概要
左右任意スクロール(このシステムは米ウィリアムス社の「ディフェンダー」に先例があり、本作もこれが意識されている)と「買い物」(ステージ間のショップ画面で武器を買うことが出来る)による戦略的な進行が特徴的なシューティングゲーム。
システム面以外でも以下のような様々な特徴を持ち、今のSTGと比べても非常にユニークな作品である。
・パステル調の幻想的な背景
・ファンシーなキャラクター
・ステージ名の表示
・曲名の表示(後期基板)
・各ステージごとに異なるボス登場演出
・最終面のボスラッシュ
またファミコン、Mk-III、PCエンジン、MSX、X68000、Mz-700などあらゆるハードに移植されたことも特筆すべき点である(後述)。当時自社ハードでしかゲームをリリースしていなかったセガのゲームとしては、かなり特異なことと言える。
主人公のオパオパは、TVアニメ『赤い光弾ジリオン』にも登場している。
主人公とステージボスキャラクター
主人公 「オパオパ」
ステージの下側に移動すると…足で歩いて移動する。
緑の惑星プラリーフ 「スタンパロン」
火の惑星タバスコーダ 「ボランダ」
砂漠の惑星ラ・デューン 「コバビーチ」
超惑星ドリミッカ 「クラブンガー」
なお、Mk-III版・MSX版のボスは「ウルトラスーパービッグマキシムグレートストロングトット」。
氷の惑星ポーラリア 「ポッポーズ」
雲の惑星モクスター 「ウィンクロン」
なお、Mk-III版・MSX版のボスは「dz・デノ・ローマ」。
水の惑星ポカリアス 「IDA-2」
悪霊の凝縮した星サルファ 全てのステージのボス+「???」
サン電子版ファンタジーゾーン
サン電子によるファミコン移植版ファンタジーゾーン、およびのメガドライブ版『スーパーファンタジーゾーン』のクオリティが高く、『ファンタジーゾーンと言えばセガ…ではなくサン電子、いや、誇張抜きで』という声も多い。
当時セガは任天堂に対し「となりのゲームは、もうつまらない」とゲーム機戦争を挑んでいた。そんな中でファンタジーゾーンは当時のセガハード『Mk-III』のキラーソフトであったが、一年後に突如ファミコン版移植が発表される。発売は当時どちらかと言えばクソゲーブランドで名前が知られたサン電子。
当時セガ信者は(一方的)ライバルのファミコンで出ることに怒ったが、一方で「サン電子だから(逆の意味で)大丈夫だろう」とタカを括っていた。しかしあまりの出来の良さに信者も負けを認める結果となる。なお海外ではテンゲンが移植した別バージョン(後述)が発売されたが、こっちは微妙な出来だった。
サン電子は後にメガドライブでもスーパーファンタジーゾーンを制作、これも好評で「ファンタジーゾーンを作らせればセガより上」とまで評された。
ちなみにサウンドテストに何故かメガドライブで奏でるファンタジーゾーンのBGM(OLDバージョンベース)が収録されているが、実は隠しコマンドでゲーム中のBGMがこれに変わる。
アーケード版と殆ど同じであり曲だけならばメガドライブに移植された形となる。
時代はくだって、21世紀になりプレステ2でセガからファンタジーゾーンが出た際(後述)には、わざわざこのファミコン移植版をアレンジし、隠し要素として入れるほどであった。本来セガの純正ソフトで、このソフトもセガ発売であるにもかかわらずクレジットに「サンソフト」の表示も出る。
主な差
- 前線基地が8つ。アーケードの10個には及ばなかったもののマークⅢの6つを上回った。
- 前線基地のアニメーションとマーカーの導入に成功(ライフマーカーは動かなかったが)。
- クラブンガーとウィンクロンを登場させる(ウィンクロンの腕は3本だが)。
- またボランダやポッポーズの移植度も勝っていた。
移植版、その他関連作品
多くの家庭用機種やパソコンなどに移植されている。セガサターン以降の機種ではおおむね完全移植が実現しているが、それ以前の機種ではほとんどがアーケード版に比べてハードウェアのスペックが劣っていたため、それぞれに特色ある移植作品となっている。ここでは前述の日本向けファミコン版以外について記述する。
セガマークⅢ版
アーケード版と時期を置かずして発売された最初の家庭用作品。移植ではなく同時開発された作品とされている。ハードの制約から移植が困難と判断された4面と6面のボスが、別のキャラクターに差し替えられている。また、前線基地は背景として描画されているため動かなくなっている他、数が6つに減少している。
スプライト性能の問題で、ボスを背景として描画している関係から、登場すると背景が単色のものに切り替わる(これは前述のファミコン版や、後述するMSX版、NES版も同様)。
マークⅢ初のメガロムソフトで、初期のキラータイトルとなった。
エンジンを4つ買うとショット系武器が時間無制限になるという裏技があった。
MSX版
マークⅢ版のベタ移植だが、ハードウェアスクロール機能を持っていないため、動きがカクカクであるほか、キャラクターも単色となっており、かなり厳しい移植となっている。
4面と6面のボスが、セガマークⅢ版同様のものに差し替えられている他、多くのボスキャラの攻撃方法がMSX版独自のものになっている(5面のポッポーズが2面のボランダのような攻撃をしてくる、7面のアイダ2が小さいアイダ2を飛ばして攻撃してくるなど)。前線基地の数はセガマークⅢ版と同じく6つ。
PCエンジン版
グラフィックはかなりアーケード版に近く、PCエンジンのスペックを強くPRする作品のひとつとなったが、音楽がかなりショボくなっており、見かけに騙されて買ったコアなファンの不評を買った(当時はインターネットによる情報がなかった)。
後に同機ではスペースハリアー風の「スペースファンタジーゾーン」というゲームが制作されたが、完成していたものの結局お蔵入りとなっている。(ネットオークション等で出回っているものは正規品ではなく海賊版なので注意)
