概要
格差社会における家族間の対立を、ブラックジョークを交えて描いた犯罪サスペンス。
ハリウッドに渡っていたポン監督にとっては、2009年の『母なる証明』以来の純粋な韓国映画となった。(なお、2013年に『スノーピアサー』、2017年にNETFLIX配信限定映画『オクチャ』がある。)
今作は国際的にも高く評価され、第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初のパルム・ドール、第92回アカデミー賞では非英語作品として史上初の作品賞を含め4冠を達成。パルム・ドールとアカデミー作品賞両方の受賞は1955年の『マーティ』以来、実に64年振りのことである。
後に時代背景と舞台を1990年代の大阪に変え、2023年に日本で舞台化された。
原題は『기생충』(Gi-saeng-chung)で「寄生虫」を意味する。
邦題に冠されている「半地下」とは、一階の床下に位置する文字通り半分地下に埋まった住居を指す。かつてソウルでは北朝鮮との戦争に備えてビルやアパートの地下に防空壕の設置を義務付けていたが、1990年代ごろからこれらが低所得者向けの格安物件として改築・再利用されるようになり、貧困の象徴ともなった。
あらすじ
アパートの半地下に住むキム一家は、夫婦は台湾カステラの事業が破綻、2人の子供は高い学力を持ちながらも受験に失敗し、全員が失業中であった。
長男のギウはある日、友人から家庭教師のアルバイトを紹介される。雇い主は高台の豪邸に住むIT長者パク家。そこでパク家の母ヨンギョに取り入ったギウは、新たに美術の教師として妹のギジョンを紹介する。さらにギジョンは策を弄してパク家の運転手を解雇に追い込むと、後任として父ギテクを紹介する。そして最後の仕上げとして、家政婦のムングァンを一家総出で陥れ、その後釜に母チュンスクが納まったのだった。
こうしてパク家への寄生に成功したキム一家だったが、パク邸の留守を預かっていたある夜、突然の来客により事態は一転してしまう。
キャスト
吹替はソフト版/2021年金曜ロードショー版
役名 | 配役 | 日本語吹き替え |
---|---|---|
キム・ギテク(キム家の父) | ソン・ガンホ | 山路和弘 |
キム・チュンスク(キム家の母) | チャン・ヘジン | 今泉葉子/津田真澄 |
キム・ギウ(キム家の長男) | チェ・ウシク | 柳田淳一/神木隆之介 |
キム・ギジョン(キム家の長女) | パク・ソダム | 味里/近藤唯 |
パク・ドンイク(パク家の父) | イ・ソンギュン | 堀川仁/東地宏樹 |
パク・ヨンギョ(パク家の母) | チョ・ヨジョン | 折笠富美子/恒松あゆみ |
パク・ダヘ(パク家の長女) | チョン・ジソ | 松本沙羅/早見沙織 |
パク・ダソン(パク家の長男) | チョン・ヒョンジュン | 松本沙羅/小林由美子 |
ムングァン(パク家の家政婦) | イ・ジョンウン | 斉藤こず恵/田村聖子 |
グンセ(ムングァンの夫) | パク・ミョンフン | 早川毅 |
ミニョク(ギウの友人) | パク・ソジュン | 峰晃弘 |
スタッフ
監督 - ポン・ジュノ
脚本 - ポン・ジュノ / ハン・ジンウォン
製作 - クァク・シンエ / ムン・ヤングォン / チャン・ヨンファン
音楽 - チョン・ジェイル
撮影 - ホン・ギョンピョ
編集 - ヤン・ジンモ
製作会社 - バランソン・E&A・コープ
配給 - CJエンタテインメント(韓国) / ビターズ・エンド(日本)
公開 - 2019年5月30日(韓国) / 2020年1月10日(日本)
上映時間 - 132分
製作国 - 韓国
言語 - 韓国語
備考
- 劇中に登場する「チャパグリ」はインスタントラーメンの「チャパゲティ」と「ノグリ」を混ぜて作る韓国のB級グルメである。1990年代に軍の中で生み出され、民間に広まり、両製品のメーカーである農心から実際にカップ麺として発売されている。
- 「金持ちの邸宅」は実際に有るソウルの邸宅を使用し、貧民街はセットを作り、しかも大洪水のシーンでは、わざわざ作ったセットを水びたしにした。この為、「金持ちの邸宅」よりも貧民街のシーンの方が遥かに撮影コストが多いという事態になっている。
関連タグ
映画 / 韓国映画 / サスペンス映画 / コメディ映画 / 映画の一覧
万引き家族…こちらも訳ありな家族の貧困が描かれた映画。本作にとって1つ前(2018)のパルム・ドール受賞作でもある。