概要
災厄の元凶であり、後代に書かれた日の神の戦いを記す書物には「全てを滅ぼすもの」と記されている。
別名「空亡(くうぼう)」とも呼ばれ、数多の妖怪を率いる大妖怪、というより妖力そのもののような存在。
無機質で機械のような印象を与える球体のような見た目をしており、球体の内部には胎児のような姿の本体がある。
「箱舟ヤマト」に潜む暗黒の君主であり、どうやらウシワカがタカマガハラにヤマトをもたらした時から舟の奥底に潜んでいたようである。
「妖魔王」キュウビも常闇ノ皇を「コノ世ニ二ツト有リ得ヌ 古今独歩ノ闇ノ象徴」と呼び崇めている。
ちなみに、AC/Wiiの『タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES』にアマテラスを差し置いてラスボスとして登場している。
ヤマトの戦い
戦闘では、戦闘開始前のイベントによって常闇ノ皇はアマテラスの筆しらべの力を全て吸収してしまう。
そのため、アマテラスは常闇ノ皇にダメージを与え筆しらべの力を1つずつ取り戻しながら戦う事になる。
第1形態
黒い球体の姿。
この形態に腕を生やしてハンマーでステージを叩き壊したり、チェーンソーで切り付けながらステージ上を暴れまわったりする。
ちなみにハンマーで破壊された床は落下するとダメージとなるが、取り返した「画龍」を使えば元通りに修復可能。
また、筆しらべ「桜花」を取り返せば、常闇ノ皇の球体状の身体を花開かせ、内部の本体をさらけ出させる事ができる。
後述する形態にも同じ事が言えるが、常闇ノ皇が使う飛び道具(ミサイル、魔弾、光弾など)は一閃で反射が可能なものも含まれている。
タツカプでもこの形態が最終戦のトップバッターとして登場。上記で説明した攻撃パターンに加え、ガード不能の技も使用してくる。特に、ミサイルを複数飛ばす攻撃(技名:黄泉軍)は全ての形態が使用する。
倒すと後述の第4形態へ変形。タツカプではこちらが常闇ノ皇の第2形態となっている。
第2形態
最初の形態が倒されると、次は緑色の球体へと変身する。
時折、自身を炎で覆いながら浮遊しアマテラスめがけて突進してくる事もある。ちなみにこの形態時は筆しらべ「一閃」を放っても輪切り状態となって回避してしまう。
ここで取り返せる筆しらべ「水郷」を取り返す事で、炎を纏った状態を無効化する事ができる。
ここで同じく取り返せる筆しらべ「月光」は一見戦闘とは無縁に思えるが、発動するとスサノオが文字通り助太刀に現れ、巨大な剣で常闇ノ皇をリンゴを割るように真っ二つに両断、攻撃のチャンスを提供してくれる。
第3形態
球体に続いては、なんと青色の巨大なスロットマシーンへと変身する。
アマテラスとは一定距離を常にキープしながら、出た絵柄によって火炎弾や吹雪、魔弾など様々な攻撃を仕掛けてくる。
スロットは自動停止を待つ以外にも筆しらべ「一閃」で止める事ができるものの、筆しらべ「霧隠」を取り返すまでは状況によっては運ゲーと化す事も。またスロットは2つ、若しくは3つ全てを同時に停止する事もできるが、メリットは特に無いかもしれない。筆しらべ「霧隠」を取り返してからが本格的な反撃となるだろう。目押しに自信のある人ならば、一閃を使ってスロットを一気に止め、ステージの床の中央にあるものと同じ常闇ノ皇の絵柄を3つ揃えて、筆業をどんどん取り返すのもいいかもしれない。
ちなみに後述の最終形態を除く4つの形態は、体力ゲージを一定量まで減らすことで筆業を取り返せる仕様であり、第3形態では「疾風」「紅蓮」「霧隠」をそれぞれ取り戻せる状態まで体力ゲージを減らした直後にスロットを止めるか自動停止を待つと、確実に常闇ノ皇の絵柄を3つ揃えることが可能となっている。
なお第3形態との戦闘時のみ、「霧隠」を発動するとヒミコが登場し、回復アイテムを補給してくれる。
第4形態
球体のボディにムチ状の腕と、機械の足が生えたパワードスーツのような姿となる。
ムチ状の腕による攻撃は射程距離が長く、また不定期にビーム砲や火炎放射でステージを薙ぎ払ったり、さらにミサイルも発射してくるので油断がならない。また、腕はムチ以外にも八支剣状へ変形させる事で、広範囲に炎を発生させる攻撃を使用する。
ここで取り返せる「迅雷」は腕を八支剣状状に変化させた際に感電状態にするのに使え、「壁足」はステージ上方にあるアイテムをとるのに使え、「吹雪」は以降の形態でも凍らせることで弱点の露出時間を長くする事が出来る。
ちなみに第4形態との戦闘中、敵の気絶中に「吹雪」を使うと、なんとオキクルミが助っ人に現れる。
この第4形態を倒す事で戦闘は一応決着・・・と思いきや、本気になった常闇ノ皇はムチ状の腕でアマテラスを捕らえ、再び筆しらべの力を失わせてくる。
さらに常闇の皇は最終形態になり、いよいよ絶体絶命に思えたが・・・
