概要
典型的な「おとぎの国」で、湖畔に立つ西洋風王城を中心に人間や妖精や獣人が平和に共存している城下町が発展している、というイメージ。
王族はカナタ王子とトワ王女以外に両親のホープキングダム王とホープキングダム王妃がいる。本作主人公達のサポート妖精であるアロマ&パフ兄妹は「ロイヤルフェアリー」と呼ばれており、王族に仕える存在のようである。
ミス・シャムール曰く「夢はホープキングダムの民の魂」(39話)ということであり、この世界に住む者達は例外なく夢を持っている。特に夢も持たずに毎日を無気力に過ごす……なんて人はホープキングダムの住人には考えられない。
しかし、現在の王国は夢も希望も失われてしまっている。
本編開始以前に、トワ王女が絶望の魔女・ディスピアに連れ去られてしまい、さらにその9年後に彼女の率いるディスダーク襲来を受け、国のほとんどの住人が絶望の檻に囚われ、彼らの夢が「絶望の扉」と呼ばれる分厚い扉に封印されて、クロロはロックに憑依されてしまったのである。現在難を逃れていたのは、カナタ王子、ミス・シャムール、ロイヤルフェアリーの1人と3匹。
そして王国は永劫の闇夜に包まれ、城の玉座にはディスピアが居座っていた(後に23話でディスピアがダメージを受けた際一時的にロックが座ることとなる)。
31話以降はパワーアップしたディスピアによって王国大部分に絶望の森が繁殖、より悲惨な状況となった。
王国伝説では、ホープキングダムは神秘の力を有する3人のプリンセスによって建国されたと伝えられている。そしてこの建国の英雄達のことを「プリンセスプリキュア」と呼ぶ。
現在の王国の危機を救えるのはプリンセスプリキュアの力を継承した「伝説の戦士」しかいない。
プリキュア継承者達がグランプリンセスにまで成長。12本のドレスアップキーを手にすることが出来れば、大いなる闇を祓う力が解放。絶望の扉はこじ開けられ、国民の夢を取り戻すことが出来るであろう、とカナタ王子は期待している。
絶望の扉
ホープキングダム上空に浮かんでいる観音開きの巨大な扉。南京錠で固く閉ざされている。この扉の向こう側に国民の夢が全て閉じ込められているという。
ディスダークがホープキングダムを侵攻した様子を描く回想シーンでは、国民達が「絶望の檻」に次々閉じ込められて行く様子が描かれているが、ディスダーク支配下にある現在のホープキングダムには国民を閉じ込めた絶望の檻がどこにも見当たらない。
このことから、絶望扉内部に「檻に閉じ込められた状態の国民達」が保管されていると推測されていたが、最終決戦でその通りであったことが判明。
ホープキングダム城
湖畔に立つ美しい城で、OPアニメーションでタイトルロゴが出てくるシーンでも描かれている。
城のたっている場所の地下深くには異世界へのゲートを作り出す魔法の扉が存在しており、アロマとパフは城がディスダークに占拠される直前にこの扉を通じて人間界にやって来た。
第1話時点でディスダークに乗っ取られており敵側の拠点となっている。その後の29話でゼツボーグ化、移動要塞として人間界に攻め込むが、プリキュア達によって浄化されたことでパワーアップアイテム「プリンセスパレス」と化した。
しかしその後、城が建っていた一帯が絶望の森に飲み込まれ、イバラのツルが複雑に絡み合い巨大な魔城が出現した。これは今まで人間界から収集していた絶望エネルギーでパワーアップしたディスピアの魔力によるものである。以後はここがディスダークの新たな拠点となった。
人間界との往来
ホープキングダムと人間界の往来については、上述の通りホープキングダム城に別世界に行くことが出来る転移門が設置されている。ただし、これは一方通行であり、人間界側からホープキングダムに行くことが出来る門は存在していない。さらに、この門は21話でカナタ王子により破壊されてしまった。
