「両翼を広げて敵を包囲せよ」
概要
原作小説並びにOVA、漫画化された『銀河英雄伝説』に登場する、自由惑星同盟側の軍事キャラクターの1人。階級は少将、分艦隊指揮官で2500隻を統率している。容姿的にはおおよそ軍人に見えづらく、独創力などとは無縁とも言える人物。
艦隊指揮はするが、参謀長マルコム・ワイドボーン大佐に殆ど頼りきりである。小説では名前だけの紹介で台詞は一言もない。OVA化に際しては、姿こそ2カット程出て来たものの、台詞は一言のみで終わっている。ラインハルト少将指揮下の3000隻と対峙し、あっけなく戦死する。
藤崎竜氏の描いた漫画版では、小説版と違って指揮下に3000隻に増員されている。小説並びにOVAよりも非常に登場機会並びに台詞と、恵まれたものと言える。性格がはっきりしないOVAと比べて、漫画版ではよりワイドボーンに頼り切った姿勢と、逸れでありながら出世欲が強い部分が描かれていた。同時に手順通りにしか事を運べないという性格も追加されている。
また、原作ではワーツ少将が先に戦死していたが、漫画版ではキャボット少将が戦死してからワーツが戦死するなど順番が入れ替わっている。
経歴
分艦隊指揮官として第6次イゼルローン攻防戦に参加した。主力艦隊ではない為か、前哨戦として回廊出入口の確保に専念していた模様。そんな中、ラインハルト指揮下の分艦隊3000隻と遭遇。ワイドボーン大佐の進言「両翼を広げて敵を包囲殲滅する、のが順当でしょう」に従い、艦隊の両翼を伸ばしての包囲殲滅を指示した。
ところが兵力集中して突進を図ってきたラインハルト艦隊によって、分散していたワーツ分艦隊の中枢部を直撃されてしまう。これによって薄くなった陣形に穴を空けられただけでなく、中心部に位置したワーツの座乗艦『シャムシュ』まで砲火を受け、一瞬にして轟沈に追い込まれた。
撃沈されるその時まで、ワーツはボーッと突っ立ってワイドボーンの狼狽ぶりを眺めるだけで、何のリアクションもないまま戦死したのである。ある意味肝が据わっていたか、あるいは危機感が欠落していたキャラとも言えるであろう。
漫画版
第6次イゼルローン要塞攻防戦の初戦でラザール・ロボス元帥より、キャボット少将共々に回廊出入口の確保を命じられる。キャボットがラインハルト艦隊によって戦死し、次にワーツ分艦隊がそれに遭遇する。
キャボットが敗死した事を受けてワーツは明らかに動揺していたが、ワイドボーンの提言を受け入れると息を吹き返したように意気揚々となる。逆L字形による十字砲火が功を奏すると確信し、ワイドボーンを賞賛していたが、ラインハルトの変則的な機動戦術によって左翼部隊を左側面から直撃されてしまう。
この直前にワイドボーンは即時撤退を進言したが、包囲殲滅できると確信していたワーツは、これで戦果をあげれば中将に昇進するのも夢ではないと豪語していたがため、横やりを入れてきたワイドボーンに「何故後退する必要があるのか」と疑問を呈した。
直後に側面からの襲撃を受け一気に顔色を変えて狼狽、挙句にはラインハルト艦隊の行動分析を説明せよとさえ言い出し、これが決定的な失策となる。あまつさえ会議で対策を練るべきだ、等と決断力に欠けた事を言っている間に旗艦に直撃を許す。
艦橋内も被弾し、ワーツは艦橋内の破片に頭を潰されて即死した。
余談
OVA版の登場シーンの短さは、これでも自由惑星同盟軍 第3艦隊司令官ルフェーブル提督の「おぉっ!?」よりは数秒長い。