概要
見る、会話する、触れる……とにかく、桃井タロウ=ドンモモタロウと関わったことを本人に認識されれば、それは「縁」となる。
相手に対してこれでもかと「お前とも縁ができた!」と宣言する様子がさながら妖怪のようであることから、一部ファンにこんなあだ名がつけられた。
だが「悪縁は断ち切るに限る」とも言っているので、彼なりの線引きはある模様。
ちなみにドン7話の公式のあとがきでも、 縁撒き宅配先生とネタにされている(タロウは宅配便の仕事をしている)。
邪道の戦隊ヒーロー兼“正直の怪物”として
しかしタロウが、自分の「嘘をつけない」「その気になれば大抵の事は常人以上にできてしまうチートレベルの万能さ」といった面と幼い頃からどう過ごして来たかを振り返ると、このやたらと「縁」ができたと認識する行動は傍目にはコミカルながらも実態は重たい意味が込められているとも言える。
子供の頃のタロウはその万能さにより、他人のやっている行動をその当人より上手く出来るとの確信が常にあり、また実際に可能であった。しかし子供としての純真さに万能さと嘘をつけない面が直結した事で、他人の行動を「だめだよそんなんじゃ!」と遮った上で横取りし、その当人が得たかった以上の成果を出した為、相手が自分なりに行動して達成感と自信を育む機会を尽く奪ってその自尊心を傷付ける結果を無自覚に招いてしまっていた。
そして無自覚故に子供のタロウは上の行動を顧みられず、当時の隣人達に繰り返した結果デモを起こさせ(され)てしまう。だがそんな反発感情にも一切気付きもしなかったため、ついに隣人たちは埒が明かないと断じ、一斉に引っ越す=「縁を絶ち切る」という最終手段に至る。ここまできて漸く自分がやり過ぎていた事を悟り、身近な縁を失くしていた現実へ幼い身で打ちひしがれる羽目となった。
この辛い過去の経験も含めた末、“縁の育て方”が解からなくなってしまっているのが本編におけるタロウの人間関係的な状況といえよう。あらゆる面で縁が出来たと認識するのは、とにかく縁を作り続ければその中から消えずに大きくなっていく物が現れて、それを観察すれば育てる術を自分は会得できるのではと考えたからだろうか。
ただ、そのやり方は的外れ気味かつ縁を結ぶ側の都合を考えていないものが多く、自分なりの善意や度を越えた正直さが余計な不和・反発を招くのはまだマシな方で、劇中描写に限っても彼が原因でヒトツ鬼(烈車鬼・超力鬼・手裏剣鬼・電磁鬼・特捜鬼)が顕現して市民に被害が出たり、かと思えば自分が嘘をつく羽目になって拒絶反応で死んだりと中々ままならない。そんな現状にどうって事は無いと“演じて”強がり踏ん張っているのが、タロウの自信に溢れた様な言動の本質とも推測される。
今や複数ヒーロー物の老舗にして、その代表者として最前線で走り続けているスーパー戦隊シリーズだが、その主役にして各作品の顔役達はある程度の癖こそあれど、“仲間達との縁を育てて広げる”素質や能力を持っているのが当たり前だった。
その為上記した様に、戦隊で当たり前にあった縁に関する能力を持てていないタロウが主役を務める『ドンブラザーズ』とは、正に前代未聞の邪道を突き進む戦隊と言えよう。
そしてこうしたタロウの歪な側面をひっくるめて、東映は“正直の怪物”なる異名を与えているらしい。
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