1984年にコモドール64用ソフトとしてブローダーバンド社から発売された全方向スクロール・トップビュー型シューティングゲーム。国内では1985年2月22日に発売されたハドソンの移植によるファミコン版が有名で、この他にもソニー(HitBit)から発売されたMSX版や、FC版を基に任天堂のVSシステムに移植したアーケード版もある。
なお、本作と『ロードランナー』『チョップリフター』を合わせて「バンゲリング帝国三部作」と呼ばれている。
内容
空母「ロナルド・レーガン」から自機の攻撃ヘリコプター「AH-16 シーアパッチ」を発進させ、バンゲリング帝国の6つの工場を爆撃して破壊するとステージクリア。自機のダメージ回復・爆弾の補給(最大9発)は空母に戻れば出来る他、敵飛行場に強行着陸する事でもある程度可能(爆弾はフル補充・ダメージは半分まで回復)。ただし、空母は敵の攻撃対象として常に狙われており、敵の攻撃(プレイヤーによる故意の攻撃でも)を受け続けると撃沈され、残機は全て没収されてしまう。
また、ステージが進むと敵は戦艦の建造を開始。建造中に爆撃することで一時的な妨害こそできるが、完成を未然に防ぐことは不可能。戦艦が完成して出航するとその圧倒的な耐久力と艦対空ミサイルで自機を圧倒し、空母のいる海域にまで侵入を許すとQシステムと呼ばれる重力波兵器で空母が一瞬にして撃沈されてしまう。
評価
操作系は左右で旋回・上下で加減速で慣性も加わるという当時のファミコンゲームにはなかったもので、これに馴染めたプレイヤーの評価は割と高い反面、早々に投げ出されクソゲーの烙印を押されることも少なくなかった。
発売前には広告やコロコロコミックとのタイアップ攻勢で、「あの(当時の大ヒット作の)ゼビウスを全方向スクロールにして大幅進化!」といったイメージが作られていたが、実際はトップビューのSTG同士とはいえ、大幅にゲームの方向性は異なっており(これが期待外れ扱いされた一因でもある)、STGとしては、敵の動きを先読みして単発・低速のショットを上手く当てる当時のゲームで言えばむしろ『ギャラクシアン』に近い。
また説明書にも「このゲームはいろいろな要素が複雑にからみ合っている、リアルタイム・シミュレーションゲームです」とあるように、STGよりもSLG要素が強いと言える。
背景色の演出
スコアによって背景色が変わり、朝→昼→夕方→夜→夜明けと変化していく。高得点の工場を爆破した時に変化する場合が多く、ステージ1では概ね終盤に夜になり、夜明けは最終工場の破壊=クリアと重なることも少なくなく、『ドラゴンクエストⅡ』のロンダルキア台地のようにパレットを変えるだけの演出を効果的に使っている。
また、自機のダメージによって海の色が変化し、ピンチの際の赤色の危機感はかなりのもの。
マイクに「ハドソン!」
ファミコン版には2プレイヤー側がバンゲリング帝国を操作する対戦モードがあり、その2P側はコントローラーⅡのマイクを使って支援機を呼ぶことが出来る。これが広告等ではマイクに「ハドソン!」と叫べと書かれており、今なお語り草になっている。なお、ファミコンマイクの仕様上、他の言葉を叫んだり息を吹きかけても結果は同じである。
本作を取り上げていた漫画
実際のゲームには登場しないラスボス、魔の海域の秘密兵器(ファミコン版パッケージイラストを模した姿)が登場していた。このラスボスの存在を信じた子供たちも少なくなかった。
ファミコン風雲児(コミックボンボン)
2人対戦プレイの本作をマルチプレイ仕様に改造。主人公3人を帝国軍側、敵組織シャドウの刺客をプレイヤー側で対戦していた。最後は主人公が操作する戦闘機がシャドウの刺客が操るヘリを撃墜し、勝利する。
バンゲリングベイ(コロコロコミック・1985年夏休みファミコン増刊号読みきり)
子供たちが、帝国軍の洗脳教育で帝国軍兵士にされる事件が起こり、主人公の弟が事件に巻き込まれる。主人公は子供の拉致事件を捜査していた刑事と共に、帝国軍に立ち向かう。