東寺
とうじ
延暦15年(796年)桓武天皇によって平安京よりの国家鎮護のために建立された官製寺院。別名である「教王護国寺」とは「王(天皇)に教えを与え国を護る」意味を持つ。
弘仁14年(823年)嵯峨天皇によって空海へと給預された事で真言宗へと改められ同宗派の根本道場とされ、以降は真言宗の総本山として栄えた。
真言宗では宗門の諸派を通じて超える全体の総本山(根本道場)として位置付けられる。が、同時に真言宗内においては同様の扱いを受ける「聖地」が東寺の他に2箇所あり、これをして真言宗三大霊場(真言宗三大聖地)と称されており、そのひとつとしても位置付けられる。
ちなみに残る二つの聖地は空海が弘仁7年(816年)に開山して以降は宗門の拠地とした、もうひとつの総本山である和歌山県の高野山と、空海の実家跡地(育成地)である香川県の善通寺である。
東寺の五重塔は京都を代表するランドマークとして知られ、その意味でも京都を代表する大寺院とされる。
平成6年(1994年)12月に上賀茂神社・下鴨神社・清水寺・比叡山・西本願寺・二条城などと共同のもとの地域広域文化財「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に登録された。
空海(弘法大師)の入定日(一般的に言えば命日)である21日・22日(いわゆる月命日)には、露天が集まり弘法市が開かれる。なお、集まった露天のみならず東寺の周辺店舗、さらには至近にあるイオンモール京都でも「弘法市」と称して安売りや当日限定サービスが行われる。
高知県室戸市の室戸岬に在する真言宗寺院(所属諸派は豊山派。直本山は奈良県桜井市の長谷寺)である最御崎寺(ほつみさきじ)も、自寺の通称を「東寺」とする場合があり、この場合は「ひがしでら」と読む。
これは往時の周辺集落を取りまとめていた中心集落(網取り漁村)であった室津が室戸岬の西側(集落から見れば最御崎寺が東側)にあったため。
つまり真言宗内では、同じ「東寺」の文字を用いていても読み方によって指す寺が変わるので、要注意。
ちなみに最御崎寺の近く(東側)には、若き佐伯真魚が修行し、自らの僧号を「空海」と定めたとされる洞窟・御厨人窟(みくろど)がある。そのため最御崎寺含む室戸岬は前述の「三大道場」に次ぐ真言宗内の重要な聖地でもある。