ロボット兵(天空の城ラピュタ)
ろぼっとへい
※ラピュタのロボット兵の原型となったキャラクターについてはロボット兵を参照。
自律行動を行う人型のロボット。
古代空中都市国家ラピュタの保有していた戦力の一端である。
大別して通称・戦闘用とされるタイプ、非戦闘用と思しき園丁タイプ、ラピュタ深部で朽ちていた詳細不明の名称不明のタイプがある。
高出力のビームを多用し、胸のジェットで飛び回るなど高いエネルギー消費の行動にも耐え、耐久性も高く不滅の存在にも思えるが、永遠に稼働できるという訳では無いようで、劇中では何らかの理由で動かなくなってしまった個体が多数登場する。
上記の通り動力源といった技術関連の詳細は不明で、ラピュタ内にあったであろう生産施設や補修設備等の描写も皆無である。
- 戦闘用
劇中で登場時間、個体数共に多いタイプ。
ラピュタから墜落し、ラピュタの実在を人類に知らしめた。
同型のものは稼働状態でラピュタ内部に保持されていた。
尚、『ジブリ美術館』には朽ちた園丁タイプを再現した展示があるが、ベースにされているものはこの戦闘用タイプ。
- 園丁
ラピュタの第3層とされる庭園で保全活動を行っている。
戦闘用とは体色、腕部の形状に違いがある。
頭部のデザインは共通だが兵器を搭載しているかは不明。
稼働中の1機、既に活動を停止し朽ちた個体を含め、同型が複数登場している。
- 旧型?
終盤シータがムスカから逃走を図るシーンの背景にある非稼働状態のロボットたち。
頭の形状、ビーム砲口の配置などに上述の2タイプとの差異がある。
来歴など含め詳細は不明。
外観
頭・胸(+腕)・腰(+脚)という構成。
砲弾のような円錐形の頭部と逆三角形の幅広の胴体、蛇腹状に連結された四肢を持つ。
胸の上部には赤く着色されたラピュタのエンブレムが付いている。
頭は首の棒のような軸に連結されているが、可動の自由度は高くかなりフレキシブルに動き俯角仰角共に確保可能。
戦闘用タイプとそれ以外のタイプ(劇中では園丁をしていた個体が登場)がおり、腕部のトゲ(下記のように飛行用の被膜用装置)の有無で判別できる。
戦闘タイプは茶色系だが、園丁をしていた個体は経年劣化によるものか仕様かは不明だが、緑色がかった褐色をしていた。
飛翔時には腕が変形し、トゲが伸長、それぞれの間に翼膜が展開される。このとき胸の膨らみはパルスジェットのような炎を吹く推進器となる。園丁タイプは被膜展開用のトゲがないため、恐らく飛行は出来ない。
頭部の目のように配置された大小の穴はビーム砲口であり、破壊力の高い高出力のものと、低出力ながら精度に優れる2種を使い分ける。縦に配置された2つの発光器はインターフェースであるのか、戦闘タイプ、園丁タイプ共に関係者との接触時に、規則性のある発光を行っている(同時に会話するかのように信号音を出すこともある)。
戦闘用
ラピュタから何らかの理由で落下し、墜落したものが発見されティディス要塞にて保管されており、ムスカによって連行されたシータと引き合わされた。
発見当初は動力などの核心部は既に死んでいると認識され、動く見込みはないと見られていたが、シータの所持していた飛行石と「呪文」に反応して起動、強力なビームを用いて要塞を単機で半壊させる。一連の行動はシータを護ろうとするための行動であったようで、幾度か意味ありげな音声と忠誠を示すかのような胸に片手を当てるポーズを取っている。
要塞の火砲をもってしても致命的な破壊には至らなかったが、シータを要塞から逃がした直後に飛行戦艦ゴリアテからの砲撃を胸部に受け破壊されてしまう。
- 最初に発見された1体はティディス要塞にて保管されており、かつて空から落下してきた個体(しかも当時落下してきた場所は農村の畑)を軍が回収したものであるとされている。
