フレームグライド
ふれーむぐらいど
フロムソフトウェアの十八番であるファンタジーとロボットを組み合わせた、いわゆるファンタジー版アーマード・コアな趣の作品。
アーマード・コアで好評を得たシステムを基にしており、対戦をメインにしている。
プレイヤーは『騎兵』と呼ばれるロボット(=巨大な甲冑)を操作して、帝国に反乱を起こしたゾルド辺境伯率いる、九つの騎士団と1対1で戦っていく。
ACシリーズとの違いは
ゲーム内容については上述したように、1対1の対戦がメインとなっており、ACシリーズのようなミッション形式の戦闘は一切無い。
ストーリーは冒頭と最後以外一切語られないと、かなり淡白な作りになっている。一方、攻略本ではゲームで語られなかった詳細な裏設定が掲載されている等、プレイヤーの考察を刺激する仕組みが採用されている。
また、システムも後述のようにかなりの差異が図られている。
- 火、水、風、地の属性や細かな機体性能を設定する『リベレートシステム』(詳細は後述の〈表1〉を参照)
- 実体剣や素手の格闘による近接戦
- 剣による必殺技や特殊な魔法攻撃
- 魔法による幻想的な攻撃エフェクト
- 銃は通常の射撃に加え、属性毎に性質の異なる爆弾の射出が可能(爆弾の詳細は後述の〈表2〉を参照)
- 主装騎兵、軽装騎兵、重装騎兵のフレーム選択
- レーダー類は頭、ジェネレーター類は胴体パーツに統合するなどで簡略化
- パーツの部位破壊
等々があり、幅広い機体カスタマイズと戦略が可能となっている。
翌年に発売されたAC2と比較すると
- 剣を弾くシールド防御
- AC2で採用されなかったチャージ式エネルギーキャノンを採用(グングニルチャージ)
- サポートメカ・『スクワイア』の召喚・使役
等の共通点もある。
〈表1〉
属性 | 機体補正 | 銃補正 | 爆弾の傾向 | 剣魔法の傾向 |
---|---|---|---|---|
火 | 攻撃力の増加 | 射程の短さ以外に欠点がほぼない | 誘導機雷と浮遊機雷に分かれており、前者はダメージとコスパのバランスが良く、後者は威力は控え目だが低燃費 | 全体的にDPSに優れている |
水 | FPの増加 | 低燃費以外に利点がない | 爆弾は地雷のみの上に低ダメージ・重燃費とほぼ産廃 | 低燃費で牽制向きが多い |
風 | 機動力の増加 | 長射程に加え弾速にも優れる | 爆弾は浮遊機雷のみで汎用性が高いが、銃毎の性能格差が酷い | 長射程で牽制向きが多い |
土 | 破壊耐性値・稼働限界値の増加 | 風属性に次ぐ射程だが、それ以外は見るべき点がほぼない | 爆弾の性能は火属性を上回るものの、浮遊機雷と地雷しかない | 脚部への攻撃が多いのだが、全体的に射程が短い、技前モーションが長いなどのクセの強さから、総じて使い勝手に難がある |
〈表2〉
爆弾の種類 | 性能 | 対応属性 |
---|---|---|
誘導機雷 | 低速のミサイル。一定時間経過後に爆発し消滅。設置数は無制限 | 火・風 |
浮遊機雷 | 空中に待機する爆弾。設置数に制限あり | 火・土 |
地雷 | 設置数に制限あり。命中時に浮かせ誘発 | 水・土 |
帝国歴700年
皇帝レギリオの死から端を発した、ゾルド辺境伯の反乱は大陸全土を戦火に包んでいた。
帝国を統治する六つの選帝候は団結してこの暴挙に立ち向かうが、ゾルト公率いる九つの騎士団の前にことごとく敗れ去り、帝国の滅亡は時間の問題であった。
人々の希望は、最後の選帝侯であるミランジェ大司教の存在であった。
既に年老い、病床にあった大司教はこの未曾有の危機を前に、1人の青年を呼び寄せ、告げた。
「そなたに騎士の称号を与えよう。導きに従い、その剣を振るうが良い。遥か古より伝えられし、甲冑の巨人と共に」
※以降の情報はソフトバンクパブリッシング出版・『フレームグライド 公式ガイドブック』に記載された情報を抜粋・要約したものです。
人物の記載順は、ゲーム中の交戦順に準じています。
ゴルドバ
第2装甲騎士団に所属する、初老の男性。
58歳の年齢から、全盛期と比べ衰えてはいるが、団員達の精神的な支えとして、未だに壮健である。
上記の衰え設定に加え、ゲームでは先鋒を勤めるのもあり、そこまで強い訳ではないが、キャラクタークリエイト直後で一切の武装変更出来ない状態の為、武装による優位性が確保出来ないのが厄介となっている。
クロネイア
第3機甲騎士団に所属する男装麗人。
ある戦場で辺境伯に救われて以来、彼に従うようになる。
『疾風』と形容される通り、機敏な戦闘機動を見せる。
