解説
CV:ファイルーズあい
本来は乙女ゲーム『光の魔法と勇者様』の悪役令嬢(チョイ役)かつ、本編クリア後のやりこみ要素の中で裏ボスとしてヒロインの前に立ち塞がるキャラクターだが、作中においては「日本人のガチゲーマーだった女子大生として生きた記憶を持つ転生者」であり、自身の破滅を防ぐために行動していくうちに、周囲を無自覚に振り回していく。
人物
魔王と同じ黒髪黒目(※)という容姿、人間の中では希少な闇魔法の使い手であることから、誕生直後から忌避の対象となり、両親は育児を放棄して会うどころか手紙のやり取りもせず、世話を押し付けられたメイドや教育係も最低限の接触しかしてこなかった。
さらに、5歳のときに前世の記憶に目覚めたことで、「乙女ゲーよりもRPGが好きなゲーマーとしての性」が悪い方向に作用した結果「裏ボスとして倒されることを回避するためには、徹底的にレベルを上げればいい」という考えに至り、10年間レベリングに邁進した。
そして15歳で学園入学する頃にはレベル99までカンストさせてしまい、その異常な能力と容姿のせいで周囲にドン引きされることになった。
基本的に無表情。さらに前世の影響で感性が常人よりもズレている。そのせいで余計な混乱を引き起こしては周囲に畏怖されるが、最初の友人であるパトリック・アッシュバトンをきっかけに徐々に理解者を増やしていき、それに応じて表情を顔に出すようになる。
実家とは上記の通り疎遠だったが、メイドのリタを使って自身の暗殺まで企てていたため、強引に譲位させ実権を奪い取り、魔王討伐後は前世知識や自身の威光のもと領地改革を進めている。
前世の時点からガールズトークすらまともにできないコミュ障だったため人付き合いには重きを置いておらず、自身の実力が明らかになってからは過激派に属する貴族から言い寄られる都度に辟易し、交際の申し込みも「自分より強い人が好き」という決まり文句で断り続けていた。
後に自分を理解してくれた(+危なっかしさを放っておけなかった)パトリックと交際を始める。
また、エレノーラのことは政治的に面倒なため避けようとしていたものの、当人が天然ボケ過ぎたせいで策がことごとく裏目に出た結果、逆に懐かれている。
ゲームにおける本来の主人公であるアリシアや3人の攻略対象者達との関係は、媒体ごとに異なる。
(※)Tea氏デザインの書籍版だと、その黒目も小さく三白眼でもある。
能力
前述の通りレベルがカンストしているため、物理・魔法共に作中世界の人類最強レベル。
本来のゲームでも、レベル1の時点で勇者パーティが全員カンスト+最強装備仕様で挑まないと無条件で敗北確定というポテンシャルの持ち主だった。
ただし「自身の力に耐えうる強度の武器がほとんど存在しない」「闇属性魔法しか使えない」「闇属性と相剋関係にある光属性の攻撃には弱い(回復魔法である「ホーリーヒール」などの非攻撃性のモノであっても身体を灼かれるような痛みに襲われる)」という弱点を持つ。
のちにユミエラ2号(後述)と戦い取り込んだことでレベル上限が解放され、さらにレベルカンスト状態のまま趣味のレベリングを続けて溜めた膨大な経験値が反映されたことで、レベルは推定で1000を超えるまでになった。なおレベル測定器は2桁までしか表示できないため正確なレベルは不明である。上限突破以後も趣味のレベリングに勤しんでおり、なおもレベルは上がり続けている。
また、「ヒカユウ」世界の上位世界にあたる現実世界から転移してきたため「ヒカユウ」世界の神以上の権能を持っており、平行世界間転移などの世界の理から外れた現象を引き起こすことが可能である。
異常なレベルの高さとこの権能のため、「ヒカユウ」世界を管理する神たちからはかなりの厄介者として見られてしまっている。
習得魔法
- ダークフレイム
炎のように見えるが熱は無く、性質的には硫酸や王水に似た何でも溶かす闇魔法。
『悪役令嬢レベル1』によると、(こんな凶悪な性能にもかかわらず)ユミエラがレベル1の時から使える、すなわちまさかの初期魔法なのである。
レベルに関わらず、大きさは豆鉄砲クラスしかないが、低レベルのうちは炎が触れた部分を溶かすのが精一杯であり、延焼による全てを溶かし尽くすことはない。
- シャドーランス
影から飛び出してくるトゲ状の物体で攻撃する闇魔法。
