概要
兎角同盟とは、東方Projectに登場する妖怪兎たちによる組織である。
『東方文花帖』にて登場した。
作中で登場した際の主張は「 兎鍋反対 」。
主張
第百二十季 霜月の二刷の文々。新聞に寄せられたリーダーである鈴仙・優曇華院・イナバの言葉によれば、「 食卓から兎の肉が消えるまで、私たち兎角同盟は戦い続ける 」とのことである。
同記事写真(挿絵)には「兎肉食撲滅運動」と題された掲示物や、兎たちが様々なプラカードを持って鈴仙と並んで抗議する様子が写っている。
また同組織は「 兎の理想郷を考える集団 」とも紹介されており、先述の兎鍋反対はこの大きな目標の一環である様子である。
組織
組織名称にある「兎角」はウサギの角を意味し、これは「あり得ないもの」の例えである。射命丸文の追取材にて鈴仙が語ったところよれば、「兎角同盟」はこの意味を踏まえたうえで次のような由来を持つ。
(「兎に角はないでしょう?」との文の質問を受けて)
「 無いから常に理想なのよ。現状に満足せず、常に向上心を持って行動する兎の集団、って意味なの 」
「兎角同盟」の組織構成と構成員は上記の『文花帖』時点では次の通り。
この他組織に同調したなどの描写は見られていないが、『東方儚月抄 ~ 月のイナバと地上の因幡』ではレイセンが一時的に鈴仙やてゐ、永遠亭の兎たちと行動を共にしている。
活動・登場の経緯
文々。新聞が取材したところによれば、博麗神社における宴会に乱入した妖怪兎が宴会で振舞われていた鍋を食べようとしたが、用いられている肉が兎肉であることを知り、その旨をリーダーである鈴仙に報告したことに『文花帖』での兎角同盟の動きは始まる。
報告を受けた鈴仙が神社側(博麗霊夢)に抗議したが神社側は折れず、後に、宴会では兎鍋に並行して鳥鍋も出すということで双方ひとまず妥協している。
妥協点の理由は、神社側が引かなかったことと、鍋を禁止すると「宴会で食べるものがなくなるから」である。妥協したのは主に兎角同盟側の様子。また、兎角同盟も宴会には引き続き参加するようだ。
組織の内部事情
意見の隔たり
「兎鍋反対」については組織内部で意見の隔たりがあることが先述の新聞で報告されている。
リーダーである鈴仙は兎肉そのものの食用に反対しているが、幹部であるてゐはある程度の食用を許容する発言をしている。また、兎を食用とする人間を糾弾するリーダーに対し、てゐは兎側の防衛手段をより重視してる点にも違いがある。
防衛に必要なものについててゐは「 もっともっと愛くるしい容姿を持たないと駄目よね 」とし、「 可愛ければ食べないでしょう? 」と述べている。
組織内部でどちらの主張がより支持されているかは、同新聞記事では不明と報告されている。
組織内の勢力図
組織のリーダーは鈴仙であるが、鈴仙以外はすべて地上の兎であり、月の兎(玉兎)である鈴仙はさほど仲間意識を感じていない。人語を理解する兎も少ないらしく、さらに地上の兎を管轄できるてゐがいるため、よりその傾向が強い様子である。地上の兎もてゐの言うことであればよく聞く。
鈴仙も兎たちについてはてゐに任せている。
鈴仙の薬行商と「兎角同盟製薬」
鈴仙は兎角同盟としての活動の他、人間の里に薬売りの行商に出かけることあり、例えばその様子は『月のイナバと地上の因幡』や『東方鈴奈庵』に描かれている。
『東方求聞史紀』掲載の「幻想郷縁起」では稗田阿求によって鈴仙の個人記事にもその薬売りの様子が語られている。
この内『鈴奈庵』では鈴仙が変装したスタイルで人間の里に入る様子が登場しており(鈴奈庵鈴仙)、この際に販売した薬包には「 兎角同盟製薬 」との銘がある。
永遠亭の薬が人間の里に販売される際の銘の一つとして「兎角同盟」も使用されている様子である。
鈴仙の受難
食用としての兎に関連して『文花帖』第百十九季 文月の四刷の文々。新聞における4コマ漫画「やってやれ幻想郷」(あらたとしひら作)では、西行寺幽々子と魂魄妖夢との会話において、二人に鈴仙が兎(食用)と理解される一幕がある。
またその活動が兎角同盟によるものとは明示はされていないが、鈴仙らが主役である『月のイナバと地上の因幡』では、永遠亭において地上の兎たちが結束してストライキを起こしている。しかし永遠亭全体の運営に影響を与えるどころかスト中が普段のそれと大して変わらないことが否めない状態であり、相変わらずの平和な永遠亭の日常が続いた。一方でストが永遠亭に影響をもたらさないという事によって、むしろ鈴仙の平素からの負担(家事や永遠亭の行事など)がいかほどであるかが表面化するという別の効果をもたらした。
このあたりにも、鈴仙と地上の兎たちとの関係が見て取れる。
またてゐは先述の通り鈴仙とは異なる意見持ち、行動も異なる。
例えばてゐの個人事業(?)である「カラーうさぎ」の販売などは鈴仙は反対している様子(『月のイナバと地上の因幡』)が描かれているが、てゐは複数の機会の縁日(『東方三月精』など)でカラーうさぎの屋台を開いている他、人間の間の兎ブームに積極的に乗った兎商売(「 可愛い兎屋さん 」)も密かに展開しているなど、場合によっては鈴仙が卒倒しそうな事業も展開している(『東方茨歌仙』)。
「 兎 」の勢力は永遠亭という強力な所属先もあって文なども一目置くものである(『鈴奈庵』)が、その実、兎をまとめる立場にあるという鈴仙の苦労は、先述のようなてゐの独自の行動や自身の命令をきかない構成メンバーたちということもあって常に絶えない様子でもある。
また余談ながら、兎角同盟の主張である「兎鍋反対」について、この『儚月抄』4コマ版の上巻限定版では原作者ZUNによる提案で表紙が兎鍋そのものとなっている。鈴仙の心中幾許なるや。