概要
獣の槍伝承者候補の一人。伝承者候補でありながら獣の槍に執着はなく、むしろ潮やとらに興味を持つ。
潮とは婢妖との戦いで協力して以来、よき兄貴分として何度も力を貸している。
とらの過去の凶暴振りを聞いていたため当初は疑い戦ったが、最終的に和解した。
武器は錫杖と独鈷(どっこ)。
独鈷を使った結界術を得意としており、彼が放つ独鈷はまるで意志があるかのように動き、標的を拘束する。
また逃げ回ったり攻撃回避を装いながら気づかれずに結界を張り、一気に敵を結界に閉じ込めるといった頭を使った戦いも得意とする。
法術も三日月型の法力の弾を無数に浴びせる『弧月』、高速に回転する大きな法力の弾を叩きつける『月輪』など、強力なものを使いこなす。
幼少の頃から努力せずとも何でもできてしまう天才であったのだが、目指す目標も貫くべき意思も無い自分が、目標をもって努力している人たちの上に立っていることに罪悪感を感じていた。
いつしか自分は本気で生きてはいけないと思い込み、何事も真剣に取り組まなくなっていったが、その心には虚無感だけが残り、それを隠して生きてきた。
潮との出会い以来潮の良き兄貴分として振舞っていたが次第に潮に信頼されることが重荷になっていく。
強い意志を持ってどんなに傷ついても進んでいく潮の姿は、彼にとってはあまりにも眩しすぎる姿であり、そんな潮に尊敬の目で見られることが耐え切れなくなってきていた。
そんな折白面の使いがあらわれてこちら側に寝返らないかと言ってきた。
最初は笑い飛ばし相手にもしなかったが、心の虚無感を指摘され更に本気になれる相手は仲間の中にいると言うのである。
「雷と炎の化生──とら…」と・・・。
こういった経緯で潮たちを裏切り、とらとの直接対決に挑むのだが、潮を裏切った罪悪感は濃厚に残ったままだった。とらとの対決はとらの勝利に終わり、流は充実感を感じて死亡。
その後、流を殺したことでとらと潮は決定的な破局に陥り、一旦は完全な決別を迎え、単体で白面の者に立ち向かった潮と獣の槍は完敗を喫することとなる。
作者曰く「潮の光に照らされて滅んで行く存在」。純粋な光のような潮では決して救えない者として描かれている。
そしてそんな彼が望んだのはとらとの真剣勝負だった。
とらもまたかつて己の運命を呪い全てを憎んでいた存在だったが故に流の絶望と苦しみを理解し、その勝負を受けたのだろう。
実際に戦いの際とらは流の心の苦しみを言い当て嘲り挑発してみせた。それに対し流は激高しとらを滅多刺しにする場面がある。一見するととらの言動は流を侮辱した行為ともいえるが、流にしたらこれは長年抱え込んだ心の膿を吐き出す行為であり苦しみから解放されるために必要なプロセスともいえる。とらも滅多刺しにされながらも反撃せず挑発を続けていたのでわかった上での行動だと思われる。
ちなみに単行本巻末のおまけではバイクを独創的かつスタイリッシュに乗りこなす姿が描かれ、多くの読者の腹筋を崩壊させた。