ドラゴンなどの空中に浮く対象にはランス状の形で乱れ撃ちするなど、形状は複数ある模様。
その性質上、影のない場所では打てないが、ゲームのユミエラは何故か背後から生やして攻撃に使っている描写があった。
こちらも『悪役令嬢レベル1』にて初期魔法であることが語られ、ユミエラは魔法の自主練用に3〜4桁レベルで乱れ撃ちしたとのこと。
- ダーク・バインド
敵を拘束する事が可能な拘束系闇魔法。
ユミエラが完全操作しているわけではなく、ある程度自律稼働しているらしく、暇つぶしにじゃんけんをするなど、忌避の対象とされ孤独な幼少期を過ごしたユミエラにとっては便利な友達であった(その様子を目撃された結果、メイドたちからは余計に恐れられ敬遠されることとなったが)。
ちなみにコイツみたいに攻撃能力・殺傷能力を持っているわけではないため、ユミエラの魔法で唯一の非殺傷系・人畜無害な魔法であるが、口を塞いだりなど、使い方次第では攻撃に使うことも可能といえば可能である模様。
こちらも例の如く『悪役令嬢レベル1』にて初期魔法と語られた他、コミカライズ一巻のおまけ漫画によると齢5つの頃から使っている彼女の相棒にも近い魔法なようである。
- ブラックホール
ユミエラと魔王しか使えない最強の闇魔法。範囲内の物質を消滅させる。
一瞬展開しただけでも範囲内は空気を含めて消滅するので真空状態となり物理的な二次効果が発生する。
アニメ版では第2話でユミエラが「ブラックホール。重力場をコントロールして範囲内の物質を無条件で消し去る魔法」と解説した為、(特に視聴者から)天文学におけるブラックホールと混同されている(原作に重力要素はない)(アニメ終盤では重力描写その物が無くなっている)。
使いこなせれば、耳掃除にも利用できる優れもの。
実は発動は一瞬だが、出現〜消滅までにタイムラグがあり、その消えるまでの間に対象範囲から逃げれば回避可能…なのだが、実際にはほんの一瞬しかないため、ユミエラレベルのチートスペックでもない限りは机上論に終わってしまう。
こちらは『悪役令嬢レベル1』では低レベルだと使えず、彼女がレベル上げを行う一つの目標にもなっていることが語られた。
- ヒール
回復魔法。
細い手のようなモノと瘴気が患部を覆い負傷ないしは欠損部を再生させる…のだが、回復効果の見た目はとてもグロテスク(自然治癒をビデオの早回し様に見せられるイメージとのこと)。(目を瞑れば…という前提がつくが)心地よい感覚ではあるとのこと。
- ユミエラパンチ
アニメ版では、『ユミエラパンチとは私の繰り出す超高速パンチだ。レベルが低いと見ることもできない!』と解説されている。要するにただの高速で繰り出すパンチ。ゲームで再現されたとしたら、恐らく1Fで繰り出されていると思われる。なお、この異常な速さのパンチを視認出来たのはアドルフ騎士団長とパトリックの二人のみとなっている。当然だが魔法ではない。
- ユミエラキック
アニメ版で登場した『ユミエラパンチ』のハイキック版。当然だが魔法(ry
- ユミエラダッシュ
コミカライズ版で登場したユミエラの疾走。ユミエラの持ち前の身体能力により超高速での移動を可能とする。その速度は学園の中で(ユミエラを除けば)最高レベルのエドウィンとパトリックの視界から一瞬で目視できなくなるほどである。本来は高速移動のみの効果だが、そこにユミエラの(シャンデリアの落下の直撃を受けてもかすり傷一つつかない)絶対的な防御力を合わせることでひき逃げの原理で敵を一掃することも可能。当然だがm(ry
- (名称不明)
アニメ一期OPにて、パトリックと共に魔物の群勢に囲まれたユミエラが使った魔法。ユミエラの手から放たれた稲妻のような魔力により、包囲網状態だった魔物を大地ごと削り取って一瞬で消滅させた(この結果、ユミエラたちがかろうじて立てるぐらいの足場を残して大地がドーナツ状に抉り取られてしまった)。
本編以外のユミエラ
ユミエラ2号
「ヒカユウ」の別の世界線(裏ボス化し世界を滅ぼしたルート)のユミエラ。
平行世界の同一存在なだけに、容姿はユミエラと全く同じであるが、
- 片目が隠れるレベルで前髪が長い。
- 漆黒のゴスロリドレスを着ている(曰く、「ヒカユウ」の裏ボス衣装)。
- エレノーラやリタに対し、嫌悪感を抱いている。
など、相違点がいくつかある。
