概要
周囲への影響を考えずに、思ったことをそのままを口に出して言うこと。
近年は「無責任な発言」「ヘイトスピーチ」などだとして、もしくはそうだというレッテル貼りによって一方的に悪いものだとする風潮がある。
(そういう扱いになった発言は「問題発言」や「爆弾発言」と呼ばれるようになる。)
しかし、かつて放言は一つの文化であった面がある。
「常識に対するアンチテーゼ」「現状における問題提起」「過激な提言」を、しばしば毒舌的でありながらユーモラスかつ知的に論じられ、過去に多くの文化人や芸人、作家たちが様々な放言を繰り返し、大衆はそれらに反発しつつも、一方でそれを成熟した大人の文化として、楽しんで受け入れていた面があった。
例を挙げると、
- 文豪の志賀直哉は、戦後に「日本語を廃止してフランス語を公用語にすべし」と、真剣に主張したことがある。
- プロ野球のスーパースター長嶋茂雄は、朝日新聞のインタビューで「もし社会党が政権を取ったら野球ができなくなる」と大真面目に語ったことがある。
- 名優・勝新太郎は、パンツの中に隠していたコカインが発見され起訴されたサイに、「知らない間に入っていた。もうパンツは穿かない」と語っていた。
などがある。
いずれもヒステリックな人は目くじらを立てて怒っていたが、大半の人々からはむしろ稚気(子供のような愛らしさ)に溢れた茶目っ気のある言葉として受け取っていたという。
だが近年はいつの間にか、ちょっとした言葉遣いのミスや言い間違い、行き過ぎた表現といったものに過剰なまでに反応し、メディアや世論が一斉攻撃するような風潮ができ、放言を受け入れられる寛容さが失われてしまったと、一部の専門家の間で主張されている。
実際に俳優の石田純一が、不倫交際を記者に非難された際に、「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」と軽いジョーク混じりで反論したものを、マスコミ・メディアは「不倫は文化」という一部を切り出した意味の全く異なる言葉を使ったと報道する発言捏造まで行って弾圧するという暴挙まで起こしている。