CV:沢田敏子
概要
18話で初登場した老婦人。
年齢は不明だが本編時点ではかなりの年配であり、50年前の時点で既に幼い娘を持つ母親であったことからどう若くても70歳前後ではあろうと思われる。
かつては絵本作家で、春野はるかがプリンセスに憧れるきっかけとなった絵本『花のプリンセス』の作者。
この作品は相当前に出版されたにもかかわらず、ロングセラーとなって、はるかや七瀬ゆいをはじめ、多くの読者に愛されている。今まで一度も人前に姿を現した事がなかったが、夢ケ浜でサイン会を開かれた時は長蛇の列ができるほどの、根強い人気がある。
はるかは長年『花のプリンセス』の物語が、王子様に会う旅を続ける途中で終わっている事に疑問を感じており、結末は一体どうなるのか彼女に問いかけるが、望月は「この話の結末はあえて描かない」と答えた。
望月ゆめの話によれば、実はこの物語は、自身の幼い娘に送る物語というとても私的な動機で作られたということ。さらに本当はこの物語の明確な結末は自分の中にはあると語っている。
しかし子供たちから贈られてくるファンレターには、花のプリンセスになってほしい未来の姿として、自分が想像もしてなかったようなプリンセスの物語がいくつも送られてきた。そして自身の娘ささえも自分が考えていた花のプリンセスの未来とは異なる物語を期待していた。
望月ゆめのごくごく私的な物語であったはずの「花のプリンセス」は、多くの子供たちに共有され、作者の世界の外へと自ら旅立っていったのである。
「読者の子供たちがそれぞれ思う数だけ物語があり、一人一人の理想の未来がある」
それを悟った彼女は、この物語を自身がこれ以上に語ることをやめた。花のプリンセスの物語を完成させるのは、この物語を愛してくれた子供たち自身なのだ。
この言葉ははるかに勇気を与え、「高貴な生まれの自分こそが唯一無二のプリンセス」と言い張るトワイライトに対し、「自分だけが目指せるかもしれないプリンセスに、強く、優しく、美しい理想のプリンセスになりたい」という想いを再認識させて、トワイライトを撃破する原動力になった。
実は彼女はノーブル学園の学園長。50年前に絵筆を置いて、子供達の未来を育てるべくノーブル学園を開設していた。50年の節目としてサイン会を開いてみたのだが、その気まぐれは彼女の愛読者であり教え子でもある一人の少女に、未来への大きな一歩を踏み出させたのであった。
しかし学園長としては裏方に徹し生徒達の前に姿を現すことは殆どなかったようで、生徒ですら学園長の顔を知らない者も多数いた。
第22話では、なかなかこちらの世界に馴染めず公園のベンチに座り込んで落ち込んでいたトワをたまたま見かけ、「デザートを食べに行くのに付き合ってくれる人を探していた」という名目で声をかけ、彼女を励ます。
またはるか達が寮に内緒で匿っていた「お客様」がこのトワであることを知ったときは、トワの素性について何も詮索せず、そのうえでトワにもし望むならばこの学園で暮らしてみないかと言ってくれた。編入の際は「紅城」の苗字を名乗るように指示している。
トワをいくら気に入ったからといって、一般の入試ですらなかなか受からない自校に、経営者権限でいきなりトワを入れてしまうことについては評価が分かれるところなのだが、その洞察力から白金共々「実はホープキングダムについて多少なりとも事情を知る人物なのではないか」と見る視聴者もいる。
ただし、41話にてプリンセスプリキュアと対面したが、彼女たちについて何も知らなかったため、おそらくホープキングダムとは無関係である。
なお、この41話にて、ゼツボーグを倒すために駆け付けたプリンセスプリキュアに避難するよう促されたが、年端もいかない少女たちを怪物と戦わせて自分は逃げることを良しとせずにプリキュア達を止めようとしたり、「助けを呼んでくるから無理はするな」と告げたり、後でちゃんと助けをつれて戻ってきたりと、かなり良識的な大人の対応をしていた。
助けを連れて戻ってきたときにはこの回の戦闘は終了しておりプリキュア達もいなかったが、そこで白金から「学園を守るプリンセスたちがいると噂になっている」と聞かされた。
余談
プリキュアシリーズには、アニメファンよりも洋画ファンの間で名が知られている声優を起用するケースが多々見られる。望月ゆめを演じる沢田敏子もその一人で、洋画ファンにはフェイ・ダナウェイ、シャーリー・マクレーン、シャーロット・ランプリングなどの吹き替えで知られる。
しかし今作との関連では、『眠れる森の美女』の魔女・マレフィセントの担当声優(1995年12月公開の通称「ブエナ・ビスタ版」より)と言った方が早いだろう。
今作の敵ボス・ディスピアはマレフィセントがモチーフであると言われているが、奇しくも今作での沢田は、ディスピアやマレフィセントとは対極的な位置にある人物を演じることになった。