「ふむ、我ながらエレガント」
概要
東国一の名門イーデン校教師で、第3寮<セシル>の寮長(ハウスマスター)。束ねた白髪と厳めしい口髭が特徴で、クラシカルなモノクルとタキシードを着用する、厳格なベテラン教師。
後述する一件からアーニャ・フォージャー、ダミアン・デズモンド、ベッキー・ブラックベルといった初等生第3組のクラス担任になった。
担当教科は歴史だが、作中では他の教師が病欠となった時に代理教師として授業を受け持つことも多い。
プロフィール
人物
MISSON:5にて、ロイドが事前に下調べしていた彼の性格は、ズバリ【エレガント】。「エレガンスが伝統を作る」「エレガンスこそが人の世を楽園たらしめる」と公言しており、それは他者を見定める際の評価基準にもなっている。
名門イーデン校の教師を務める誇り高さ故に、エレガントに欠ける者に対しての態度は厳しく、初登場時は「品のない家族は全て不合格にしろ」と命じる等、いささか権威主義に偏っているかのようにも見えたが、このエレガントの評価基準は当然に己の在り方に対しても適用されており、教育者として相応しい自分であろうと心掛けている。
ただし、品のある人間が減ってエレガントに飢えているのか、特にエレガントな振る舞いをする者を見かけると、「エルルルルェガンンンンンンンヌャスッ!!!」「ウルトラアメイジングエレガント」「プレシャスエレガント…ッ!!」と、かなりエレガントとは程遠いオーバーリアクションを取ってしまうのはご愛嬌。
二次面接の日、受験者の中でも一際エレガントな姿勢が目立ったロイドとフォージャー家の事は高く評価しており、先代校長の息子という立場を笠に着た下劣な教師マードック・スワンがヨルやアーニャを侮辱した際、怒りに堪え、エレガントな受け答えに終始したロイドに感服。
権力にへつらった己を恥じ、ロイドに代わってスワンを殴り倒している。
その行為の処分として寮長クラスでもあるにもかかわらず初等生担当となったが、本人は初心に返るつもりでへこたれていない。また、上記の反省から以降権威主義的な一面は無くなり、公平さと厳格さとエレガントさに磨きをかけた。
先述の通り厳格な態度で生徒に接しているが、一方で生徒間の友情を尊重する一面もあり、友人を思っての校則違反に対しては少しだけ温情を示すことがある。
没落貴族の生まれでイーデン校の卒業生。在学中は皇帝の学徒だった優等生。
人間関係
上記の入試での一件から、フォージャー家、とりわけロイドを高く評価しており、ロイドもアーニャの補欠合格に尽力してくれた彼の処分が比較的穏当だったことに「幸いだったな」という感想を持っている。アーニャも特別扱いなどしておらず、むしろ入学以降化けの皮がどんどん剥がれて、アホの子ぶりを発揮する彼女に厳しく目を光らせている。
初等生たちに対しても厳格に接しているが、物腰の柔らかさと生徒の話をしっかり聞く姿勢を持ち、バスジャック事件に生徒たちが巻き込まれた際は自らも現場へ赴き、「生徒たちを安心させてやりたい」という気持ちから食料と水をバス車内へ届けに行き、自分がチューターの身代わりとして人質になって犯人を説得するなど、生徒想いな一面もきちんと持ち合わせており、生徒たちからも評価されている。
過去
ベッキーの従者のマーサ・マリオットとはイーデン校時代の先輩後輩(自身が3学年上)だったが、互いに親しい関係にあり、タメ口を叩き合う仲。若かりし頃から厳しい顔つきと鋭い目つきではあるが、なかなかに整った容姿をしていた。この頃から堅物だったものの若者らしく血気に逸る一面もあり、不良生徒とリアルファイトに勤しんでいたこともある。
バレエの才能を見込まれたマーサがイーデン校に編入し、寮の新年度パーティーで彼女が余興としてバレエを披露したのがヘンリーとのファーストコンタクトだった(そして舞踏に対する感想でファーストエレガントが飛び出した)。当時既に皇帝の学徒だった彼の日課は今と変わらず朝のティータイムだったが、ヘンリーの淹れる茶の香りに惹かれたマーサが(勝手に)参入し、以後は二人のプライベートタイムとなる。ヘンリーが特待生権限で選んだ人気の無い裏庭でのティータイムは、ささやかながらも掛け替えの無い時間だった。
マーサとは自身の鈍さと彼女の奥手故に何年経っても関係が進展しなかったが、やがて自身もマーサへの愛情を自覚し、過去にはすれ違うこともあったものの、従軍した彼女の帰還を願っていた。彼女に想いを伝えるために。
しかし、後にマーサが所属する国防婦人軍が全滅したという報を新聞で知り、イーデン校の学校集会で
「黙れ!! 美談にするな」
「彼女たちの死すらプロパガンダに利用するつもりか…!!!彼女たちは犠牲者だ」
「このくだらん争いのただの犠牲者だ!!!」
と怒りと悲しみのあまりに周りからの制止も聞かず、反戦を大声で口走ってしまったことで当局に非国民扱いされ暴行を受けた(これにより左目の視力が落ち、モノクルを付けるきっかけになる)。親によって助け出されるが『見下げ果てた息子』と評価され、新たに取り付けた縁談を断ることは許されなかった。
彼が結婚したのは、幸運と幾つかの出会いに助けられマーサが命からがら東国に帰ってきたわずか1ヶ月前のことであった…。
妻・ルシアは篤志家で善良な人物で、縁談によって強引に結ばれたものの、夫婦仲は最期まで良好だった。2人の間には子供もおり、ヘンリーが子供に宛てた手紙をしたためている描写もある。
一方、ルシアはマーサのバレエ活動を裏方から支援し続けたことで、この2人もまた良き友人関係にあった。ルシアは15年ほど前に死去したが、マーサはヘンリーと共に毎年欠かさずルシアの墓参りを続けている。
関連タグ
アーニャ・フォージャー ダミアン・デズモンド ベッキー・ブラックベル