概要
『オリンピア』の主神にして、『深く考える者』の名を持つ大神。神々が君臨するよりも前に『原初の火』を盗み、下界に落とした張本人。エピメテウスに炎の神器『炎鷲の嘴(エトン)』を授けた神物でもあり、詰まる所は全ての元凶(但し、漆黒のモンスターの出現に関しては迷宮(ダンジョン)の後出し)。
理由としては、既に大穴から溢れ出る魔物達に蹂躙されるだけだった人類を哀れみ、火の恩恵を与える事で地獄から開放してやろうと言う神意だった。
だが、『デミ・アルカナム』とも言われる程に下界で扱うには強大すぎる力を、よりにもよって魔物を滅ぼす武器として与える事など当然許されず、それを知ったゼウスに迅雷の速さで取り押さえられたが一歩及ばす、『原初の火」は下界に落とされてしまう。その地こそが『オリンピア』である。
その後の『オリンピア』は、英雄エピメテウスを筆頭に炎の加護を授かる戦士達が台頭し、安住の地を築き上げ今日に至っており、プロメテウス自身は主神として眷族たる【プロメテウス教団】に神託を提示し続けている。
だが、どういうわけかその炎が穢れ始め、異形が跋扈して瘴気が人々を蝕み出し、ゆくゆくはその影響が下界全土にまで及ぶ事を危惧した事により、ヘスティアやヘファイストスなど炎を司る女神の力を借り、浄化しようと彼女達を呼び出す事になる…。
結果として穢れた炎による災厄を呼び寄せてしまったが、『原初の火』がなければ地上に人は今の半分くらいしかいなかったであろうと、ヘルメスは想像している。
その正体と真実
事件の全ての元凶であり、全ての神が趨勢を見守る程に予断が許されない『オリンピア』にて、未だに姿を見せない先見の神。当初は、命達が遭遇した黒衣の神物『キュロス』こそが正体だと誰もが考えていたが、終盤ヘルメスによって真実が明らかになる。
ヘルメス「化かし合いは終わりだ――プロメテウス」
ヘルメスの見解としてまず、穢れた炎を浄化するにあたってプロメテウスには不安要素があった。その一つがエピメテウス。彼の憎悪は御しきれないと判断し、見張りという名の首輪をつける事にした。
その人物は、いかなる存在よりも神に忠実で、何が起ころうと裏切ってはならない。それがイリアであると考えていた。
しかし、ある一つの光景を目にした事によって、その仮説は覆る事になる。
ヘルメス「オレの結論は首輪になりすました君こそが神々の目さえ欺いたオリンピアの神意そのものだ」
そう、教団の末っ子巫女としてオラリオにも来訪した元気っ子イリアこそがプロメテウス本人であった。
「…な、何を言ってるんですか、神ヘルメス」
「私はただの巫女!己の全てを捧げ、悠久の聖火に救済を乞う存在!」
「私がプロメテウス様なんて、ありえません」
「――などと抜かすのも、時間の無駄か」
「如何にも我が真名こそプロメテウス」
「よくぞ見破り、辿り着いた――そう名乗れば満足か?天の同胞よ」
CV.佐倉綾音
天親爛漫で元気な少女の正体は、やや口の悪い女神。イリアの時と違うのは、口調と髪型くらいである。
ヘルメスが見破る事が出来たのは、彼女がベル・クラネルと言う儀式を妨げる可能性のある英雄に危惧を抱きすぎた事。彼の身を案じるフリをしておきながら、ずっと引き止めようとしていたのである。
そして極めつけは、彼に告白したある言葉。
全て何も気づいてないベルのおかげで、気づく事が出来たのである。自分を騙してまでベルに恋をし、愛そうとする彼女はヘルメスにとって非常に臭かったのである。
神特有の歪さを何一つ感じさせず、見事にイリアを演じた変身はゼウスとも遜色ない程とのこと。
そして、何よりあれ程激怒したゼウスが彼女に罰を与えなかったのは、プロメテウスという神は大層可愛らしい女神(女の子)であったからという事らしい(それは神としてどうなんだと思うが…)。
因みに、背中には恩恵を刻んでいるが、別に神自身に施してはいけないという規則はないため、刻んだらしい。
ヘルメス「まったく、たいした詐欺師(トリックスター)だぜ、貴方は」
そして結局の所、人類の救済は最初こそ上手くいっていたものの、迷宮の後出しとはいえ漆黒のモンスター達によって阻まれ、先を見すぎてしまったが為に手段を間違えた結果となった。
その後、眷族との関係を捨て、神としての理を優先し、情を捨てヘスティアを自分の身代わりとし、炎を浄化する事に専念するようになる。
しかし、エピメテウスの造反が予想通りだったのに対して、ベルという少年は彼女が生娘の真似までした説得など素直に聞くはずもないきかん坊であったため、一度憐れんでヘスティアの元に案内したが、最後の盤面はもはやどう転ぶか分からない状況となってしまった。
「もうわかっただろう。私の最大の失態とは綺麗事しか抜かさないあの子供を、甘く見下していた事だ」
ヘルメス「…だが、惹かれていたんだろう?」
「貴方は騙すために、ベル君達に接し続けていたんじゃない。主神を奪ってしまった後、自分でベル君達を守ろうとしていたんだ」
「教団の者達をオリンピアの軛から解き放った上で…ヘスティアの忘れ形見に、どこまでも贖罪するつつもりだった」
それ等全てをプロメテウスが認めた上で、ヘルメスは最後の質問を投げかける。
「プロメテウス、今は?」
「計画は破綻寸前に追い込まれた、今。貴方は『彼』に何を望む?」
二人の眼下では、復讐の為に猛威を振るう英雄とその憧憬でもあった彼を止めるべく、心を白い炎で燃やす英雄が激しく鍔迫り合いを演じている。
「……エピメテウスを止めてくれ、ベル」
全ての戦いが終わった後は、『天の炎』が無くなり寿命を迎えて、あとわずかしか生きられないであろうエピメテウスの前に姿を現し、謝罪した。エピメテウスは、レアがプロメテウスではないかと思っていた時期があったが、まさかイリアがプロメテウスとは予想もできてなかった模様。
それ以外ではヘスティアには誠意として、自身の正体を明かしている。もし順当にヘスティアが自らを犠牲にし、穢れた炎を浄化していれば、神を失ったベルに道具として自らを捧げるつもりだったという。
関連タグ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 超越存在 イリア(ダンまち)
いずれも本編において神威を消して人間になりすましたことがある女神たち。
中野四葉:『五等分の花嫁』の中の人繋がり。さらに主人公のキャストがベルで、妹の声がヘスティアである。あちらはイリアと同じく天真爛漫だが、初めから主人公に対する好感度が高いのが大きな違い。そして物語終盤にて衝撃の結末(ネタバレ注意!)を迎えることになる・・・。
可知白草:『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』の中の人繋がり。こちらも松岡と水瀬が主人公とメインヒロインとして出演しており、放送時期も最後だけながら『アエデス・ウェスタ』と重なっている。