概要
1982年、国鉄が名古屋地区の東海道本線快速列車に117系を導入することを決定。これに対する競争の優位性を高めるため、名鉄は名古屋本線の特急の増発と一部列車の特急専用車導入を行った。
その際に選ばれたのが7000系パノラマカー4両編成で、座席指定車として使用すべく以下の改装を行った。
- 座席モケットを従来の赤色からオレンジとブラウンのツートンに変更し、枕カバーを1人分ずつ独立したものへ交換
- 通路へカーペットを敷く
- 各座席へのクズ物入れ設置
- 妻面戸袋窓の閉鎖
- 前面方向板を小型の専用タイプへ交換
- 車体への白帯追加
この改装整備によって白帯が追加されたパノラマカーは白帯車と通称された。1983年には追加で7000系4両編成4本と7700系2両編成4本が白帯車へと改装されている。
1986年、普通列車の増発を行った国鉄に更に優位に立つため、白帯車のグレードアップ改装が行われた。改装内容は以下の通り
- 座席背もたれを独立したヘッドレストを持つものへ交換
- 室内化粧板をクリーム色のものへ交換し、車両間の貫通扉を山吹色で塗装。
- 蛍光灯カバーを交換
- 座席くず物入れを埋込式に変更
- 展望席へデジタル速度計を設置
- 豊橋方先頭車へ公衆電話を設置
しかし1988年に特急専用車としてパノラマSuperが登場すると白帯車は7本を残して一般車へと格下げされてしまう。ところが1990年の名鉄特急営業施策変更で名古屋本線に一部指定席特急が登場すると指定席車がパノラマSuper16本と白帯車7本だけでは不足するため、4両編成の7700系の中間車を抜いて2両化した上で白帯車へ改装。抜かれた中間車は7000系4両編成に組み込んで6両化することに役立てられた。
これにより白帯車+一般車の一部指定席特急が多数設定されたが、指定席車と一般席車の通り抜けが出来ないことによる誤乗が相次ぎ、貫通組成が出来る1200系が登場したことで白帯車は本線特急から支線特急へと活躍の場を移し、1999年に1600系が登場するとこれに置き換えられる形で特急運用から撤退。内装はそのまま白帯を除去しただけで一般車に格下げされた他、白帯車のまま廃車となった車両もあった。
2008年10月、パノラマカーの完全引退を前に一般車格下げ後も白帯車時代の内装を保っていた7011Fが白帯車として復活。12月の定期運用終了後もイベント列車として翌年8月末まで活躍を続けた。
一方7700系も引退を前に7711Fが再び白帯車となり、2010年の引退まで活躍した。
6両固定編成の白帯車
白帯車は4両編成または2両編成のみの存在で、6両以上を組成する時は2編成を併結する形をとっていた。
しかし一度だけ白帯車が6両固定編成を組成して運行したことがある。
その1度だけというのが1985年9月のこと。第十二代市川團十郎が成田山名古屋別院へ襲名報告を行う際、新名古屋から犬山まで市川團十郎と同じ列車に乗車できる団体列車が設定されることとなった。
この団体列車はあっという間に完売。4両編成の予定を6両編成に増結することになったが、7000系白帯車4両へ7700系白帯車2両を増結するのではなく、7000系白帯車4両編成に別の7000系白帯車から中間車を組み込んで6両貫通固定編成を組成することとした。
白帯車が6両貫通固定編成を組んだのはこの一度きりであり、団体列車の運転終了後速やかに元の組成へと戻された。
その他の白帯車
「白帯を巻いた名鉄の車両」という意味では、以下の車両も白帯をまとっている。5500系以外は座席指定特急には使われていない。
1968年末から1970年頃まではSR車の標準塗装としてスカーレットに白帯が採用されており、当時在籍していたSR車のほとんどがこの塗装を纏っていた。