最初はあまりにも自分と違いすぎる今世界のユミエラ(ユミエラ1号)に嫌悪感を覚えていたが、バッググラウンドとしてはユミエラ1号と同じ「孤独な幼少期を過ごした存在」なため、最終的には同じ存在であることを受け入れた。
なお、向こうの世界線でもパトリックは彼女を気遣い希望となろうとしてたこともあってか、恋心を抱いており世界を滅ぼすドサクサで(直接確認したわけではないが)殺したことを悔いている。
そのため、今世界で絶賛存命中のパトリックを見た際には思わず嬉しそうな表情を見せている他、彼から剣を向けられた際には抵抗せず受け入れようとするなど、本編のユミエラ以上にパトリックへの愛が深い描写もある。
悪役令嬢レベル1バージョン
Blu-ray初回生産特典の「もしもユミエラが前世の記憶を取り戻すのが入学式当日だったら?」というifストーリーで主人公を務めるユミエラ。
レベル上げをしないまま学園の入学式を迎えたことで、
- アリシア:低レベル故、黒いモヤもなく視認できてる他、希少属性持ち同士ということもあり、全媒体中で最も友好的に接される。
- エドウィン:学園の一生徒として接される。
- ウィリアム:裏ボスの初期スペック任せな脳筋思考を気に入り、攻略対象の中で唯一ユミエラに好意的に接する。
- オズワルド:希少属性持ちなだけで魔法の才能を未だ開花させてない彼女を見下す(この過程で、アリシアのことも馬鹿にしてる)など、様々な人間関係に変化が生じている。
またエレノーラの率いる、反国王派の令嬢グループの加入を断る理由がないこともあり、ユミエラ2号同様、同グループに所属することになっている。
野外演習も普通に生徒側の参加になるが、このためパトリックとの仲を深まるきっかけも失い、Blu-ray3巻分・全3話通して漸くお互いの名前を認識した段階で終わるほどに進展が遅い。
前世の姿
アニメ一期1話にて登場。描かれたのは、ゲーミングチェアに座った後ろ姿と、鼻から下の顔だけ映ったゲームのコントローラーを持った正面姿のみ。
ユミエラが紫がかった黒髪なのに対し墨汁のように真っ黒い髪をしており、女っ気のない部屋で無地のTシャツを着て新学期早々徹夜で「ヒカユウ」のゲームをクリアするまでプレイするなど、典型的な喪女であった。
学部は経済学部あるいはそれに類する学科で領地経営にそこそこ活かせるモノだったそうだが、一年次のうちに逝去した上、そもそも最低限の学びしかできない受動的な姿勢(「授業には出てノートもちゃんと取って、テスト前だけ試験勉強する」という最低限すべきことだけする姿勢)だったため、あまり前世の知識チートによる無双はできていない。
異世界転生の原因となったトラックによる轢殺時には、友人と一緒にいたらしいが、逝去したのはユミエラ(の前世のJD)のみで友人は無事だった模様。
余談
要するに大魔王?
作品の副題にも「私は裏ボスですが、魔王ではありません」とあり、事あるごとに自分は裏ボスであることを強調する彼女であるが。
記事の媒体によっては、裏ボスもとい隠しボスの定義に「やり込み要素に登場する、倒さなくてもいいボスキャラ」という内容が含まれることもある。そして、この定義でいうと、ユミエラという存在は「世界滅亡を狙ってる」以上、倒さないでいいわけがないので「裏ボス」というよりは真のラスボスに近い。
本来のユミエラはどこに消えたのか
実は本作のユミエラは転生者ではなく、魂を無理矢理容れられた憑依者であることが第3章にて明らかになった。
このような転生のケースとして、なろうの他作品では悪役令嬢になんかなりませんや悪役令嬢の中の人、メディア作品では妻、小学生になる。などはあるが、いずれも憑依された側の元人格は精神世界から憑依者の動向を覗いていたり、たまに元人格が表に出てきたりするなどで、元人格は元人格でちゃんと存在しているものなのだが。
ユミエラの場合、本来のユミエラ・ドルクネスが表に出てくることもなければ、精神世界に閉じこもっている描写もなく、完全に謎となっている。
憑依した段階で魂が混ざり合ってしまった可能性もなくはないだろうが、果たして2号以外で本来の彼女が作中にて触れられることはあるのだろうか。
関連動画
テーマソング
- Theme of Yumiella Dolkness
- Confutation by Yumiella
- Consideration of Yumiella