一方、敵であるディスダーク幹部達は鍵穴状次元ホールを作り出し、2つの世界を自由に往来可能。
12本のドレスアップキーは所持者を別世界に転移させる能力がある。9年前にカナタ王子を人間界に送り込み、20話では逆にプリキュア達をホープキングダムに送り込んだ。
しかし、これはキー自身が必要と感じた時にしかその能力は発動しないので、所持者の意思はお構いなしである。そして、所持者が転移したいと強く願おうがキーが答えてくれる訳でもなかったりする。
プリキュア達がホープキングダムに転送された20 - 21話ではやって来たは良いものの、キーは人間界に戻してくれず、敵陣真っ只中にある転移門をくぐるしか帰還手段がないということとなった。この時、プリキュア達を無事帰還させるため、敵の猛攻を1人で防いでいたカナタ王子は、無事が確認出来ないまま行方不明となってしまう。
帰還にキーが協力しなかったことを大きな視点で見れば、この悲劇さえドレスアップキーが試練として与えたことであったのかもしれない。
しかし、この12本とは別イレギュラーキーとして新たに誕生したロイヤルドレスアップキーは、「ロイヤルマジェスティ」と呪文を唱えるだけでプリキュア達をホープキングダムに転送してくれる。ロイヤルキーを入手して以降、プリキュア達はホープキングダムに直接乗込んで「プリキュアの城」を解放するクエストを順番にクリアして行くこととなる。
このキーはプリキュア達が成長した証として39話で誕生したものであり、要するに彼女達を最終決戦に導くためのキーガジェットという訳である。
なお、プリキュアの城は解放に成功すれば、正門の扉を城の中に入るためだけではなく「人間界へと繋がる転移ゲート」としても使用することが出来る様になり、プリキュア達は直ぐに人間界に戻れる(ただし、最終回で「キーがなくては2つの世界の行き来は出来なくなる」と語られているので、プリキュアの城の転移ゲートを起動するには、城主であるプリキュアがキーを持っている必要があると思われる)。
王国の虹
OPアニメーションや回想シーンで在りし日の城が描かれる時は、城から何本もの単色の虹が出ている。長らくただの演出と思われていたが、実はこの虹こそがホープキングダムの神聖なるシンボルとされていることが第40話で判明する。
この虹は王城がある場所から四方八方に生えており、常に消えることなく輝き王国を取り囲んでいる。この虹が見える場所が王国の領域ということが言えるだろう。
ホープキングダムの国王は「我々を見守るあの虹のように、民に夢と希望を授けるのが王族の務め」と語っているので、国民達の帰属意識としては王族よりも虹の方が上位である。寧ろ、王族は虹の守護者として信任されていることで民に認められているという感じであろうか。
実際、城から虹が生えているというより、虹が生える中心地に城が建てられているという方が正しい。
そしてディスダーク支配下にある現在のホープキングダムは虹が消え失せていたが…(後述の「プリキュアの城」を参照)。
プリキュアの城
ホープキングダムには王城とは別に先代プリセスプリキュアを祀った祠としての小城がある。プリキュアの城はプリキュア1人ずつに1つが存在しており、それぞれの城にはプリキュア達の象徴である花・海・星の紋章が掲げられている。
城の中にはドレスアップキーを差し込める石板があり、それぞれの祠が祀るプリキュアに対応するキーを差し込むことが出来る。
20話では当代のプリキュア達がキーを差し込むことで、先代からのメッセージを受取ることが出来た。
なお、ホープキングダム城同様、このプリキュアの城も人間界へ通じるゲートとなっている。
キュアスカーレットには先代はいないが炎の城だけは用意されており、その中に4つ目のプリンセスパフュームが安置されていた。なお、炎の城は巧妙に人目に付かない場所に隠されていた様で、19話でトワイライト(トワ)が発見するまでは人が立入った形跡もなかった。
