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火星の土方歳三

かせいのひじかたとしぞう

火星の土方歳三とは、エドガー・ライス・バローズの代表作「火星シリーズ」をリスペクトした、吉岡平のSF冒険小説。
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元々は坂本龍馬風と共に去りぬの登場人物と共演する「風と共に去るぜよ」に続く作品になる予定だったが、「~去るぜよ」の売り上げが伸びなかったことからお蔵入りになった。

それから約10年後、NHK大河ドラマ新選組!」の放送決定や、火星無人探検車の火星到着などの話題性から改めて執筆・出版された。

火星のプリンセスの直後のジョン・カーター不在期のバルスームが舞台であり、基本的な設定は創元SF文庫から持ってきているが、クリーチャーの容姿や設定に関しては偕成社ジュブナイルからも多く輸入されている。

挿絵は末弥純が担当、作者はその後「金星シリーズ」をリスペクトした「金星のZ旗」も執筆、未執筆だが地底世界ペルシダーを舞台にした「新選組の世界ペルシダー」の構想も公表している。


あらすじ編集

箱館で壮絶な戦死を遂げた土方歳三

死してなお戦いを求める彼はバルスーム(火星)に転移、蘇生を果たす。

城塞都市ジャドワールの領主の息子を救ったことから客分として迎えられるが、ほどなくして凶悪な緑色人の一派ワフーン族の襲撃に会い捕虜にされてしまう。

ワフーン族の大競技会にて捕虜同士で殺し合いを強要される土方だが、そこで出会った仲間達と力を合わせて脱出に成功。

だが共に脱出したドルトス・ダッカの裏切りにより飛空艇から落とされ、ガイオン王国でのシス(火星の巨大蜂)との戦いや、美女ばかりの国ダルシニアでのパールゴンとの戦いなどの冒険を経て、バルスーム最大の都市ヘリウムになんとかたどり着いた土方。

ヘリウムではかつての敵国ゾダンガの不穏分子による要人誘拐や暗殺が横行しており、それを取り締まるべく腕利きの剣士による市中警護隊の結成が進められていた。

泣く子も黙る浪士隊(パンサンダール)鬼の副長、土方歳三の伝説が始まる…!


登場人物編集


本作の主人公であり、火星ではジョン・カーター同様驚異的跳躍力を発揮できる。

カントス・カン直々に市中警護隊・外国人および浪士別動隊の隊長に任命されるも、あえて辞退して副長の座に就く。


  • ドルトス・ダッカ

本作の代表的な悪役で、目的のためには手段を選ばない卑劣漢。城塞都市ジャドワールで中隊長の副官を務めており、中隊長の死亡に伴いその後釜になれると期待していたが、土方が新たな中隊長に就任したことに不満を持ち、ことあるごとに彼を陥れその命を狙うようになり、しまいには人間をやめる羽目に。

土方曰く谷万太郎に似ており、逃げ足の速さは桂小五郎に優ると評されている。


  • キラス・ザッダイ

ジョン・カーターの盟友タルス・タルカスが率いる、サーク族に所属する緑色人の若き戦士。

ワフーン族の捕虜にされた際、同じ境遇の土方歳三と知り合い親友となった。

登場当初は単にザッダイを名乗っていたが、ハマン・キラスとの対決を経てキラス・ザッダイを名乗る様になり、土方の推薦でパンサンダールの隊長に就任する。

見かけに違わぬ怪力の持ち主であり、カオールという金属製の棍棒を武器として用いる。

バルスームにおける近藤勇ポジションのキャラで、当然口の中に拳を入れることができる


  • アイザール

城塞都市ジャドワールで士官を務めていた赤色人の美少年。

バルスーム版の沖田総司というべき天才剣士であり、たった一度の指導で三段突きを習得したほど。

土方から弟のように可愛がられており、彼も土方を慕っているものの、俳句の趣味だけは理解できない模様。

パンサンダール一番隊組長。


  • ドルー

マレンティナ公国大公タルーの従兄弟の黄色人。

恋に破れ傷心の旅に出ていた所、ワフーン族の捕虜になり大競技会で土方達と知り合う。

先が鈎状になった剣による二刀流で戦うパンサンダール二番隊組長。


  • ガダール

ガイオン王国で蜂番をする羽目になった土方の相棒のファースト・ボーン。

父や兄と共にイサスの独裁支配の打倒を目論むも失敗、命からがら故郷を脱出するも捕らわれて奴隷として売られてしまう。

ガイオンから脱走する際、シスの毒液のため片方の目を失明している。

槍の使い手のパンサンダール十番隊組長。


  • キルメア・デア

美女ばかりの国ダルシニアの女王で土方曰く年増の子だくさん。

バルスーム三大美女を鼻で笑う美貌と傲慢な性格の持ち主で、ダルシニアの守護神パールゴンの巫女であるが、実際は自身がパールゴン達に精神を支配されている。


  • アイシア

ダルシニアの女戦士でキルメア・デアの娘(アイシアのみならずダルシニアの住民のほとんどがキルメア・デアの娘である)。

父の仇を討ってくれた土方を慕い、共にダルシニアを脱出するも、

大気製造工場の機能停止による酸欠で意識を失ってる間に人買いに攫われてしまう。

紆余曲折の末に土方と再会して正式に婚約するも、今度はドルトス・ダッカに人質にされてしまう。


  • ハマン・キラス

市中警護隊正規部隊の隊長を務めており、バルスームにおける芹沢鴨というべき人物。

水ぶくれと酷評される肥満体だが、剣の腕前は本物。

似たような体形の取り巻きを常に連れ歩き、いたる所で蛮行を働き、殺し屋に土方の命を狙わせるなど様々な後ろ暗い部分がある。

バルスームでは珍しい性豪。


  • カントス・カン

ジョン・カーターの盟友の一人で、皇帝不在のヘリウムを守る海軍提督。

市中警護隊の発案者であり、土方曰く清河八郎よりよほど立派で、松平容保より押し出しがいいかもしれない人物。


  • デルハン

人生の思い出作りのため諸国漫遊の旅に出たガソールの元国王。

基本不老長寿であるバルスームの住民には珍しく、一目で老齢だとわかる外見の持ち主。

高齢だが剣の腕はかなりのもので、暗殺者に襲われた土方に助太刀したことが縁でパンサンダールに参加する。

井上の源さんを彷彿とさせるパンサンダール六番隊組長。


  • ノサダ

サーク族の女刀鍛冶、天才的な腕前の持ち主だが偏屈で不愛想。


関連タグ編集

エドガー・ライス・バローズ 吉岡平 新撰組 異世界転移

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