概要
万国(世界のすべての国)の国旗。すべてでなくとも複数の国旗が並んでいれば万国旗と呼ばれる。
日本人が見つけてしまった結果
実は戦後、だいぶ遅い時期まで、日本の万国旗の使い方は無礼にあたるとされ、外国人に激怒されることがしばしばあった。
と言うのも、本来国旗というのは自国の象徴であり、自国を第一に考える国際社会において、日本人が装飾を目的に自国旗を使われる、しかも他の国と並んで、と言うのは、本来到底許容できない行為なのである。
(しかも多くの場合において、自国旗である日の丸は大きく高く掲げているのだから、なおさらである)
日本も日の丸が日本の象徴であることに変わりはない。
ところが、固有の領土において陸続きの国境線がほぼ全くと言っていいほど存在せず、約2600年に渡って大東亜戦争までマトモな「敗戦」を経験してこなかった日本人にとっては、その主張する意味(自国とその主権の存在)についての認識が凄まじく低いのである。
日本で現在の使い方が定着してしまったのは、明治維新後、日本が国際社会に組み込まれて間もなく、万国博覧会に参加することになってしまった為だ。
複数の国家の国旗を並列に掲げるというのは、あくまでその行事に参加している国を並列に扱う、ということを意味するものだった。万国博覧会では、その意味で万国旗という形になったのである。
だが、もともとそういった意識が薄い上に、徳川300余年の鎖国により、国際社会での「常識」からズレてしまっていた日本人は、万国旗を見て「華やかな行事で使われる飾り」だと勘違いしてしまい、自国内の行事でも使うようになってしまったのだ。
しかし、現在の価値観から見ると、日本以外の国の意識の問題でもあった。第二次世界大戦終結後、国際連合による世界秩序が築かれた後も、しばらくは強国(分けても、西欧諸国)が弱小国・後進国を(時に強権的に)指導するというのは当たり前だという認識は、強く残っていたのである。
だが、ベトナム戦争におけるアメリカ合衆国の挫折などを経て、国家間の関係に対する認識が変わっていった。
一方、その裏で日本は焼け野原の敗戦から這い上がり、経済強国になり、ヨーロッパ諸国を下し、いくつかの分野においてはアメリカと肩を並べるまでになった。
しかし大国になった、という自覚をまったくこれっぽっちも持っちゃいねぇ日本人の意識はほぼそのまんまだったのだが、1990年代に入ってそんな日本人の文化が伝播していく。
すると、日本人は基本的に自国かそれ以外かという以上の差別をしない(と言うより、上記の歴史的背景から言って「出来ない」)という性質も知られるようになっていく。
そうなると、日本人の万国旗の使い方も好意的に認識されるようになった。つまり、外国を国の強弱で差別しないという見方がされるようになったのだ。
万国旗と並行して日本人が非常識に使う、外から青・白・赤の旭光幕も、本来それを慶事に使うのはイギリスとその支配地域(アメリカも含む)だった国・地域であり、なんで日本人が自国のイベント、しかも自国の軍の行事でまで喜んで使ってるのかアメリカ人やイギリス人には、1980年代まではまったくさっぱりわかりゃしなかった。
だが、Web時代に入って一気に日本のカルチャー・サブカルチャーが強力に伝播するようになると、アメリカの親日・保守勢力には「強固かつ対等な日米同盟の象徴」と捉えられるようになっていった。
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