タツカプではこの形態が第二形態として登場する。攻撃パターンはこちらも基本的には上記と同様で、ムチによる攻撃は画面端まで届くほど長いリーチを誇る。
この形態を撃破すると、後述の最終形態が登場。
最終形態 太陽は昇る
赤い模様のある黒い球体から腕が生えているという異形の形態となる。
アマテラスの力を破壊し、常世に闇をもたらす。
しかし、覚悟を決めたイッスンの伝導により、ナカツクニの人々は神を敬う心を思いだし、人々の祈りの力によってアマテラスは全ての筆業を再び取り戻し、全盛の姿へ変貌する。
そして最終決戦、負ける気がしないBGMとともに、常闇ノ皇に挑む。
開戦早々常闇ノ皇はステージを真っ暗闇にする。この間敵は無敵であり、しかも強烈な攻撃を連発している。ここでアマテラスの力の「光明」を使い太陽をもたらすことで皇は怯み、攻撃のチャンスが生まれる。ちなみに「光明」を使わずに暗闇の状態を一定時間放置したまま戦闘を続けていると、イッスンからの熱い激励の台詞を見ることができる。
これまでの形態で使用してきたミサイルやビームだけでなく、拳で殴りかかってきたり、掌から光線を投げつける、大量の隕石を降らすといった攻撃を使用してくる。
なお、核の部分は球体の中心から掌の中央に移動しており、敵をひるませることでガードが無くなり核が零れ落ちてくる。
その正体
その正体は先述の通り妖力そのもののような存在。
また、ゲンナイによれば正体不明のガラクタを組み合わせて作られるナカツクニの全てのカラクリの祖は常闇ノ皇に行き当たるという。
長い間ヤマトの底に潜み、天神族がヤマタノオロチに襲われたタカマガハラから逃れる際に、逃げ場のない箱舟内で次々と妖怪を生み出し天神族を喰い殺させ、さらにそのままナカツクニに多くの妖怪を放ったわけだが、常闇ノ皇自身の出自は不明である。
ただ、ヤマトは「バイオテクノロジーで生み出された怪物の実験場のイメージ」でデザインされているらしく、そのヤマトはもともと月のものであることから、もしかしたら常闇ノ皇を始めヤマトの中の妖怪たち(女郎蜘蛛や赤カブトなど、このゲームのボス妖怪)は、月の民が生み出した生物兵器?だったのかもしれない。
あるいは、アマテラス同様の隈取りがあるので「神」の類である可能性も否定できない。アマテラス同様、「太陽」に関係している点も興味深い。また、オロチに力を、キュウビに筆しらべを与えた可能性もあり、筆しらべに関与したり筆しらべを完封する能力を造り出せる可能性がある。ほぼ全ての妖怪は筆しらべ中は行動不能となるのだが、常闇ノ皇は弱点である球体を隠したりスロットを動かす事が可能で、キュウビも行動こそできないが筆しらべが可能である。
大神伝にて
アマテラスが退治したので常闇ノ皇自体は登場しないが、今作のラスボスが常闇ノ皇に似た腕を使う。
また、序盤の大妖怪のBGMが「常闇ノ皇の末裔退治」である。
元ネタ
このキャラクターはゲーム内の妖怪絵巻に「別名「空亡」とも呼ばれる」と記載されているが、これについて設定資料集で「デザインしたときは空亡と言う名前で、実際にいた妖怪だ」「百鬼夜行絵巻のラストで妖怪を押し潰す最強の存在」と解説された。
しかし正しくは空亡とは、特定の「期間」のことである。
空亡と妖怪という言葉を並べて扱ったのは、荒俣宏(博物学者、小説家、神秘学者、妖怪評論家、タレント)による『陰陽妖怪絵札』(フィギュアとカード付き)だった。そこでは「百鬼夜行絵巻」の最後の場面で、太陽が「空亡という時間帯」を利用して夜明けをもたらすことが述べられている。
>空からころがり落ちてくる火の玉のような太陽は、まさに闇を破る万能の力といえる。
>太陽は、夜の闇を切り裂いて夜明けをもたらすとき、空亡という「一日の暦の切れ目」を
>ついて、夜の中に割りこんでいく。この空亡の隙間は、どんな妖怪にも塞ぐことができない。
「空亡(くうぼう)」は「天中殺」「大殺界」「0地帯」などとも呼ばれる干支に関連する用語である。占いなどでは主に生年の干支に対応する空亡を扱うが、月、日、時にも対応する干支があり空亡もある。時間帯ということからここでの空亡は時刻のものである。
また設定資料集によると、『大神』では「空亡(くうぼう)」を干支の欠けではなく「0番目の干支」扱いにしている。常闇ノ皇の球体の姿は「0」を意味しているという。
一方で球体の内部にいる胎児のような本体の存在からイザナギ、イザナミに次ぐ原初の神である「蛭子」もモチーフに入っているのではとも推測されている。
設定資料集の記載の影響で、「実際にいた妖怪」「百鬼夜行絵巻のラストで妖怪を押し潰す最強の存在」として、百鬼夜行絵巻の赤い玉を妖怪扱いしたり、常闇ノ皇の擬人化ではない妖怪が創作されることがある。こちらには主に訓読みが用いられている様子。空亡(そらなき)を参照。
余談
とあるスパチュンのゲームでは、これとよく似た姿をした敵が登場する。
ポジション的にもそっくりである。