概要
扁形動物門有棒状体綱三岐腸目に属する動物の総称。
多くの仲間は体表に繊毛があり、この繊毛の運動で渦が出来る事から扁形動物はウズムシと呼ばれる。
淡水、海水および湿気の高い陸上に生息する。
コウガイビルなどの陸棲種はプラナリアから外すこともある。
日本には淡水域に25種(+3外来種)が分布するとされ、海水域と陸上の種の数はよくわかっていない。
この仲間の1種であるナミウズムシ(メイン画像のやつ)のことを「プラナリア」と呼称することがあるが、実際にはもっと広い分類を指す言葉であるため注意が必要。
元々はPlanaria属に分類される種の総称だったが、いつの間にか三岐腸類全体を指すようになった。
このページではナミウズムシについても解説する。
基本的には扁平でどこか可愛さのある不思議な姿をしているが、中には地上生のコウガイビルの仲間のような何とも形容し難いグロテスクな見た目をした者もいる。(しかもデカい。)
体長は水棲の種は1~3cm、陸棲の種は2~数10cmの種が多いが、中にはバイカル湖の30cmになるオオウズムシの仲間や、2mになるオオミスジコウガイビルなどの物凄く巨大な種もいたりする。
この仲間は種類や生息環境に関わらず凄まじい再生能力を持つことで知られる。これについては後述。
熱帯魚等を飼育するとたまに水槽内に出現するが、これは北米原産のアメリカナミウズムシ(まだら模様)やアメリカツノウズムシ(耳状突起が発達する)、東南アジア原産のトウナンアジアウズムシ(ナミウズムシにそっくり)、プラナリアではないウズムシ類のヒメヒラウズムシ(小さい)やエビヤドリツノムシ(エビに寄生する)などである。
水槽の壁面に張り付いて見栄えが悪くなり、魚の餌を奪い取ったり、脱皮直後のエビや鱗が無いナマズ・淡水フグなどの魚に集団で襲いかかり、時には殺してしまうこともある為、嫌われて駆除の対象になり、(駆除しようにもピンセットでつまむと千切れて2匹になるわ、雌雄同体なので交尾、産卵して増えるわで大変だが…)ペットショップ等でも罠や薬剤など駆除用の道具を販売している。
身体構造
口は体の中央裏側にある。消化管は体内で前後に伸び、分枝して体の隅々に至る。1部の種類では、イトミミズやアカムシ(ユスリカの幼虫)を食べさせると、全身の消化管に入ってゆく様子が見え、全身に消化管が分岐している事を観察できる。
消化管は前に1本、後ろに2本伸びており、これが三岐腸目の名前の由来となっている。肛門はなく、出入り口が一緒である。脊髄のないかご状神経系を持ち、目は杯状眼であり、レンズがない。光を感じることはできる。形状は種によって様々で、2つのつぶらな瞳を持つ者もいれば、とても小さな目を大量に持つ者もいる。
進化的には前口動物と後口動物の分岐点に位置し、三胚葉性動物・脳をもつ動物としてもっとも原始的なので、比較発生学・進化発生生物学でも用いられる。雌雄同体の特性から生殖生物学でも扱われる。
再生能力について
上記したように、再生力はかなり強い。
どれくらい強いかと言うと、「千切れた破片が何らかの力で運ばれ、その先で復活することで分布を広げた。」という嘘のような学説が有力説となるくらい強い。
細片に神経を含めば、かなり細分して再生する。
再生の際、頭部から後方に向かってしだいに減少するような生理的な勾配(Nou-darake(脳だらけ)遺伝子)がある。勾配が高い方から頭、低い方から尾を再生する。
砕けて言えば、千切れば千切った分だけ自身の分身を増やしていく生物である。ノウダラケ遺伝子という名称も正式な学術用語である。
なお、全ての種の再生能力が高い訳ではなく、例えばコガタウズムシは尾部から頭部を再生できない。
ナミウズムシ
日本各地の淡水域に生息するプラナリア。
プラナリアの中でも飛び抜けて高い再生能力を持つ事から、再生研究のモデル生物として使われる。
真っ二つにすれば2匹になるし、それを更に真っ二つにすれば4匹になる。
縦方向への切断を途中で止めれば頭が複数ある状態になる。やろうと思えばヤマタノオロチのような姿にする事も可能である。
ちなみに、宇宙空間でこの実験を行ったところ、前後両方に頭がついた個体が発生した(そんな個体は地球での実験では1度も発生したことがない)。どこまでも意味不明な生き物である。
再生能力は高いが環境には非常にデリケートで、きれいな水でしか生きられない。少しでも化学物質が入ると溶ける。この事から指標生物としても扱われる。又、『消化管に胃酸が残っていた場合は、刃物で切断した直後、自身の胃酸で消化される』。