- 劇中では荒れそうな雲空を眺めていた農夫の上に遥か上空から落下してきて、農夫とその妻らしき女性が慌てて逃げた直後に地面と激突するシーンが描かれている。恐らくはこの時の上空の雲がラピュタを包んでいた低気圧の塊「竜の巣」である。小説版では農地に落ちたのは同じだが、少々、経緯が異なる描写が描かれている。落下してきたのはロボットのみで他の遺物等が落ちてきた様子はないため、恐らくはラピュタ下部に待機していた機体(終盤でムスカがゴリアテに向けて出撃させたものと同様)だった1体が何らかのはずみで落下したのだと思われる。
- 左腕を半分、右足首の下を失っており、この時点ではとうの昔に死んでいると認識されていたが、シータが幼少期に教えられた呪文を何気なく唱えた直後に再起動した。
- このロボット兵を発見したことが政府にラピュタの実在を確信させ、その調査を開始させることになったことがムスカの台詞から解る。
- そのあまりにも圧倒的な火力は周辺の集落にも余波が及び(ドーラ一家が上空を飛んだ集落の比較的高い建物の屋根はビームに掠められたことで爆発していた)、燃え盛る要塞一帯の光景を見てひどくショックを受けたシータは、自らの身を挺してまでロボットに攻撃を辞めるよう懇願している。
- 終盤にはラピュタ内で保存されていた同型機が多数登場。指揮官を失い混乱状態に陥った軍隊に追撃をかける。
園丁タイプ
パズーとシータが流れ着いた庭園で稼働を続ける一機、朽ちて様々な姿勢で停止した多数の同型機が登場。体にコケが生えるほどの期間稼働状態にあったと思われ、既に一機を残し朽ちて苔むしている。
- パズーとシータが乗った凧に手を掛けるが、鳥の巣とその玉子を守るための行動だったようである。
- 定期的に施設内を巡回し、墓標のような石碑らしきものに花を供えている。
旧型?
終盤、ムスカの手から逃れ遁走するシータの背景などに描かれた、朽ちたロボット達。
ある者は壁にもたれ、ある者は横たわり、いずれも木の根に覆われつつある。
既に破損しているのか動くことはなかった。
「凄まじい破壊力を持つロボットの兵隊だよ
こいつが空から降ってこなければ、誰もラピュタを信じはしなかったろう
こいつは地上で作られたものではない」
防御性能
ラピュタの科学力で作られたその装甲は非常に堅牢であり、軍の研究でも構成材が何なのか特定できなかったとムスカが発言している。
重機関銃や兵士が携行するライフル程度では傷一つ付かず、要塞の建材である石材に激突しても破損しない恐るべき耐衝撃性、更には熔鉄に浸るという超高温環境下に置かれても一切のダメージはない脅威の耐熱性を持つ。
信管を抜いてはいたが、トーチカ砲の砲弾の直撃ですら胸部装甲が凹む程度という高い靭性、展性を示し致命傷には至らなかったが、空中戦艦ゴリアテの砲撃(信管あり)を凹んだ箇所に受け、ようやく破壊に至るという異様なまでの防御力を有している。
攻撃性能
両目に見える部位に備えた光線砲は口径が小さい物(右目)と大きい物(左目)があり、小口径は対人用と見られ比較的低出力であり、高出力な大口径側は遠距離への高火力攻撃に使用している。その射程は長大で直進性、延伸性に優れ、要塞から推定5~6Kmは離れている町の建物にまで届いている。この光線は石材さえやすやすと貫通する威力があり、着弾点には爆発が起きるほどの計り知れない熱が作用していることが窺い知れる。本ロボットを収容していた要塞の火砲、外壁、内部はこの大口径光線砲により次々と破壊されている。
本当の眼(感覚器官)にあたる部位は中央に縦に並んだ二つの小さなセンサーとされており、外からの刺激に対しては、ここを発光させて反応していることもあった。
