概要
各面にキャラクター、ステータス、技などが印刷されており、転がしてバトルできる鉛筆。「バトル鉛筆」という名称自体はスクウェア・エニックスの登録商標で、「バトルえんぴつ」「バトルエンピツ」「バトエン」などの表記ゆれがある。
鉛筆を玩具にするというアイディア自体には特許などは存在しておらず、各社から児童ウケするコンテンツを中心に類似の商品が発売されている(後述)。90年代半ばにドラクエブームと相まって、男子小学生の間で大ヒットした。本家にあたるドラクエバトル鉛筆シリーズは2000年時点で約1800万セットの売上があり、実に約6188万本も生産されていた。最盛期には年間で生産された鉛筆の10%がバトエンだったとされている。ドラクエバトル鉛筆シリーズは2013年の「バトエンGX」を最後に展開が途絶えていることもあり、文房具売場などで目にするものは他社製品が中心となっている。
文房具扱いで合法的に学校に持ち込める物として、スーパーカー消しゴムの後釜のようなポジションを獲得したものの、授業そっちのけで遊ぶ生徒が続出した為に没収・禁止されることも多かった。そのためパッケージに「授業中は遊ぶな」(意訳)と注意喚起が書かれるケースもあった。また、バトエンとして遊びすぎると内部で芯が折れており鉛筆として使えない、鉛筆として使っていくうちに印刷が読めなくなるという難点もあった。
関連商品
スクウェア・エニックス(旧スクウェア)製品
- ドラゴンクエストバトルえんぴつシリーズ(1993~2013)
オーソドックスな六角鉛筆にドラクエのキャラが印刷された基本形。世代によって新システム(装備、転職)や要素(お助け消しゴム)などが導入された他、後半世代ではメタリック鉛筆なども展開された。
- ポケットモンスターバトルえんぴつ(1997~1998)
鉛筆自体が丸型になっており、六角形の留め具によって面が確定するようになっている。ポケモンのルールを再現するために、手持ちとの交代ルールがあるほか、属性が●と★だけになっている。ダイヤモンド・パール時代にも「ガチエン」の商品名で別メーカーから発売されていた
- スーパードンキーコングバトルえんぴつ
バトルではなくバナナを集めるというルールになっている。パッケージ表面に印刷されているブランド名が異なるが、裏面には販売元としてエニックスの表記。
その他製品
- 占い鉛筆
『ゲゲゲの鬼太郎』、『たまごっち』、『魔法騎士レイアース』、サンリオ作品などキャラクター系の占い鉛筆も多数市販されていた。現在でもファンシーグッズ系のデザインで引き続き展開されており、様々な会社から販売されている。
- ミニ四駆レースえんぴつ
第2世代の頃に展開された商品。スーパーカー消しゴムのようなミニ四駆消しゴムと発射台、バトルえんぴつのようなレースえんぴつがセットになった商品。販売元はトミー。
- ロックマンエグゼバトルえんぴつ
ルールは本家に準じるが、属性相性の概念がある。三菱鉛筆株式会社が販売。
- デュエルマスターズバトルえんぴつ
デュエマのルールを参考にしており、お互いの出た目の数値が大きかったほうが行動に成功するという変則ルールになっている。シールドの概念もあり、相手の手持ちクリーチャーすべてを倒すorシールドをすべて破壊すると勝利になる。販売元はショウワノート。
- 鬼滅の刃 血風激闘えんぴつ
1vs1を前提としたルールとなっており、攻撃と防御の能力が印刷されている。限界突破キャップが同梱されており、体力が0になった後の逆転要素がある。販売元はAniplex。
- 最強王図鑑シリーズ
学研が展開する図鑑コンテンツ、『最強王図鑑』のバトルえんぴつ。シリーズによって微妙にレイアウトが異なるものが販売されている。販売元は学研ステイフル。
- イナズマイレブン 爆エン
世界への挑戦編放送時に発売。販売元はエンスカイ。
ゲームシステム
以下は代表的なドラゴンクエスト版の基本ルールである。
基本仕様
- キャラクター
鉛筆の上部に印刷されているキャラクターと名前。ゲームに直接的に関係することはほぼ無いが、技セットのイメージ等に関わることや、何より好きなキャラの鉛筆であることに価値があるため重要部分である。
