フィナ(くまクマ熊ベアー)
ふぃな
CV:和氣あず未
異世界転移したクマ、もといユナが最初に出会った10歳の少女。
クリモニアという町に住むごく普通の少女。
……と言いたいところだが、実父のロイはとうの昔に死別しており、母ティルミナと3歳下の妹シュリの母子家庭と決して裕福ではない暮らしをしており、しかもティルミナが不治の病に倒れてしまったため、両親の元冒険者仲間であったギルド職員のゲンツから魔物の解体の仕事を回してもらい、自分が働くことでなんとか生計を立てているという有様だった。
ユナと出会った経緯も、母の薬を買うお金がなかったため、薬草を探しに森に入ったところウルフに襲われそうになったところを助けられており、本来ならここで食い殺されているか、仮に助かったとしても遠からずティルミナが病死し孤児として(最悪ゲンツが引き取る可能性はあったが)幸薄い人生を送るはずだったであろうが、ユナとの出会いですべてが一変する。
解体ができないユナの代わりにゲンツの仲介で魔物解体の専属契約を結んでいる。
さらには危篤状態になったティルミナがユナの魔法で完治し、これがきっかけでゲンツとティルミナが結婚(原作では完治直後にユナが仲介。アニメでは一話分間をおいてからゲンツからプロポーズした)。全快したティルミナが卵販売やレストラン経営などユナの興した事業の事務担当となったことで生活も安定するようになった。
自分を含めた家族の恩人であるユナのことは「ユナお姉ちゃん」と実姉同然に慕っており、プライベートでも仲が良くこれまでは病気で働けなかった母ティルミナとまだ幼い妹シュリのために自分がしっかりしなければと気張ることが多かったようだが、ユナと出会いティルミナが完治してからは年相応の一面も増えてきている。
ユナと行動を共にすることが多いため、庶民であるはずなのに領主クリフの娘ノアール(ノア)をはじめとして貴族や王族とも関わることが多く、気苦労が絶えない。
例を上げれば、
- 初めて王都に行ったときに、ノアの母であるエレローラの屋敷に滞在したのだが、気疲れしてしまう(これが元で、ユナは王都にも滞在用のクマハウスを建てることにした)。
- エレローラの案内でユナと共に王城に招かれたが、王女フローラと出会ったところでフリーズしてしまい、記憶が飛んでしまった(原作のみ。アニメ第一期ではカット)。
- ミスリルを求めて「クマの転移門」で王都に来たところ、成り行きでユナが鉱山でゴーレム退治をすることになり、その間エレローラの屋敷に預けられることに。転移門の事は秘密なので強く断れず、またしても貴族に歓待されるというフィナにとっては生き地獄に……(アニメ二期では、この時点で王城に招かれている)。
等々。ただ、次第に慣れてノアとは個人的に仲が良くなり、彼女が設立した「クマさんファンクラブ」の副会長に任命されている。またノアを通じてミサーナ(ミサ)とも仲良くなっており、ノア・フィナ・ミサでトリオ的に行動する事も多くなっている。
また、王女フローラのためにユナが作った絵本「くまさんと少女」の主人公のモデルに勝手にされている(後に知ったときは恥ずかしさから少し怒っている)。
またユナはよく第三者に対してフィナを「わたしの命の恩人」と紹介するのだが、フィナにとってはウルフから守ってくれて母まで救ってくれた恩人であるので焦って「ユナお姉ちゃんがわたしの命の恩人なんです」と慌てて訂正するのが一時期の定番ネタだったりもする。
当人たちは別にそっちの気はないのだが、特にアニメ版第一期最終回ではまるでユナと両想いなように描かれることも。
これについてはweb版のアニメ番宣小説(※)でもユナ本人やノアにツッコまれていた。
※神様から贈られたTVでユナ、フィナ、ノアがアニメ版を見るという内容。
つきあいが長くなるとユナのプライベートのだらしなさ(特に金遣いの荒さやアバウトさと個人空間の未整理具合)にもよく気がつくようになり、その点でユナを叱ったり彼女の尻を叩いて行動を促すような描写も増えている。ユナいわくフィナおかあさん。
上記のように生活のために魔物解体の仕事をしていたため、解体の技術は年齢不相応に非常に高くなっており、アニメでは多少描写がマイルドだがユナが作った専用の解体場にて笑顔で巧みなナイフ捌きで解体をする描写がある。
いわゆるファンタジーものでは子供でも働いているという描写はそれなりにあるが(事実、クリモニアの孤児院の子供たちは、ユナが用意した養鶏や料理店の給仕などをしている)、さすがに10歳児が魔物とはいえ動物の死体を解体する仕事をしているというのはこの世界でもまずありえない特殊なケースである。まあ解体作業は現実世界で言うところの屠殺や魚の解体などのようなものであり、流石に子供が行うには血なまぐさくはある。
普段は手持ちのナイフ一本で様々な解体を行っているが、実は自前で解体道具のフルセットも持っており、より技術や精密さが要求される「ここぞ」という時の解体には、この解体セットを使用する。
実は、このフルセットは実父ロイの形見であり、王都冒険者ギルド主催の解体技術競技イベント(後述)において将来性を見込まれる優秀な解体技術を見せた若手の冒険者・解体技術者に与えられる「敢闘賞」の副賞品として贈られるものであった。
また、普通のナイフでは刃の通らない魔物用にと、ユナからミスリル製のナイフを与えられている。非常に高価な物のため固辞したのだが、イマイチ価値を理解していないユナが強引に用意した。さらにはシュリ用にも与えようとしたため、流石に「金銭感覚がおかしい!」とガチで怒った(アニメ版ではティルミナも怒ったが、ユナが差し出したショートケーキの試作品で陥落した)。
その後、シアが通っている王都にある学校の学園祭にユナに連れられて行った際に、出し物の一つに魔物の解体を体験するコーナーがあったのだが、学生たちの解体の仕方に姉妹揃ってダメ出しをした(これ自体は学問として魔物を解体している学生たちと、原料や素材として魔物を解体するフィナたち、という解体目的の違いに基づいた視点の違いもあったが、一方で学生たちが学生であるがゆえに解体技術が拙かったという側面もある)挙句、皆の前で試しに実演したところ、あまりの技術の高さ(と冒険者として現場で要求される解体方法と学校で習う解体方法の違い)に学生たちが度肝を抜かれるほどだった。
web版の第2部では、王都の冒険者ギルド主催の解体技術を競うイベントに、王都ギルドマスターであるサーニャの推薦枠で参加することになり、19歳以下の部門に出場。
他の出場者と比べても明らかに若い年齢と、年齢に不相応の解体の腕で参加者はもちろん審査員や観客の注目を集め、中には彼女の境遇を察して涙を流す人まで出たほど。
残念ながら入賞こそできなかった(主な理由は年齢による体力差によって勝ち抜くごとに疲労が蓄積され連闘が厳しかった事と、解体経験が浅い魔物を出された事による経験差と、常より丁寧な作業を心がけていた事が徒となり規定時間オーバーを招いた事)ものの、満場一致で敢闘賞に選ばれた。そして商品として新品の解体道具フルセットを与えられ、思いがけず亡き父の事積と自身がその道を後から歩んでいた事を知らされる事となった。