概要
それぞれ本陣外での実働部隊を持ち、実検戦闘の指揮を執る7人の幹部。
コードネームは【いろはにほへと】にちなんでいることと、"寒さ"や"冷たさ"に連なる苗字が特徴で、凍座以外の全員が仮面で各々素顔を隠している(明言されていないが剣心が極力情報を知られないよう対処していると言っていたことから、本陣の位置を知る自分たちの素顔がそのまま本陣の手がかりに直結しかねないことを防ぐための一環と思われる)。
部隊将は基本的に隊兵からは◯號部隊将・もしくは◯◯様と呼ばれているが、土居や於野のように呼び捨てとタメ口で接していたり、本多のように敬語と敬称で接する場合もあるなど、命令は絶対であれどコミュニケーションに関しては隊に関係なく取りやすい形を容認している。
部隊将に選ばれるための選抜基準は明確にはなっていないが、又佐が死ぬ間際に『我等劍客兵器にとって最も重要・優先されるべきは強きこと』と言い残したことから劍客兵器の中でも最上位に昇りつめれるほどの実力が必須であることが示唆されている。
凍座白也(イテクラビャクヤ)
作中で最初に登場した部隊将。詳細については当該記事を参照。
雹辺双(ヒョウベフタツ)
髏號(ロゴウ)。髑髏の仮面を被った男。札幌隊を統率し、要人暗殺を主軸にした実検戦闘を担当している。
凍座や服部に比肩するほどの長身に加えてボロボロの黒装束に手甲や足甲も骨を模したデザインになっていることから髑髏の仮面も相まって死神の如き出立ちで劍客兵器の中でも凍座を除けば特に得体のしれない雰囲気を漂わせており、その正体は防御に長けた兄の雹辺又佐と攻撃に長けた弟の雹辺又佑が黒装束の中で平時から二人羽織をしているソフトモヒカンの双子の兄弟(明言されてはいないが永倉の発言から、技の正体を敵に明かさないための対処法である可能性が高い)。
『雹辺双』として振る舞うときの一人称は『我』で通しているが、素の一人称はどちらも『俺』である。
この手のキャラにありがちな二人一役ではなく又佐・又佑それぞれが独立した一人の部隊将であり、仮に引き剥がされることがあってもどちらも十分、その場の状況に対応できるだけの実力を持ち合わせている。また双子なだけあり戦闘時はお互いの劣る点をカバーし合いそれぞれの長所を最大限発揮できるだけに留まらずそれ以外のコンビネーションも完全に以心伝心で通しているといっても過言ではなく、黒装束と仮面が落ちるまで斎藤や永倉でさえ敵が2人であると見抜けなかったほど精巧である。
又佑の方は顔の右側に半分に割った髑髏のペイントを塗っており、殺した相手の血で斬奸を書き残したり血で染まった髑髏を綺麗と評するなど劍客兵器の中でも飛び抜けた猟奇性の持ち主。
人の真価は生き様ではなく死に様に顕現するという思想を持ち、他者の死に様を見ることをなによりの愉悦としている反面あっけない死に様を晒す人間に対しては一欠片の関心さえ持ち合わせておらず、
人間性も人生もつまらないものだったに違いないと断じるほどの歪な価値観を併せ持っており、実検戦闘においても愉しみを優先させて命令を二の次にしてしまう凍座と酷似している(ただし遥かに力量が劣っていても命懸けで戦う人間や自身に傷をつける程度の実力がある人間に対してはその限りではなく、この点も凍座とよく似ている)。
又佐の方は顔の左側に半分に割った髑髏のペイントを塗っており、弟が凍座と似ている点があることを理解しているためか本陣に招集されたときに霜門寺が立腹していたときは終始無言で通している。
想定外の事態に陥ると頭に血が上りやすく口汚くなる傾向がある又佑とは対照的に、公私混同をしない自制心と戦いながら山縣有朋に対する考えを巡らせることのできる冷静さを合わせ持っている。
戦型・二刃羽織(せんけい・にじんばおり)
先端が鎌状に曲がり、髑髏仕様の鍔が付いた二刀の鎌刃刀(2人がそれぞれ刀を2本ずつ持っているため、実質は四刀と呼称した方が正しい)。
1人で戦う時は名称が戦型・孤刃羽織(せんけい・こじんばおり)に変わり、二刃羽織より破壊力は劣るが逆に速度と自由度は格段に跳ね上がる特性を持つ。
- 鉄紺帷子方形紋付(てっこんかたびらしかくもんつき)
赫力を発動させて四角に羽織る形で二刃羽織を超高速で動かし、攻撃を防ぐ技。網目状に至るほどの斬撃であるため弾丸すら通さない。
- 緋羅紗無慈悲球形紋付(ひらしゃむじひまるもんつき)
二刃羽織を球形に羽織る形で動かし、斬り飛ばす攻防一体の技。
波状攻撃という点では乱弁天と酷似しているが一瞬で最高速度に達するうえに剣閃で視認できなくなるほどに速度は上回っており、加えてこの技はどちらか1人だけでも使用可能であるため、発動中にもう1人が刀で相手を捕らえて剣閃の中に引き摺り込み骨だけになるまで瞬時に斬り刻む芸当が可能である。
- 緋羅紗無慈悲巨球形紋付(ひらしゃむじひだいまるもんつき)
赫力を発動した状態で、緋羅紗無慈悲球形紋付を拡張させた大技。
- 黒鳶刃殺喪渦巻紋付(くろとびはごろもうずまきもんつき)
渦巻き状に移動しつつ、孤刃羽織を繰り出し多数の相手を斬り刻む技。