- マーク
鉛筆の上部に印刷されている。●、★、▲のシンボル。
技の成否に関わり、ノーマル鉛筆は原則●か★である。
相手が攻撃してきた際に、「自分と同じマークにダメージ」「全体にダメージ」表記でなければダメージを受けない。
▲はキング鉛筆などの特殊な鉛筆(=魔王、ボスキャラクター)専用である。
- 技
6面にそれぞれ技名や攻撃対象、威力などが書かれている。
攻撃力は低めだがミスしにくいもの、ミスは多いが当たれば高ダメージなものなど、キャラクターの特徴を表現している。
アイテムを使い特殊な効果を発生させられるものがある他、複数段に分かれており、特定の面を出すとそちらを参照してもう一度振る事で2回行動などを表現しているものもある。
五角鉛筆の場合は、上に来ている2面のうちどちらかを選んで使う事ができる。
- HP
基本的にはどの鉛筆もHP100で、キング鉛筆のみ200。
基本ルール
じゃんけんなどで順番を決めたらあとは交互、あるいは順に転がしていき誰が勝ち残るかを競うという非常にシンプルなルールで遊ぶ。
巨大サイズのキング鉛筆を使用する場合、キング1本に対してノーマル3本でバトルを行う。
関連商品・付属品
- キャップ
鉛筆同様、各面に効果をシール貼り付けできるキャップ。
シリーズによって装備、職業、配合、状態異常などのものがある。
装備・職業系のキャップは基本的にナンバリングシリーズの仲間キャラ鉛筆のみに装備可能で、「そうび」「転職」の面が出た時に任意のものを付ける。2つ付けることはできないため、以後は同面の効果自体はミスとして扱われる。
『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』を題材にしたシリーズで登場した配合キャップは左右から鉛筆を入れられるようになっており、対応した種族のモンスター鉛筆2本を繋げて使う。キャップに矢印で有効な面が書かれており、その面以外が出た場合はミスとなる。
状態異常キャップに関しては、与える効果が出た際に相手に付けさせて使用する。相手が鉛筆を転がした時、その面に書かれているデメリット効果を与える。
…というのが公式ルールであるが、実際には2個付けた魔改造マッチ、微妙にずらして取り付ける事で擬似的に五角鉛筆のように効果を選べるようにして遊ぶなど様々なローカルルールで遊ばれていた。
- おたすけ消しゴム
六角柱型の消しゴムで、スリーブに行動が記されている。
1試合中に1回だけ鉛筆を転がす代わりに転がすことができる。
- キング鉛筆
魔法やボスキャラクターが書かれた巨大サイズの鉛筆。▲マークの他、面ごとに●や★が割り振られており、毎ターン有効マークが変わるものもある。基本的にHPは200。
形態変化を表現しているものが多く、HPが一定以下になると第ニ形態側が参照される。ものによっては仲間呼びの能力があり、専用の大サイズキャップを装着できる。
後年の展開
『ドラゴンクエストⅩ』では、Ver4.0から「過去にバトル鉛筆が流行していた」という設定が語られており、ゲーム内で遊べるようになった。
また、授業そっちのけでバトエンで遊ぶ不届き者がいたという話も聞くことができ、ある意味メタ発言・自虐ネタといえる。
同作の初代プロデューサーを務めていたよーすぴこと齊藤陽介Pがスクエニに入社して初めての仕事がバトエンの製造管理だったらしく、ある意味縁深い要素のようだ。
作中ではこの鉛筆でのバトルを「バトルエンゲージ」(略称・バトエン)と呼んでおり、バトエンを通じたプレイヤー同士の縁を「バト縁」と呼んでいるなど、どうにもダジャレにされがち。
こちらでは鉛筆3本+どうぐ消しゴム2本を用いてのタイマン戦と4人バトルがあり、鉛筆では表現できなかった様々な特性・効果などが表現されている。▲は存在せず、モンスター鉛筆のみ。
関連イラスト
関連タグ
ドラゴンクエスト ポケットモンスター スーパードンキーコング ロックマンエグゼ デュエル・マスターズ
エスパークス…バトエン登場直前の時期に存在した遊べる文具。こちらも鉛筆商品があった。