前置き
『過狩り狩り』は『鬼滅の刃』の前身となる漫画であり、更にその後「鬼滅の刃」のプロトタイプとなる『鬼殺の流』という漫画も描かれている。
上記の性質から、本記事では関連作品投稿数が少ない『鬼殺の流』についても解説をする。
『過狩り狩り』について
概要
第70回(2013年)JUMPトレジャー新人漫画賞の佳作品であり、かつて週刊少年ジャンプ本誌に読み切りとして掲載された漫画。
ハンデがあっても普通の人より強い剣士を描きたかったことと着物を着た吸血鬼というものをあまり見ないという発想から明治・大正時代辺りを描いた本作が生まれたとのこと。
あらすじ
大まかな流れは「鬼滅の刃」同様に、剣士が町に潜んでいる鬼を倒すというストーリーになっている。
主な登場人物
- ナガレ
本作の主人公。(メインイラストの人物)
孤児であり、鬼狩りになる際の試験中の負傷で片腕と視力を失っている。
腕に「ウ-拾壱号」という文字が刻まれている。
後述する「流」とデザインや雰囲気が似通っている。
- 時川
白いスーツに黒ジャケットとネクタイという見た目で、残忍な性格の持ち主。
鬼舞辻無惨のプロトタイプのような人物。
鬼滅本編と同様の見た目。
ただし、こちらでは時川と手を組んで鬼狩りから逃げている。
珠世は幻惑の血の原型となる「幻血」という能力を、愈史郎も本編と似た相手の視界から消える能力を持っている。
- 吸血鬼
異国からやってきた鬼で、時川や珠世たちの縄張りで所構わず人を襲い荒らし回っていたことから、彼らやナガレに狙われる。珍しく横文字のセリフで話す。鬼滅の刃の鬼と異なり、再生能力は低いようだ。
- 伊勢尾
日本の西部に縄張りを置く鬼。愈史郎の発言に出てくるのみで詳細不明。
『鬼殺の流』について
概要
「過狩り狩り」からだいぶ後(2015年)に作成されたネームであり、漫画賞に落選したため本誌では公開されていない。
ちなみに短編集に収録されている漫画は上記の過狩り狩り以外は落選している。
第1話から第3話までの構成で、鬼滅の刃のファンブック「鬼殺隊見聞録」で初公開されている。
「鬼殺の流」から主人公の変更や設定等のブラッシュアップの修正を経て今の『鬼滅の刃』のスタイルに落ち着き、無事に連載にこぎ着けた。
当時の担当曰く、流の性格は少年漫画の主人公を務めるには暗過ぎるため、連載にこぎつけるために前向きで読者が親しみやすい主人公に変更したとのこと。
呼吸や鬼殺隊の設定などもこの漫画から登場している。
余談だが、当時の作者はまだ地元で活動しており、2015年以内に芽が出なかったら漫画家を辞める予定だったため、鬼殺の流や鬼滅の刃作成時は相当追い詰められた状態だった。
あらすじ
時は明治。文明の火が煌々と灯り出した時代。
火の隅に潜むは「鬼」の影。静かに人を喰らい息づいていた。
火の傍に宿るはそれを滅す者。知る者僅かに、呼吸をしていた。
その滅する者たちの中に一人の少年の姿があった。名は流。
独特の風貌で「惡鬼滅殺」と彫られた刀を手に、目にも止まらぬ速さで夜を行く。
火が消えぬよう、彼自身の想いが消えぬよう。
(「鬼殺の流」紹介文より抜粋)
登場人物
- 流(ながれ)
本作の主人公。
外見や設定は上記の「ナガレ」にほぼ似ているが外見が少し幼くなり、性格も少し人間味が増している。
鬼殺隊の一員として民間人を守っている。
容姿は後の冨岡義勇に酷似しており、彼の元になったキャラと考えられる。
- 鴉
鬼殺隊の隊員に伝令をする鴉。
後に鎹鴉として設定が引き継がれている。
- 鬼
人々を襲う人食い鬼。没になったスキンヘッドの鬼と管を使う鬼、沼の鬼のプロトタイプが登場。
- 伴田左近次
流の育ての親であり、師匠でもある。
厳しくも優しい老齢の男性。
性格や設定から、おそらくは鱗滝左近次の前身。