2020年に発売されたPCエンジンminiには本移植版に加え、不評を買ったサウンド関連の修正やカラーパレットのグラフィック調整が施され、よりアーケード版に近づいた『ファンタジーゾーン near Arcade』が隠しで収録されている。
日本国外ファミコン(NES)版ファンタジーゾーン
日本以外で発売されたもう1つのファミコン(NES)版ファンタジーゾーン。前述した日本のファミコン版とは別モノで移植はテンゲンが担当(おそらく版権絡みの大人の事情と考えられる)。同じハードで発売された作品なので、当然ながらファミコン版とは比較の対象となるが、絵は日本版、音楽はNES版が勝っているという評価である。
前線基地の数はセガマークⅢ版やMSX版と同じく6つ。7-WAYショットが5-WAYショットにダウンスケールされている。
X68000版
1980年代後半当時の機種では最もアーケードゲーム再現に適したパワーを持ったハードで、ほぼ完全に移植を実現。隠し面にスペースハリアーを模した面があり、本当の意味での「スペースファンタジーゾーン」を実現した。
セガサターン版
過不足なしの完全移植版。
ゲーム性を損なわない範囲で、ステージ1BGMのボーカルバージョンや、リプレイモードが追加されている。
PS2『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.3 ファンタジーゾーン』
PS2版ファンタジーゾーンは、ファミコン版同様2種類存在する。どちらも『SEGA AGES 2500』シリーズとしてセガからリリースされているが、コンセプトのまったく違う別物となっている。
先に出た方は『SEGA AGES』シリーズ初期の「セガの往年の名作をアレンジしてリリースする」というコンセプトの作品。3D風にアレンジされていて、オリジナル面も入っているが、評価はあまり良くない。
PS2『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』
PS2版ファンタジーゾーンのいわゆる「後で出た方」。『SEGA AGES』シリーズ後期の「セガの往年の名作を完全移植+αしてリリースする」というコンセプトの作品。
これまでのファンタジーゾーンの集大成決定版とも言える作品で、本家アーケード版「ファンタジーゾーン」のみならず、マークⅢ版や続編の「2」やメガドライブ版の「スーパー」を収録、また元々マークⅢ版で発売された「2」の当時のマークⅢ互換基板のアーケード版や、極めつけは本作のオリジナルとして、「2」を当時のアーケード現役基板環境で制作したアレンジ版まで入れる気合の入れよう。
さすがにX68000やファミコン版はそのまま入れるわけにはいかなかったが、ファミコン版に関しては『ファンタジーゾーン ネオクラシック』の名称でアレンジ収録されている(前述)。
旧作の移植に定評のあるM2が手掛けているだけあって、かなりの良い仕事ぶりとして評判がよいが、本作収録の初代AC版では、ラスボス撃破後のある演出が再現されないというバグがある。コミカルなノリとは裏腹なシリアスさで締めくくった名シーンだっただけに、片手落ちとして原作プレイヤーから難色を示されている。流石にマズいと判断されたためか、2012年にPS2アーカイブスにて配信された版では、該当のバグは修正されている。
ニンテンドー3DS版
正式名称は『3Dファンタジーゾーン オパオパブラザーズ』。2014年3月発売。
立体視に対応した『ファンタジーゾーン』完全移植+システムを再構築した新モード『ウパウパモード』の2本立て。
隠しボスとして、Mk-III版オリジナルボス『ウルトラスーパービッグマキシムグレートストロングトット』と『dz・デノ・ローマ』が再登場する。また、隠し要素として条件を満たすと『ウィンクロン』の回転する雲がファミコン版仕様の3本になるものまで再現。
移植はPS2版『ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』と同じスタッフが行ったものと言われている。
Nintendo Switch版
Nintendo Switchにて展開される『SEGA AGES』シリーズの1作品として2019年11月に配信開始。
立体視がオミットされた以外は上記の3DS版がベースであるため、『ウパウパモード』や隠しボスといった追加要素が引き続き収録されているほか、『コンプリートコレクション』にあった『タイムアタックモード』が実装されている。
メガドライブミニ2
メガドライブミニ2のボーナスコンテンツとして新規開発されたソフト。
元々はメガドライブミニのボーナスコンテンツとしてダライアスと共に開発されていたらしいが、納期問題が発生してしまい、こちらの開発を止めてダライアス1本に集中せざるを得なかった為お披露目出来なかったとのこと(その為メガドライブミニ2のプロジェクトが始動して、制作再開の依頼をした時点ですでに完成していたという)。
因みに、ダライアスと同じく目コピで移植がされているらしい。
新規開発に合わせて残機と別にライフ制が追加されライフが無くなって初めて1ミス扱いとなり、自機の周辺のお金を自動回収する機能が追加された「SUPER EASY」モードというEASYモードが追加されている。
また、スタッフのお遊び心でモード選択時に、Bボタンを押しながらスタートするとBGMがスペースハリアーファンタジーゾーン特別バージョンになる仕様となっている(なおBGMの変化の関係でボスが出現するタイミングが分かりやすくなった為出会いがしらのミスが起きにくくなるというプラス要素が偶然発生したとの事)なお、スペースハリアーのスタート時のセリフ「Welcome to the Fantasy Zone Get Ready!」がファンタジーゾーンで流れる事態に。
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