- 透明血裏面死装束(すかしちりめんしにしょうぞく)
雹辺兄弟の隠技。表に出ている鎌刃刀に隠す形で、その死角からもう2つの鎌刃刀を瞬間的に繰り出してカウンター攻撃を行う技。双子の兄弟であることを事前に知れなければ不可視の攻撃であると錯覚させることができることから事実上初見殺しに特化している。
寒郷豪人(カンザトゴウト)
覇號(ハゴウ)。樺戸隊を統率し、強襲破壊を主軸にした実検戦闘を担当している。
目元にデビルマンのような紋様(雹辺兄弟と同様にペイントと思われる)があり、顔からはみ出すほどに長い眉毛が特徴の長身の男。普段は八つ目の仮面で顔を隠している。部隊将に昇格した時期は不明であるが、15年前に於野を従えて箱館戦争の偵察を行なっていたことから部隊将の中では古参の可能性が高い。
霜門寺からはマジと呼ばれるほどの高い忠誠心と剣心と同等かそれ以上に真面目な性格の持ち主であり、そのためか同胞のことは基本的に本名ではなく将君と同様にコードネームで呼んでいる。その性格から土居からは寒郷先生と呼ばれるほどの敬意を持たれている。
箱館戦争の折に世界の貪欲なまでに進展する兵力と明治政府の絶望的なまでの鈍重さの両方を危惧した結果、世界は残忍で非情と断じるほどの達観を抱いている。土方歳三のことは劍客兵器に成れる猛者として見込んでいたようで、函館戦争時に直接勧誘しに行ったものの空振りに終わっている(招請を試みたあと、寒郷は土方のことを負け戦であっても途中で投げ出す男ではなかったと評している)。
実検戦闘を終了する際に柏手で樺戸集治監全体に及ぶほどの音を響かせているが田所たちと違い戦闘に加わっていなかった為、戦闘スタイルの全貌については未だ不明(武器は凍座と同様に標準的な日本刀ではある模様)。
将君からは実直さと忠誠心込みで新撰組にも十本刀にも敗ける貴方ではないと高い信頼を寄せられており、寒郷自身も望みとあらば一人で敵を殲滅してみせると断言していることから部隊将の中でも上位に位置付けられるほどの実力を持つことが示唆されている。
冬甲斐(フユカイ)
仁號(ニゴウ)。戦国時代風の甲冑を纏い、面頬で顔を隠した男。外見のモチーフは再筆版の不二と思われる。
霜門寺瑠璃男(シモンジルリオ)
宝號(ホゴウ)。小樽隊を統率し、治安騒乱を主軸にした実検戦闘を担当している。
部隊将の中では最も小柄な男で、ヘルメットのような仮面で顔を隠している。
小柄であることを気にしている節があり、左之助にチビ助と呼ばれた際には殺意と不快感を滲ませたような笑みを浮かべて口の利き方に気をつけるよう警告している。また、下の名である瑠璃男と普段付けている仮面のデザインの由来はアレキサンドリア・パワードが使用していた『ルリヲ・ヘッド』と思われる(名称・形状共に酷似しているため)。
現在までに登場している劍客兵器たちの中では口の悪さが際立っており、握手を交わそうとした左之助と於野に対し舌を出しながら「キモチワリィ」と嘲る醜悪性を持つうえに将君との謁見中であっても私語を慎もうとしないなどTPOを弁えない性格。勝者を闇討ちで葬る真似はしたくないという理由で左之助を生かすなど剣客としての矜持はそれなりに持つ一方で戦力としては使えない・情報漏洩に繋がりかねないと判断した人間は手を組んでいる人間や同胞であっても躊躇なく殺害する冷酷性を持ち合わせている。
戦型・細々刃金(せんけい・ささはがね)
霜門寺が使用する金属筒であり、外国のとある蜘蛛が吐く鉄の43倍の強度を持つ糸を編み込んだ特殊な鋼線。切れ味は斬鋼線と同等かそれ以上であり、先端部分には鋭利な刃も付いているためそれを射出させることで大勢の人間がいる環境下でも目立たず突き殺すこともできることから後述の諜報系の技を加えると、総じて後方からの奇襲や中距離戦・暗殺といった汎用性の高い武器である。
だだし武器の性質上素手で扱うことはできず手足が鋼線に巻き込まれて自身の体を切断してしまう恐れがあるため、霜門寺の手甲は他の劍客兵器たちの物とは違い防刃仕様として作られている。
- 聴術・千里絲脈(ちょうじゅつ・せんりしみゃく)
先端の刃を建物に貼り付けた後に細々刃金から伸ばした鋼線を通じ、糸電話の要領で建物内の会話を盗聴する技。
冷泉(レイセン)
変號(ヘゴウ)。立烏帽子を被り、フェイスベールで顔を隠した男。
将君との謁見中に私語を慎まない冬甲斐と霜門寺を叱責しており、その際に控えおろう‼︎と言っていたことから凍座と同様に古風な口調である模様。
詳細不明の部隊将(仮称)
現時点では部隊将の中で唯一姿を見せておらず、第十五幕では凍座と同様に何らかの理由で本陣に帰還していない。
将君や霜門寺・冬甲斐が帰還していなかった凍座のことに触れていたのに対しもう一人のことに触れてさえいなかったことから隊兵と共に実検戦闘とは別の何らかの任務に従事していると思われ、(い)〜(へ)までの部隊将は全員登場していることからコードネームは消去法でと號。同時に凍座たちと同様に"寒さ"や"冷たさ"に連なる苗字である可能性が濃厚である。