『娘を無残に殺された憎悪を押し殺し……犯人の更生を願うのは、どれほどの葛藤があっただろう』
『その思いを踏みにじり、のうのうと悪行に手を染める外道……』
「更生を待つなどぬるい…… 貴様の生きる資格はこの私が剥奪する!」
『「拷問ソムリエ」の名に懸けて、苦悶の極限を……奴に味わわせよう』
「更生の猶予は終わった。さあ断罪の時だ、外道」
「どの口でほざいているんだ? 馬鹿め」
半グレモドキ「判決通りにムショに入ったんだ。あとは好きに生きて何が悪い?!」
(好きに生きて何が悪い……だと? テメェが殺した何の罪もない娘さんは……)「生きることすらできねぇだろうがァ!!」
「流川! 装置を点火しろ!」
「この程度で喚くな。お前は彼女をもっと悲惨なやり方で痛めつけたのだろう」
「悪党の泣き言は聞こえない……」
「ほう? なら、貴様は悔い改めて、今度こそ更正すると?」
「流川君、銅を熱することを止めてください。死なないように」
「おいおい、楽に死ねるとでも思ったのか……? 貴様の更正の機会は数十年前に終わっている! それをフイにしたのは貴様だろう!」
「ああ、ところで、お前さ……最低でも、40日は苦しんでもらうから」
「テメェが娘さんにやったことだろうが……コラ」
「コラ! まだ苦しめるだろ! 逝くな! オイ!」→流川「先生、もう……」
対象
女子高生を集団リンチで40日以上かけて殺害して遺体をコンクリ詰めに遺棄し、20年の刑期を終えた後も更生せず詐欺や恐喝を繰り返していた半グレモドキに執行。
概要
焙烙刑は、中国三大悪女の一人と言われる妲己が見世物として楽しむために考案したと伝えられる処刑法(※ただし妲己が実在した人物かどうかは疑わしく、焙烙刑が実際に行われていたかどうかも定かではないと言われる)。古代の文献によると、罪人を銅製の柱に鎖で拘束し、柱の内部から熱する事で火傷による苦痛を与え焼き殺すという(※高所にて油を塗った銅製の棒を渡らせ、罪人が滑り落ちた所を下で燃えている炎で焼き殺すという説もある)。
凌遅刑は、清朝の中国と李氏朝鮮で実際に行われていた処刑法で、罪人が簡単に死なないよう数百回から数千回に分けてその肉を徐々に削ぎ落とし、長い日数をかけて凄絶な激痛を味わわせながらゆっくりと死に至らしめる。
過程
尋問の際に左の耳を引き千切った上に両手の指を1本残らずへし折り、焙烙刑で背面に大火傷を負わせた後、かつて罪人が「被害者の少女を40日間にわたり監禁して凌辱と暴行を加えながら惨殺し、遺体をコンクリートで固めて海に沈めた」ことを理由に、凌遅刑でこちらも同じく40日かけて殺すことを決め、真っ赤に熱した短刀(※罪人の苦痛を倍加させるだけでなく、傷口を焼くことにより出血を抑え、失血死を防ぐ目的もある)で全身の肉を徐々に削ぎ落としながら、ほとんど骨だけの原型を留めない姿にして43日後に絶命させた。罪人の死後、伊集院は「まだ苦しめるだろ!」と意味不明な喝を入れて激励していた。
事件のモデル
女子高生を殺害の上コンクリート詰めにする、加害者達は当時未成年だった点から『女子高生コンクリート詰め殺人事件』と思われる。こちらも加害者の殆どが出所後再犯を犯している。
あとがき
炮烙刑は処刑を見世物として楽しむために考案された。
余談
ちなみにこの回に登場した罪人はかつて懲役20年の刑に服しており、本来なら拷問ソムリエのルール「法に裁かれた罪人は処刑の対象外」に当てはまるのだが、出所後も反省の色が一切無く現在も強盗などの悪事を繰り返しているという理由で依頼を引き受け(※そもそもこの罪人の罪状は本来であれば満場一致で死刑を望まれるような犯行で、かつ犯行当時18歳で死刑も可能であったが、金銭目的ではなかったことや確定的な殺意ではなかったことから量刑が軽過ぎた一面もあった。なお、この罪人の仲間2人については懲役10年の刑を終えた後に再び罪を犯して刑務所に収容されていたため、処刑の対象にはならなかった)。
バベル裁判所では赤城啓作の裏裁判シリーズでも似た事件を取り扱っている。