プリキュアはこれらの城を「目覚めさせること」で王国に新しい虹を生み出すことが出来る。
各プリキュアが自分の城前に立ち、自分が持つ4本のキー(変身キー・エレガントキー・ミラクルキー・プレミアムキー)をプリンセスパレスに差し込み、祈りを捧げることで、城はまるで建てられたばかりの頃の様に輝きを取り戻し、ホープキングダム城が立っていた場所に向かって虹を掛けるのである。
ただし、城を目覚めさせる儀式はキーが揃っていれば直ぐに出来るというものではなく、プリキュアの心が大きな成長を見せていないとならない。本作テーマは「夢」なので、当然ながら心の成長とは自分の夢への思い・覚悟をより大きな形で固めることである。
これには「自分にとって夢とはどういうものなのか?」を客観的に見詰め直すシビアな視点が要求されており、単純に夢への憧れを高めれば良いというものではない。
各プリキュアが城を目覚めさせるに値するだけの心の成長を見せた時、ロイヤルキーが光り輝きプリキュア達に儀式準備が整ったことを知らせてくれる。
城が目覚めて虹が新しく生まれることで、ディスダークによって闇に汚されていたホープキングダム環境は少しずつ元に戻されて行く。4つの城を目覚めさせることは最終クールでのプリキュア達の主要目的となっている。
炎の城
40話で覚醒。紅城トワ/キュアスカーレットが、グランプリンセスになりたいという自分の夢は自分だけのものではなく「王国の民のため」にあることを改めて受入れ、それでもその夢を自分の夢と思えたことで城の主として認められる。
「燃え盛れ、希望の炎よ!」という掛け声と共にキュアスカーレットが4本のドレスアップキー(変身ドレスアップキー・エレガントハナビキー・ミラクルフェニックスキー・プレミアムサンキー)をプリンセスパレスに差し込むことで、王国全土を覆っていたイバラを焼き尽くし退けた。
星の城
43話で覚醒。天ノ川きらら/キュアトゥインクルが、皆を救うプリキュアの使命よりも自分の夢の方が大切であるという本心を自分の中で肯定出来たことで城主として認められる。
「瞬け、遥かなる星よ!」という掛け声と共にキュアトゥインクルが4本のドレスアップキー(変身ドレスアップキー・エレガントルナキー・ミラクルシューティングスターキー・プレミアムギンガキー)をプリンセスパレスに差し込むことで、空を覆う闇を払い月と星を取り戻した(あくまで夜なので太陽は取り戻されていない)。
海の城
45話で覚醒。海藤みなみ/キュアマーメイドが新しい夢のために、自分の幼い頃からの夢を捨てる覚悟を受入れたことで城主として認められる。
「高鳴れ、大いなる海よ!」の掛け声と共にキュアマーメイドが4本のドレスアップキー(変身ドレスアップキー・エレガントアイスキー・ミラクルバブルキー・プレミアムサンゴキー)を差し込むことで、ツタの様な海草が埋め尽くしていた王国の海を浄化、澄んだ水で満たした。
花の城
47話で覚醒。春野はるか/キュアフローラが、自分の夢に終わりがないがゆえに永遠に満足できないということを悟り、その苦しみや悲しみの中でも夢を追い続けることこそが自分の望みと思えたことで城主として認められる。
「咲き誇れ、輝ける花よ!」の掛け声と共にキュアフローラが4本のドレスアップキー(変身ドレスアップキー・エレガントローズキー・ミラクルリリィキー・プレミアムサクラキー)を差し込むことで、ディスダークが浸食していた王国の大地を浄化し、花で満たした。
4つの城覚醒、そして…
全城が解放されたと同時にホープキングダムに遂に太陽が取り戻され、さらに4つの城がイバラの城が占拠する湖に虹を掛けたことで、ディスピアの城はその輝きに浄化されて消滅。
王国の環境は完全に元通りとなり、かつての美しい姿を取であるり戻した。だが、未だそこに住む国民達はいない。天空には依然として絶望の扉が存在しているからだ。
