概要
1987年12月20日にセガから発売されたセガマークⅢ・マスターシステム用RPG。
ファンタシースターシリーズの始祖となる作品である。
当時としては珍しい、SFとファンタジーを融合させた世界観となっており、RPGでお馴染みのドラゴンやスライムを剣と魔法で討伐するかたわら、仲間の足取りを追うため宇宙船で星間移動する場面なども展開する。
戦闘中の敵や、3D描画されたダンジョンが滑らかにアニメーションする事も大きな特徴だが、そこに容量を割いた為かメッセージがすべてカタカナ表記となっている。
後発ハードで発売された移植版にはメッセージのひらがな交じり化やゲームスピードの高速化等、ユーザーフレンドリーな追加要素も盛り込まれている。
2005年7月12日にはリメイク版である「ファンタシースター generation:1」が発売された。
あらすじ
アルゴル太陽系第一惑星パルマのカミニート居住区で暮らしていた少女アリサは、国王ラ=シークの手の者により兄のネロを殺されてしまう。今際の言葉で、アリサはネロが豹変した国王の動きを探っていた事を知る。
目の前でこと切れた兄の遺志を継ぎ、アリサは旅に出るのであった。
登場キャラクター
本作の主人公。この時代のRPGでは女性主人公はほぼ類を見なかったかもしれない。
女だてらに剣術もマジックもこなす、万能型勇者タイプ。
人の言葉を話せるジャコウネコ。
ピンと伸びた長い耳と、幾つかに枝分かれしたようなフサフサの尻尾が特徴。
後述するタイロンの相棒であり、小動物でありながら物理攻撃もマジックも強力な、頼れる仲間。装備品は専用のものに限られる為、他のキャラと比べて少なめとなっている。
タイロンをサポートするためか、習得するマジックは回復・後方支援系が多め。
強いと噂される戦士。ネロの遺言で、まず彼を捜索する事からアリサの冒険が始まる。
筋肉質な青年で、見た目とおり肉弾戦に特化している。
・・・筈なのだが、数値的に他のキャラより少々劣っており、パーティ中1人だけマジックが使えない身でありながら、矛としても肉壁としてもアリサの後塵を拝する事となる不遇な人(なんかそんな奴他でも見たような…)。
戦士らしく装備面は充実しており、彼のみが扱える“銃”は敵全体に防御無視の固定ダメージを与える事が可能。
修業中のエスパー。
専用の攻撃用マジックの他、回復・蘇生マジックも駆使する美形の人物。
但しこのゲームの攻撃マジックは総じて燃費に難があるため、ここ一番の戦闘以外では専らヒーラーとして立ち回る事となる。
双葉文庫のゲームブックでは、若干の奇人設定が追加された。
次回作でも登場する。
余談だがスクウェア社がこの作品の2年ほど後に発売したRPG『魔界塔士Sa・Ga』の取扱説明書にて、何故か上記4人の名前をプレイヤー名として採用しているスクリーンショットが掲載されている。
惑星パルマの国王。
かつては民を想う性格だったが、邪教に傾倒してからは恐怖政治で民を苦しめる独裁者になり果てている。
人の弱き心に棲みつく魔物。
エピソード
- 「ファンタシー」の語源は中裕司がファンだった酒井法子の歌である「渚のファンタシィ」から取られたと言われる。
- 1980年代の当時、剣と鎧を着た女性を主人公とするゲームは数少なかった。更に、ミャウと言う獣型の動物も入る為、ビジュアルはかなり異彩を放っていた様だ。家庭用ゲーム機で、同時代に出た『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』と比べると、それぞれの方向性の違いが見えてきて面白い。
- あるゲーム雑誌会社を、新聞記者が『ドラゴンクエストⅡ』に関する取材をした際、あるスタッフがファンタシースターを動かしており、滑らかなアニメーションを見た本作を『ドラゴンクエストⅡ』と誤認したとされる。
- ほぼ完成した際、容量は殆ど残っていなかったが、プログラムを担当していた中裕司がプログラムを詰めた結果、わずかに容量が出来、美術担当の小玉理恵子氏に依頼して、4人全員が揃った一枚絵を入れている。ただ、かなり苦労したそうで小玉理恵子氏曰く「やや歪んでいて申し訳ない」との事。
- 開発の際に影響を受けたのは主に『ドラゴンクエスト』と『Wizardry』であると言われる。特にドラゴンクエストは当時大ヒットゲームだったのもあり、開発室に持ち込んでは関係者が仕事中でもプレイを行っていたと言う。
- セガ・マスターシステム用と作られた本作ではあるが、移植には恵まれており、メガドライブやセガサターンの他、PlayStation 2、PlayStation 3やNintendo Switch等に移植されているので、機会があればプレイしてみるのも良いかもしれない。海外ではゲームボーイアドバンス版もあったとか。ガラケーのアプリで販売された事もある。
- ファンタシースター4部作の中で唯一韓国語版(ハングル版)が発売されている。ローカライズを行ったのは韓国でマスターシステムを販売していたサムスン電子。なお2以降は英語版に韓国語のマニュアルを添付して発売していた。
- エンディングが終わった後、唐突にダンジョンに突き落とされる展開は「まだ終わってなかったの!?」と誰もが驚く語り草となっている。実際はスタッフロールに続く演出である。
- 「レベルを最大まで上げるとパラメータがオーバーフローして弱体化する」というという本末転倒なバグが存在する。