される「管理社会」のような面ももたらした。

それは、酒もタバコもカフェインもダメ、「暴力」があるからという理由で過去のほとんどの映画などの作品も閲覧不能、という潔癖ぶりであった。

また「個人は社会に欠くべからざるリソース(資源)」という考えで、個人よりも全体の「ハーモニー」になることが当然とされている。


それに対し、3人の少女は反旗を試みる。


登場人物編集

CV:沢城みゆき

自死を試みた3人の少女の1人であり、本編の主人公。

心の底では束縛を嫌い、現体制に対し反抗心を持っている。

13年後の現在ではWHOの上級査察官として各地の戦場を飛び回る一方で、健康監視ネットワークの目を盗んでアルコールやタバコに耽っている。

零下堂キアンが命を落とした事件をきっかけに、既に死んだはずの御冷ミァハを追うこととなる。

CV:上田麗奈

自死を試みた3人の中心的な役割を果たした少女。

読書好きで物知りだが、この時代には珍しく孤独を好み、群れようとしない。「過去の遺物」となっている紙のをわざわざ製本するほど気に入っている。

トァンに対しては、ときどき百合的な振る舞いを見せる。

『公共のリソース』として身体を管理されることを拒み自死を試み、それに唯一成功した。

CV:洲崎綾

自死を試みた3人のうちの1人。

13年後の現在ではトァンとは異なりごく「一般的」な生活を送っていたが、とある事件で命を落とした。

  • 霧慧ヌァザ(きりえ-)

CV:森田順平

霧慧トァンの父。

オスカー・シュタウフェンベルク

cv:榊原良子

主席監察官。トァンの上司。実年齢は72歳だが高度な医学的処置と完璧な節制により、30代後半の美貌を保ち続けている。

ガブリエル・エーディン

cv:渡辺明乃

バグダッドのSEC脳科学研究コンソーシアムの研究員。人間の意識モデルに関する研究を行っている。

エリヤ・ヴァシロフ

cv:三木眞一郎

インターポールの捜査官。ある事件を追う中トァンに接触した。作中では当の昔に廃れた名刺をトァンに渡して自己紹介した。

御冷レイコ

cv:森千晃

ミァハの母。ミァハの自死を止められなかったことを後悔している。

冴紀ケイタ

cv:チョー

ヌァザの研究仲間。トァンに失踪した彼の行方のヒントを与えた。

ヴーヴェ・ヴォール

cv:斧アツシ

チェチェンで活動している螺旋監察官。事件を追うトァンに協力する。

アサフ

cv:大塚明夫

トゥアレグ族の戦士。トァンと煙草といった作中では御法度な嗜好品の取引を行う。

関連項目編集

伊藤計劃 虐殺器官

すばらしい新世界

ディストピア

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