後はグランプリンセスに到達して、絶望の扉を開きその中に閉じ込められた民を解放する、それがプリンセスプリキュア最後の使命。
…のはずであったが、ディスピアは既にホープキングダムの防衛を放棄し、はるか達の世界を標的にしだすのであった。
最終決戦後
ノーブル学園を舞台にプリキュア達最後の戦いが始まることとなり、クローズを取り込み強大化したディスピアに苦戦するもグランプリンセスに覚醒。ディスピアを倒した。
後にディスピアの全てを受継いだクローズもキュアフローラとの対話の末休戦する形で撤退、ディスダークは活動を休止した。
そしてグランプリンセスとなったキュアスカーレットが「黄金のドレスアップキー」を用いてホープキングダムの「絶望の扉」を開き、民を解放。ホープキングダムは元の平和な姿を完全に取り戻した。
それと同時、キーは役割を終えたことで眠りに就く。プリキュア達は17本のキーを含めた全アイテムを返却。ただの人間に戻り、それぞれの夢を追う生活へと戻ることとなった。
だが、それはホープキングダムと人間界との繋がりを終わらせる時でもある。本来この2つの世界は干渉し合ってはならない。それにキーが完全に眠りに就いてしまえば、最早2つの世界を往来することは出来なくなる。
はるか達人間界の住人とトワ達ホープキングダムの住人との別れの日には、互いに笑顔で見送った。だが、涙を隠すことは出来なかった。
王国に戻ったカナタやトワは王族としての政務に邁進、ロイヤルフェアリー達も宮廷を支える職務をこなしている。
平和を取り戻した王国であるが、実は不安要素もある。王国外れには未だに絶望の森が残っているのである。
しかし、これはおかしなことではない。そもそも第1話以前の平和であった王国にも、既に絶望の森はあったため。
ホープキングダムの民は夢を持ち、それを叶えるために努力する生き方に強い誇りを有する。それ故、夢を自ら諦めて安らかに過ごすという生き方を選択出来るものは少ない。運や実力に恵まれずに夢を叶えられない者は、完全に絶望に堕ちるまで苦しみ続ける。ホープキングダムが夢を生む世界である以上、絶望が消えることも決してない。絶望とは夢に寄り添い続ける双子の様なものというのは、ディスダークがプリキュア達に教えてくれた否定出来ない事実である。結局は、絶望は自分の隣に常に「ある」ことを受け入れ、それに負けない様に立ち向かい続けるしかないのであろう。
絶望の森のイバラは今は眠った様に反応がないが、カナタもトワもいつかまたこの森からディスピアの様な存在が生まれるであろうという予感を持っている。それが明日なのか、何千年も後のことなのかは分からないが……
だが、絶望が消えることがない様に夢も決して消えることはない。絶望が世界を覆ったその時は、王国の保管庫で眠りに就いているドレスアップキーがまた目覚めてプリキュアを見出だし、夢を取り戻すための戦いが幕を開けるのであろう。
余談
本作以降は暫くは人間界のみで終始する、あるいは地球発祥の異世界がプリキュア起源となるパターンが続いており、純然たる異世界は『デリシャスパーティ♡プリキュア』のクッキングダムまで7年間登場していなかった(平成作品における純粋な異世界はホープキングダムが最後となった)。ちなみに、純粋な異世界出身の姫キュアを含む異世界キュアは翌年の『ひろがるスカイ!プリキュア』のスカイランドのキュアスカイやキュアウィング、キュアマジェスティまで8年間も待つこととなる。
関連イラスト
関連タグ
先代プリンセスプリキュア:当代のはるか達を単に「プリンセスプリキュア」と呼ぶ場合の「英雄たち」でホープキングダムの建国者である。
プリンセスパレス:ホープキングダム城の変化したアイテム。最終決戦後は元の城に戻された。
ブルースカイ王国←ホープキングダム→魔法界(プリキュア)