概要
1992年より発売開始されたカルビーの商品で、ピザ気分が味わえる濃厚なポテトチップス。
明太子味など味の違う別種類もある。
ピザポテト危機
2016年晩夏、北海道に台風が4つも上陸した。本来、太平洋側に抜ける台風は、海面温度が下がる鹿児島県沖から徐々に弱り、九州~房総半島から日本列島に上陸、陸上では急速に勢いを落とし、太平洋高気圧との境界線上を時計回りのカーブで抜けていき、青森県以北では更に弱って温帯低気圧になる。
このことから、北海道ではあまり台風を意識した対策がなされていない。
しかしこの年は7号、8号、9号と、上陸せず強い勢力を保ったまま北海道に接近、低緯度圏の寒冷低気圧が発達させた雨雲を北海道に引き付けて豪雨と強風をもたらした。この3連発ですでにかなりの被害が出ていたところへ、もう来ないだろうと無事な分のジャガイモだけでも収穫していたところへ10号が反時計回りに岩手県から北海道南部にかけて通過、このため北海道産のジャガイモは壊滅的な被害を被った。
これにより2016年秋から2017年夏にかけて深刻なジャガイモ不足が発生。特に製菓用ジャガイモの7割を北海道に頼っていたカルビーはジャガイモ確保の目処が立たなくなった。この為、ロングセラー商品である『ポテトチップス うすしお』『のり塩』『コンソメパンチ』の供給分を優先するため、4月中に一部商品の販売終了・休止が発表された。これは、湖池屋など他のポテトチップスメーカーも同じであった。
この中にピザポテトの販売休止が含まれていたため騒動になった。カルビーの商品ではこの時点ではより長かった『ポテトチップス フレンチサラダ』などが販売終了となっていたが、とにかくピザポテトが特にクローズアップされた。いつのオイルショックだよと言わんばかりにピザポテトファンが販売店に走り、結果発注が急増したことから、本来販売休止商品の出荷中断は4月22日となっていたところが、販売終了商品と同じ4月15日が最終出荷日となった。
──この裏では、純粋なピザポテトファン以外に、高額転売を目論んだ不埒者共も多数を買い占め、ヤフオク!やメルカリで高額出品する者が後を絶たなかった。
カルビーは当初苦慮していた。無論、日本の有力ジャガイモ産地は北海道だけではない。毎年鹿児島県と長崎県が2番手争いをする間柄である。
だが、それが問題だった。気候からして寒冷気候の北海道と、南国九州とでは収穫期が違うのだ。この為、すぐに北海道産を埋め合わせる量を確保できなかった。北海道以外の東日本地区(商用電力50Hz地区)は意外に産地が少なく、すぐ南の青森県の出荷量は1/10以下なのである。
この他、アメリカ産ジャガイモの緊急輸入も検討されたが、船便ではタイムラグが大きく、航空便ではコストが高くつきすぎ、やはり2017年産ジャガイモの収穫期になる8月以前の販売再開は難しい、当初はカルビー側も、有象無象共も、そういった見立てだった。
だが、それでも東日本にも第4位様がいた。
みかんからりんごまで、レンコンなら任せとけ、自称・万農王国、茨城県である。
関東地方は九州程ではないが台風直撃には慣れているし、収穫期もあまり(少なくとも鹿児島県ほどには)ずれていない。
カルビーは他地域からのジャガイモが確保できたとして、東日本地区で6月19日から、西日本地区で6月26日からの販売再開を発表。
この一報にファンは大歓喜し、「嬉しくて涙が出た」という声まで。ハフ・ポストの記事
なお販売再開の2ヶ月近い前倒しに「悔しくて涙が出た」連中がゴミのようになったが、それは余録。