特にゴルドバから間髪置かずに連戦すると、その速度差に驚かされる他、少しでもENがあると即座に緊急回避を選ぶ等々の行動から、大ダメージを狙い難い。
オトラント
第1武甲騎士団に所属する卑劣漢。
奪った騎兵で略奪行為を繰り返していた盗賊崩れで、牢獄に収監されていたが、2年後に恩赦を受けて現在に至る。
近付くと防壁展開砲・エルダールインを発動=無敵バリアを張る以外、特筆すべき点はないが、ここからスクワイアの使用コスト無視が目立つようになる。
ルドラル
第1装甲騎士団に所属する男性。
攻撃は最大の防御を地でいく、豪放磊落な性格の持ち主だが、マナーに疎く酒乱の気がある問題児。
重装騎兵では機動性に優れ、積極的に接近戦を挑むが、近接武器以外はほぼ役に立たない為、スクワイアの不意打ちに気を付ければ問題はないはずだ。
ルシリアス
第2機甲騎士団に所属する美男。
薔薇に偏愛・妄執しており、それを汚す者には残虐に振る舞う。
強制ダウン攻撃を行うスクワイア、トップクラスのモーション速度の近接武器でこちらを迫り、一撃に特化した砲・グングニルチャージを狙う怖い相手。
バラエルク
第4機甲騎士団に所属する青年。
「役者」と例えられる程に、相手を自分のペースに巻き込むのを得意とする。
引き連れるスクワイアの強さに加え、急速上昇からの背面取りに徹した動きが極めて厄介(だが、背部を壁に接せれば良い)。
ユードルフォ
第2武甲騎士団に所属する青年。
経験不足からなる詰めの甘さを見せるが、若さからの勢いで相手を圧倒する。
OPムーヴィーに登場する、総合バランスに優れた主装騎兵を駆るが、実力はゴルドバとほぼ同等(人によっては最弱)とされ、スクワイアのオマケとも揶揄される。
その実力と立ち位置から、再戦マップで乱獲される。
バレンタイン
第1武甲騎士団に所属する、辺境伯の実子。
『帝国随一の剣の使い手』と、称賛される実力者。
搭乗する騎兵自体は弱いが、威力・モーション速度ともに優れる近接武器・レーヴァティン、ネット対戦御用達の銃・ロイヤルスピア、困ったらこれの万能砲・エレメンタルソングと、ガチor厨武器で構成される。
スクワイアも上位個体を3体も連れている。
ラシーヌ
第3装甲騎士団に所属する男性。
如何なる状況下でも冷静に振る舞い、敵を屠ってきた経緯から『常勝無敗』と絶賛され、その強さは帝国内外に広く知れ渡っている。
実力は申し分ないが、OPムーヴィーに登場する(伊達要素の強い)重装騎兵を駆る為、頭部パーツの特殊能力以外は脅威ではない。
スクワイアは最大所持数の5体も連れているが、最初の個体以外は、産廃で構成されている為、数に押されなければ然程脅威ではない。
シドラネル
古代に製造された兵器で、騎兵を圧倒する巨躯と火力を併せ持つ。
騎兵以上の戦闘能力を誇るが、『搭乗者を有機パーツとして取り込む大きな欠陥』を持っていた為に、廃棄されていた筈のモノを辺境伯が発見、自軍戦力として隠し持っていたが……。
ACシリーズで培ったノウハウにより、基本的な作りには大きな問題はない。
だが、パーツ間のバランスは悪目立ちが多く、ガチ勢になるとミラーマッチに陥り易いのが事実だった。
外装パーツ
主装・軽装・重装と、完全にカテゴライズ・交換制を廃している為、ACにあった重量過多の問題がないものの、肝心のパーツが(頭部・胴体・腕部・脚部×5)×3と、パーツ総数が圧倒的に少ない。
しかも、各部位毎に1つずつ、特殊能力を持ったパーツが存在するが、重装騎兵の頭部パーツ『ロンディーグナイフ』以外は産廃の為、更に選択肢が減っている。
武装パーツ
剣・銃・砲・盾の4つがあるが、盾以外のバランスが極めて悪い。
剣の問題点
『騎兵カテゴリーによる、乱舞斬りの有利不利』と『剣魔法の格差』が挙げられる。
前者の場合、例として『ルーンメイス』は「重装騎兵専用」とばかりのモーション格差があり、逆に『グルヴェイグ』は「軽装騎兵だけ産廃」めいたモーションとなっている。
後者は『レーヴァティン』は「風属性しか使用価値がない」、上述した『ルーンメイス』は「属性差がほぼない(但し、使い勝手は可もなく不可もなく)」ものとなっている。
特に酷いのは『アンスウェラー』と『ルーンメイス』で、どちらも乱舞斬りは背後からでないと全段ヒットは見込めず、剣魔法はほぼ死んでいると、圧倒的な残念ぶりである。
銃の問題点
まず『半分近くが産廃になっている』。
ACシリーズのバズーカに相当する『ソウルストライク』は「単発発射・低弾速・消費ENが多い」の三重苦を背負っており、「機能停止したスクワイア壊しになら使える」と酷評された。
