概要
石原プロモーションは、1963年1月16日に俳優・石原裕次郎が個人事務所として設立したもので、芸能事務所ではあるものの自社で撮影用機材・技術クルーなどを保有する、「映画製作会社」としての側面も有していた。
設立から最初の10年間は、「大手の映画会社に出来ない作品を作る」という裕次郎の理念の元、『太平洋ひとりぼっち』や『黒部の太陽』など多数の映画を制作。とはいえそれらの作品については必ずしも成功したものばかりではなく、また収益を膨大な制作費へとそのまま充てていたことから、一時は8億円近い負債を抱え倒産寸前にまで追い込まれた。
結果、会社再建や映画制作の再開のため、それまでの理念を曲げる形で裕次郎はテレビドラマ『太陽にほえろ!』に主演することとなるのだが、これが裕次郎の予想を超える反響と人気を獲得。それまで過小評価していたテレビの持つ影響の大きさを体感した裕次郎はこれ以降、映画からテレビへと活動の場を移し、また石原プロにおいても自らテレビドラマの制作に乗り出すに至った。
そして世に送り出されたのが、1976年より始まった『大都会』シリーズ、そしてその後を受ける形で作られた『西部警察』シリーズである。これらのテレビドラマの人気により、石原プロはそれまでの負債の完済ばかりか、およそ30億円にも上る資産を築き、見事会社再建に成功する。
そうした中で、渡哲也や神田正輝、舘ひろしなど石原プロ所属の俳優たちにも自然と注目が集まることとなり、前出の『大都会』や『西部警察』に登場する「黒岩軍団」「大門軍団」になぞらえる形で、彼らもまた「石原軍団」の愛称で親しまれるようになった。石原軍団は本業である芸能活動に留まらず、メイン画像にもあるように撮影用の機材を活かしての被災地などにおける炊き出しや、大規模な裕次郎の法要などといった活動でも名を馳せるようになった。
他方で、1980年代も後半に入ると『西部警察』シリーズの終了、それに1987年の裕次郎の死去により、石原プロの勢いにも次第に陰りが見え始めるようになる。石原プロは副社長であった渡哲也が社長へと昇格し新体制へと移行するものの、『ゴリラ・警視庁捜査第8班』や『代表取締役刑事』など、この時期に制作されたテレビドラマは『大都会』『西部警察』ほどの人気を獲得するには至らず、1993年に『愛しの刑事』が終了したのに伴い以降のドラマ制作は散発的なものへと移行。裕次郎の悲願であった映画制作も、『欽ちゃんのシネマジャック』(1993年)での一編を最後に途絶える形となった。
また、専務取締役の「コマサ」こと小林正彦は、設立間もない頃より長年に亘って経営を支えてきた功労者とも言える人物であった一方、その制作姿勢などについては社内外からも批判的な見方も度々示されており、結果として2011年3月に会長の石原まき子(北原三枝、裕次郎夫人)を除く取締役全員が退任、小林も業界から引退するなど再度体制の一新が図られた。小林の引退については健康上の理由であると説明されたが、一方では石原プロよりその影響力を排除するための、渡らの意向があったと見る向きもある。
再度の体制一新に伴い、それまで二次利用の機会が少なかった石原プロ制作作品も、「創立50周年プロジェクト」と銘打ち2012年より相次いでDVDやBru-rayでのソフト化がなされた他、同時期にはCS放送などを中心とした再放送、それにネット配信も活発化するようになった。他方で前述した炊き出し活動については、2016年を最後に終了の運びとなり、これと前後して事務所解散に向けた動きも水面下で進められていくこととなる。
そして2017年の石原裕次郎記念館の閉館、2019年の裕次郎三十三回忌法要を経て、2021年1月16日に芸能事務所としての業務を終了することが、その半年前の2020年7月17日に発表された。元々裕次郎は「自分が死んだら直ちに会社をたたみなさい」と遺言していたものの、まき子がこれを渡らに打ち明けられぬまま30年以上が過ぎたという事情があり、三十四回忌を迎えて周囲からの賛同を得る形でようやく、その「遺言」が果たされる形となった。
予告通り2021年1月に芸能事務所としての幕を下ろした後、裕次郎の遺品管理については前年に設立された一般社団法人ISHIHARAに、制作作品などの著作権管理については子会社であった株式会社石原音楽出版社に、それぞれ移管されている。
ボランティア活動
石原軍団はロケで培ったアイデアを活かし、阪神淡路大震災や東日本大震災を始め震災で被災した地域へ駆けつけ被災者に炊き出しを行ったりした。
その後舘ひろしが石原軍団解散後に石原軍団時代の経験を活かし、能登半島地震で被災した被災地で炊き出しを行った。
所属者一覧
最終所属者
過去の所属者
- 石原裕次郎(設立者・故人)
- 浅丘ルリ子
- 黛ジュン
- 鳥居恵子
- 川地民夫
- 浜田光夫
- 小高雄二
- 竹脇無我
- 玉川伊佐男
- 寺尾聰
- 苅谷俊介
- 五代高之
- 御木裕
- 石原良純(設立者の甥)
- 秋山武史
- 峰竜太
- 谷川竜(現:谷川竜太郎)
- 深江卓次
- 武藤章生
- バーブ佐竹
- ウラン(現:青木カレン)
- 渡邉邦門(現:渡辺邦斗)
- 木村昇
代表作
関連タグ
おはぎ:石原プロモーションが差し入れる品として業界でも有名
倉本聰:日本の脚本家の一人。創業者の裕次郎とは盟友とも言える間柄であり、『大都会・闘いの日々』や『浮浪雲』など複数の制作作品にも関与している
石原慎太郎:日本の作家・政治家の一人。創業者である裕次郎の兄にして、元所属者である良純の父に当たり、自身の選挙活動の際には度々石原軍団も応援を行っていた