ヨーロッパの伝承などに登場する妖精の一種。またはファンタジー物の小説やゲームなどに登場する架空の種族のこと。
多くの場合はゲーム、特にコンピューターRPGに登場する「ゴブリン」の上位種族として登場する事が多い。基本的な個性は、その元となっているゴブリンのそれを踏襲する形になっている場合がほとんどである。
外見的イメージ
作品や描き手の解釈によって様々なのは言うまでも無いが。通常、ホブゴブリン単体で登場する事は有り得ないため。多くの場合、前述の様にゴブリンの姿形をほぼそのまま踏襲している事が多い。希により強い上位種である事を強調するため、大柄な種族(身長2mなど)として設定されたり。魔法的な超能力を有するとされる場合もある。
ただしいずれの場合にしても、何かしらの統一したキャラクターシルエットの様な物は、今のところ確立されてはいない。
妖精としてのホブゴブリン
英語表記では“Hobgoblin”と書き、凶暴なモンスターというよりは“悪戯をする悪い妖精”と言う認識である。日本人のイメージしやすい物で一番近い物は、映画の『グレムリン(Gremlins)』に出て来るグレムリン。
元々は森などに住み、時折人里に現れては悪さをする妖精という存在。同じ様な悪戯をする妖精として「レプラコーン」や「ピクシー」などがあるが。ホブゴブリンの場合は根底に人間に対する悪意があるため、場合によっては対象者の人間を死に追いやるような事も平気でする。
英語表記でも分る通り、元々は“Hob+Goblin”という2つの英単語が合わさって出来た言葉で。この場合の“Hob”とは古英語で「大きい」とか「立派である」と言う意味を持つ接頭語である。また“Hob”という綴りのみで「悪魔」という意味を表す事もある。この様に本来は“Hobgoblin”と表記していた物が、時代が下るにつれて省略され、ただ単に“Goblin”と表記する様になった物を。20世紀に入ってゲーム開発者などが新たに掘り起こし、全く別の種族として再定義した物である。
ゴブリンの王
前述の様に本来は明確にゴブリンとホブゴブリンの違いなどはない。しかしながら時代が下って創作された物語の一部には、明確にホブゴブリンをゴブリン族の長であると位置づけた作品も存在する。
1986年に制作された映画『ラビリンス/魔王の迷宮(Labyrinth)』では、デヴィッド・ボウイ演じる“ゴブリン王”こと魔王ジャレスが登場するが。彼の設定はホブゴブリンであるとされている。この作品に登場する敵役は、ほぼ全てゴブリンであるが。その長である魔王ジャレスは妖艶で長身長髪の美青年として表現されている。また魔術的な力にも長けており、主人公の少女サラに忘却の魔法をかけたり。時間を逆戻りさせたりといった、ガンダルフも顔負けの超魔術を見せ付ける。
善性
一方でホブゴブリンは、時にイタズラをするものの、ブラウニーのようにある種の守護妖精として認知されていた節もある。児童書『スパイダーウィック家の謎』においては、お調子者で人を苛立たせはするものの、一般の残忍で邪悪なゴブリンとは一線を画したキャラとして描かれている。
- ゴブリンは集団で悪事をなすが。ホブゴブリンは単独行動が多く、子供の悪戯の域を出ない。
- ゴブリンは緑の肌がむき出しになっているが。ホブゴブリンは薄茶色の毛でおおわれ、服も着ている。
- ゴブリンには歯が無く、代わりに石やガラス片を口に嵌めているが。ホブゴブリンは子供の抜けた乳歯を嵌めている。
~以上の様に『スパイダーウィック家の謎』においては、ほとんど別の種族として描かれている。
実在したホブゴブリン?
歴史上、実在したとされるホブゴブリンが居る。それは日本人にもお馴染みの“森の英雄ロビン・フッド(Robin Hood)”である。
ロビン・フッドは13~14世紀の文献に登場し。イギリスのノッティンガムにあるシャーウッドの森に住み、圧政を敷いた領主に反抗するために、義勇軍を組織して戦ったアウトロー集団の首領とされる。その後、多くの吟遊詩人によって彼の物語は吟じられ、一編の叙事詩として今に伝わっている。歴史学者の間ではその存在は疑問視されており、通説では複数の人物が合成されて出来上がった民衆ヒーローであるとされている。
この時の彼の通り名である「ロビン」は、英語圏では相性が「ボブ(Bob)」となるため。発音が前述の「ホブ(Hob)」と良く似ているため。時折、ロビン・フッドはその神出鬼没な様から、森に住むゴブリンたちの首領であり、彼自身もホブゴブリンであると考えられた。
その他の創作での扱い
スパイダーマン
1983年に登場したスパイダーマンのヴィラン。
詳細はこちらを参照。
女神転生シリーズ
『真・女神転生』に登場する種族”妖精”の中堅悪魔。同シリーズに登場するゴブリンとは外見が大きく異なり、太った妖精の戦士とでもいえる姿である。
特筆すべきはSFC版のバグ技で召喚できる、本来は魔法の名前である最強の魔神マハラギオンがいかなるデータのいたずらか、この悪魔の姿であることである。
富士見ミステリー文庫の小説『真・女神転生廃墟の中のジン』のコミカライズでも、見た目はホブゴブリンだが、強大な力を秘めたバグ悪魔として描写された。
青の祓魔師
ルナル・サーガ
物語の舞台となる世界ルナルの種族の一つ。7つの月のうち5番目に現れた『黒の月』の悪魔を崇める事で人間が「歪んだ」(変異した)もの。
獣人じみた外見をしている。性質は残忍、好色、酒乱という、負の側面が過剰に強調された人間への悪意あるカリカチュアとでも言うべき存在。
男性しかおらず繁殖には他種族の女性を孕ませる。
同じ黒の月の種族にゴブリンが存在しているが、元になったのは別種族であり直接的な関係は無い。
ゴブリンスレイヤー
「田舎者(ホブ)」と呼ばれる。先祖返りにより大型化したゴブリン。
その腕力により群れのボスや用心棒をつとめる。
ちなみに長寿種族であるハイエルフがゴブリンを指す単語は「オルク」であり、俗に言うオークとは古い時代のホブゴブリンと同一のものという可能性がある。
SDガンダム外伝
ゲームボーイで発売されたゲーム『ラクロアンヒーローズ』において、序盤の中ボスとしてゴブリンザクの親玉ホブゴブリンが登場する。
異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。
物語序盤で悪意に満ちた人間達に襲撃されながらとある森に逃げ延びてきたホブゴブリン率いるゴブリンの群れが登場し、父や護衛者達と共に森の調査にやってきた主人公が幼いゴブリンが仕掛けた罠で洞窟内に連れ去られたことがきっかけで主人公達と接点を持ち、人語を話せるホブゴブリンが洞窟の外で主人公の父と話し合いをしている最中に蜘蛛の魔物が現れ、ホブゴブリンが死闘の末蜘蛛の魔物を倒すが、その無残な光景と蜘蛛の魔物が死ぬ直前に子供を産んだことにより激しいショックを受けた主人公が号泣する様子を眺めていたホブゴブリンが突如全身を光に包まれ、額に角が二本生えた人と鬼の中間のような姿に進化(聖獣である炎竜でも理解不能)し、その後主人公によって森鬼(しんき)と名付けられ、主人公の人柄を認めた森鬼は彼女に忠誠を誓い、以後彼女の護衛者として道中を共にする。