言葉の意味が複数あり、読み方も「のぶせ」「のぶし」「のぶせり」などがある。送り仮名を伴う「野伏り」「野伏せり」といった表記もある。
人名・地名
珍しいが、実在する人名(姓)である。また日本国内の複数個所に該当する地名がある。
日本史の野伏
中世日本における「武装した民衆」の呼び名の一つ。「野武士」とほぼ同義。
社会的階級としてのいわゆる「武士」ではない点がポイントだが、武家の出身でありながら武士たり得なかった者、あるいはその道を捨てた者が、野伏集団の中核を担っている事例もある。
武装する目的は主に落武者狩りで、略奪者やその他の襲撃から土地を守るための自衛、逆に匪賊野盗となって近隣から略奪を行うなど。
また「足軽として徴発された農民」を野伏と呼称することもあり、大名との雇用契約で身を立てる者もあったとか。
『指輪物語』の野伏
J.R.R.トールキンによる『指輪物語(The Lord of the Rings)』の日本語版は、1972年から1975年にかけて評論社から出版された。
この際日本語翻訳を担当したのは作家で翻訳家・文学研究者の瀬田貞二で、英語由来の語句の多くが日本語に置き換えられており、「レンジャー(ranger)」が「野伏」に訳されているのもその一つ。これらはトールキンの意向を反映した結果でもある。
ファンタジー作品の野伏
『指輪物語』は多くのファンタジー作品に(間接的なものも含め)多大な影響を及ぼしており、現在まで多くの作品においていわゆる「レンジャー(ranger)」をあえて「野伏」と表記する。
独自設定の「野伏」
概念として一般化された「野伏」とは別に、作品ごとの独自設定に基づいて描写される「野伏」もある。