対人用の小口径光線は着弾しても爆発しないが、発振時間を短くし銃弾のように放ったり、長く照射して木造橋を切断するといった使い分けも可能。
上記の様な非常に高い破壊力を持っているにもかかわらず劇中では極めて短い間隔で光線砲を連射しており、エネルギー切れや弾切れとは無縁な未知の動力で稼働していることを窺わせる。
- ムスカも「凄まじい破壊力を持つロボット」と述べており、どういった兵器を積んでいるのか、ある程度は掴んでいたのかもしれない。
運動能力
手足は極めて柔軟であり、二足歩行は無論の事、四足状態で高速ではい回る、手足を丸める形で収納される、などの挙動が可能。
腕部のトゲの間に皮膜のようなものを展開し翼のように変形させ、胸部にある二つのコブのような形状のブースターで推力を得て飛行する事も可能。
要塞の半壊機は屋内かつ片腕が欠損していたために不安定であったが、それでも十分に飛翔し目的地点にまで到達している。
物語中盤の半壊機や終盤の自壊機の内部構造は、よく見ると妙に生物染みており(稼動している時は内部の機構がミミズのようにウネウネと動いている)有機体ロボットの可能性もあるが詳細は不明である。
思考能力
再起動してしばらくは自身の進行の障害となった保管庫の石壁や隔壁を破壊する程度と、最低限度といえる攻撃にとどめていたが、トーチカ砲による砲撃が命中した際に致命傷こそ負わなかったもののシータにも着弾時の衝撃が及んだこと、直後に軍の兵士達が気絶しているシータのおさげ髪を掴むなど手荒に扱っていることにより、軍を「王の末裔たるシータに害を成す敵」と認識したのかそれまでとは打って変わり、明らかに積極的な攻撃を繰り出し、瞬く間に要塞一帯を壊滅状態に追いやってしまった。
- その惨状はシータ救出に駆けつけたドーラも思わず「まるで戦(いくさ)だよ」と漏らすほどでありラピュタの技術力、科学力の恐ろしさを物語っていた。
- 園丁をしていた個体、要塞に収容されていた個体共に、話しかけられた際などにあたかも返事をするかのようにセンサーも光らせながら信号音を出している。また園丁個体は歩行する際にも独特の音を一定間隔で出している。自身が移動、接近していることを周囲の歩行者等の人間に知らせるための一種の警告音だったのかもしれないが、詳細は不明。また、この個体は戦闘型のように四本足歩行をせず、常に二本足で自身を目立たせるかのようにゆっくり歩いている。
舞台がラピュタに移り、庭園や墓石周辺などに大量のロボット兵の亡骸が放置されている。
庭園にはまだ稼働しているロボット兵もおり、主がいなくなったラピュタで一人庭園での作業(園丁)をしていた。
ラピュタ内部には現用可能な状態で保管されているロボット兵がおびただしい数で残されており、ラピュタの権限を掌握したムスカ大佐の手により再起動。中盤で見せつけた高い性能と数の暴力で軍を攻撃し、ゴリアテすら短時間で撃沈させてしまう。
しかし、パズーとシータが唱えた「滅びの呪文」により、上記の自然の楽園となったラピュタを守っていた園丁の1体を除く全てのロボット兵がラピュタと共に自壊し瓦礫と共に海へ消えていった。
またこの時には、要塞では砲弾すら致命傷にならない規格外の防御力を発揮した装甲が、崩壊の中で自然落下しただけの瓦礫に損壊させられていたことから(簡単に手足や首が落ちてバラバラになっていった)、ロボット兵の防御力は素材の物理的堅牢さよりも、稼働中に何らかのエネルギーで補強していると想定される。
- 園丁をしてる個体はキツネリスを連れている。
- 本作に先駆けて、『ルパン三世PART2』・「さらば愛しきルパンよ」に登場していた「ラムダ」にあった二重反転プロペラは無くなっているが、代わりに胸部についたブースターと、腕部から出る飛膜らしきものを使い、飛ぶ事が可能である。