バーストライフルorマシンガンに近い性能の『スキアヴォーナ』『ファルコンアロー』『ナイトクラッシャー』と3種類あるのだが、最後に記したナイトクラッシャーだけは「剣と大差ない射程距離の為、銃の体裁を成していない」致命的な欠陥を抱えている。
ショットガンに相当する『デストラクトステア』『フリッサー』『ロンクロイム』とあるが、『デストラクトステア』のほぼ一択であるのが実情であった。
フリッサーはソウルストライクの弾丸を複数発射するもので、単体で見れば決して弱い訳ではないが、前述のデストラクトステアと比べると、威力以外が大きく劣り準・産廃扱いになり易い。
残るロンクロイムは更に酷く、設定では「爆弾の性能を重視」とあるが、実際は「威力と設置数のバランスが悪い上に、銃単体では低燃費なだけで見るべき点がない」始末である。
最後にネット対戦でまず見る、ほぼ最強の銃『ロイヤルスピア』の性能だが、大カテゴリーで分けるのならばショットガンに相当する。
しかし、その弾丸は「拡散した瞬間で固定された状態」であり、威力的にはソウルストライクに匹敵する上に、弾速も水準以上となっている。
人によっては「単発発射だから攻め手に欠ける」と評されるが、上記のスキアヴォーナ等の銃は一旦発砲すると、撃ち終わるまで防御出来ない為、自機へのダメージの蓄積が意外に激しく、場合によって事故になるケースもある。
しかし、単発発射銃はすぐに防御ができる為、早々事故にならない強みとなっている。
火力・弾速がそろって優秀、すぐに防御もできる上に、属性間の格差も余り目立たない等、誉める点が多いのもあって、ネット対戦では氾濫しているのだった。
砲の問題点
『使い勝手の極端な格差』が本当に酷い。
『グングニルチャージ』は遠距離から高火力砲撃、『エクソダスゲート』は敵を拘束するトラップ設置と、互いに使い方は違うものの、共通して「攻撃発生が遅過ぎる」為、普通に使うとまず命中しない。
『ホーリーレイ』と『ソロモンズローブ』は「ノーロックの近接仕様」で、これも命中出来る状態を作るor見極める必要があって単体での使い勝手が悪い(しかし、これらは逆に確実に命中出来るようになれば、恐ろしい武装になる事を意味する)。
オトラントの項目で触れた『エルダールイン』はバリア展開だけであり、緊急回避にしか使えない上に、総合火力を減らしてしまう。
その上、エネルギー消費も悪く、使用後の行動は近接戦闘しかないのだが、分かって通り相手はこちらから逃げる為、結局は自分も相手も時間を無駄にするだけである。
結局、安定性から考えると『エレメンタルソング』『ドラゴニックメテオ』『フレイムバード』の3つから選ぶのが多い。
属性
最終的に火と風の2択になり易い。
水はFPが増加するも、攻撃面は低燃費以外に魅力に欠け、土は防御力の上昇があるものの、剣魔法の使い勝手が総じて悪く、銃も爆弾に比重を置くも、誘導機雷の使用が不可能でそれを活かせていない。
逆に火は火力全体の底上げが、風は機動力+銃全体の射程延長があって、先に挙げた属性よりも遥かに使い勝手良い。
スクワイア
ACシリーズのMTに該当する無人兵器で、頭部パーツと基礎フレーム、一部リベレートストーン等に設定された、『リベレートフォース(以降はLFと表記)』のコスト内なら最大5体まで召喚・使役を可能とする。
ただし、当然ながらコスト・属性の格差がそろって激しいのが難点。
また、いわゆる頭の良さを意味する『戦術能力』の項目があるのだが、それとは独立した「敵スクワイアの排除を優先する」や「自機前方(あるいは自機頭上)のポジショニングを優先する」などの個別アルゴリズムがあるのだが、それはほぼマスクデータで攻略本や実稼働させないと不明瞭になっている上、同種のスクワイアで戦術アルゴリズムが共有されているのか、『戦術能力』が低いスクワイアの場合は一斉に敵機への攻撃を仕掛ける=渋滞にハマっての同士討ちを起こす他、執拗にプレイヤーの背後をポジショニングする=意図的に誤射を狙っているような動きをする個体も……
更に幾ら性能が高くても、攻撃の種類や立ち回り(=味方への誤射率の高い攻撃や、距離を詰めたがる行動指針)によっては、コスト通りの強さを感じられないスクワイアも一部だが存在する(特に土属性は地震や地上波などによる広域、多段ヒット攻撃が多く、接近戦に比重を置くと誤射を受け易い)。
また、スクワイアの一部攻撃は被弾すると、ほぼ全てのアクションをキャンセルする効果がある為、それを用いてのお手玉コンボも可能で、ガチ勢相手では最悪積む場合もある。