概要
漫画『ドラゴンボール』「人造人間・セル編」において、完全体となったセルに対してトランクス(未来トランクス)が超サイヤ人1の第3段階に変異した姿。
全身の筋肉が肥大化、白目を剥き、髪は針山のようになり文字通り怒髪天を衝く。
原作ではこの形態に固有名がついていないため、ゲーム作品では(父ベジータが自称した「超ベジータ」に倣ってか)「超トランクス」(正確には「超ベジータ」の一つ上なので「超トランクス2」)という名前がついている。その一方で、ファンからはムキムキなのでムキンクス、顔だけアップにされると伝説の超サイヤ人化したブロリーと判別がつかないためブロンクスと呼ばれたりしている。
特徴と欠点
完全体となりベジータを圧倒したセルに対して変身。
大きくパワーアップしたベジータをさらに超えてしまっているため、この変身をベジータが知ればショックを受けると考え、ベジータが失神するのを待ち満を持しての変身だった。
見た目通り凄まじい筋力を有しており、パワーだけならセルを完全に上回っていた。
ちなみにセルの攻撃を受けても大したダメージが無かったので、防御力も相応に上昇している模様。
超サイヤ人特有の慣れない内は好戦的になるという面が強く出ており、セルから「私には絶対に勝てない」と言われた時は「フン、根拠のない強がりを言いやがって」と父親そっくりの嘲笑を浮かべていた。
アニメ版164話では、台詞こそ同じだがキャラが遠くに描かれているため表情がボカされている。トランクスのイメージに合わないと思ったのだろうか?
変身当初は自信満々だったトランクスだが、筋肉の肥大化によりスピードが低下したことで攻撃がセルにまったく当たらず、セルに欠点を指摘された上にその程度の変身であれば自らも可能だと実演されてしまった。
ベジータは(この形態に変身したシーンこそ無いものの)この欠点に気づいており、敢えて変身していなかっただけであった。ちなみに同時期に悟空も同じ形態に変身可能になっていたが、やはり欠点に気づきパワーアップの方向性を練り直すことになる。
アニメ版165話ではセルの攻撃をまったく捌けずいいように殴られてしまい、尻もちをつかされて力の差を思い知らされている。
原作ではまったく攻撃が当たらなかったが、アニメ版164話では何度か攻撃を当てており、セルを地面に叩きつけて呻き声を上げさせた。またスピードが遅いと言っても人造人間16号の目にも映らないほどの速さで動ける。
この形態および似たようなセルのパワー重視の形態から筋肉の膨張はスピードを殺すだけと思いがちだが、ベジータが変身した通称「超ベジータ」も筋肉を膨張させている(髪も尖っている)。超ベジータはスピードが落ちない範囲で筋肉を膨張させているのでデメリットがないのだが、トランクスは際限なく筋肉を膨張させてしまったので醜態をさらすことになった。トランクスもこの失敗以降は「超ベジータ」と同じ状態で戦っている。(ブロリー戦で服が破れてるのは筋肉が多少膨張するため)
しかし悟空(と共に修行した悟飯)はそもそも筋肉を膨張させる強化は肉体に負担がかかりエネルギー消費が激しい、もっと言えば超サイヤ人自体が興奮状態を作り出すので良くないと結論付け、通常の超サイヤ人の状態に体を慣れさせることで興奮を抑え、その上で基礎的な能力を高めた方がバランスよく強くなると考え、ベジータ達を大きく超えることに成功した。
しかし、そうして平常時と同様の精神で超サイヤ人状態を維持している孫親子を見たトランクスは「戦闘時にはもっとすごい変身を…?」と誤解しており、悟空の意図を見抜いたベジータから「何も反省してないようだな」と叱責されている。
その後、紆余曲折を経て悟飯は超サイヤ人の壁を完全に超えた超サイヤ人2に覚醒したが、その強さを認められず逆上したセルは同じようなパワー重視の形態に変身してしまい、更に追い詰められてしまう。
このように作中では「完全な失敗形態」「安易なパワーアップ」の象徴として扱われているが、その後の未来トランクスの活躍を描いたアニメ『ドラゴンボール超』「“未来”トランクス編」第54話では、ベジータ相手にこの形態を逆手に取った頭脳戦を仕掛けている。
ただ、フェイントに使っただけなのでこの形態自体が戦闘で活躍したという訳でもない。
ちなみにこの形態に変身した際、短髪だったトランクスの髪がセル戦の長髪状態まで伸びている。
メタな理由として短髪状態の超トランクスの設定画を作るのが面倒なため、セル戦の長髪形態を模写して使い回したからだと思われる。
「宇宙サバイバル編」ではカリフラがこの変身を披露している。悟空との戦いで披露したが案の定攻撃がまったく当たらず、実際に変身経験のある悟空からこの形態の欠点を指摘され、超サイヤ人2への変身のコツを教えてもらったため、大した活躍もなくお役御免となった。
『超』第61話の覚醒トランクスは、白目をむいているため混同されそうだが、筋肉の膨張が少ない点、超サイヤ人1・2とは異なる青色が混じった緩やかなオーラを発している点などから、また別の形態と考えたほうがいいだろう。
ゲーム「sparking!_meteor」のチチのコメントでも、この筋肉は異常だなと言及されており、実力が劣っていても武道をかじった者からすれば違和感のある形態として扱われている。
ならばなぜ未来トランクスがこれを良しとしてしまったかというと、トランクスは死と隣り合わせの未来世界で育ったので真っ当な修行ができず、唯一の師匠である未来悟飯も本来戦いに向いた性格ではなく、彼が死亡して以降は完全な独学で強くなるしかなかったからだと思われる。正しい強さを学ぶ機会がほとんど無かった未来トランクスは実力こそあるものの、戦闘のセンスに欠けているのだ。
なお、未来トランクスが過去に出発する直前を描いた番外編では「今なら人造人間に勝てるんじゃないか」と挑むものの負けてしまうシーンがあるが、そこでは完全な非戦闘員のブルマにすら「殺された悟飯くんと今のあなたにそんなに違いは無いと思う」と指摘されており、トランクスに欠けているのは戦闘センスというよりも自分を客観的に見る能力、あるいは人生経験と言えるかもしれない。
表記揺れ
関連項目
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