概要
このカードが登場したのは海馬瀬人の回想シーン。
かつてマジック&ウィザーズ(アニメではデュエルモンスターズ)を作り出したペガサス・J・クロフォードと、全米チャンピオンであるバンデット・キースによるエキシビションマッチが開かれる事となった。
しかし、いざキースがデュエルのテーブルに付くと、ペガサスはメモに何かを書き取り、デッキと共にデュエルの観客としてたまたま近くに居合わせた初心者の少年トムに渡す。そしてそのトムが自分の代わりにキースと戦うと宣言した。
怒ったキースは1ターン目で早速強力な地割れ攻撃を行うモンスター(アニメではガーネシア・エレファンティス)を召喚するが、トムはペガサスから渡されたメモを読みながらこのカードを召喚する。このカードには地割れ攻撃を無効にする効果があったのだ(アニメではどう見ても通常モンスターだったが、当時はカードに書かれていない「隠された効果」を持つモンスターが多かった)。
キースが慌ててトムの持っていたメモをひったくると、そこにはキースの取りうる戦術とその対処法がすべて書かれており、これに驚愕したキースは戦意を喪失。
ペガサスは「トムの勝ちデース!」と高らかに宣言し、このデュエルをTCGの宣伝に利用したが、キースにとってはこの時味わわされた屈辱がその後の転落人生の始まりとなった。
これはペガサスの所持する千年眼の能力「マインド・スキャン」の恐ろしさを海馬(と読者・視聴者)に強く印象付けたシーンでもある。
ちなみにこのデュエルの前にトムはペガサスからデッキを一つもらっているが、この飛行エレファントが入ったデッキはそれとは違うペガサスが別に用意したものである(そのためトムの使用カードではあるが、トムの所有カードではない)。
まさかのOCG化
そして原作でこのシーンが描かれてから20年(アニメ版から数えれば18年)もの月日が経った2018年、このカードはまさかのOCG化を果たす。そのテキストは以下の通り。
テキスト
効果モンスター
星4/風属性/獣族/攻1850/守1300
(1):このカードは相手ターンに1度だけ、相手の効果では破壊されない。
(2):このカードの(1)の効果を適用した相手ターンのエンドフェイズに発動する。
次の自分ターン中、以下を適用する。
●このカードが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた時、自分はデュエルに勝利する。
解説
短い出番をどう再現するのかと思いきや、まさかの特殊勝利カードである。
上述したようにあくまでこのカードは戦闘を行う予定であっただけで、トムが勝ったのはキースが戦意喪失したためだが、それをいささか斜め上の方向で再現した形となる。
特殊勝利カードとしての条件も非常に緩く、状況がうまく嵌まればエクゾディアよりもあっさりと特殊勝利に持っていける。
しかし、そのような状況をどうやって意図的に作り出すのかと言われるとこれがなかなか難しい。
まず、(1)の効果が適用されるのは相手ターンかつ相手の効果に対してのみである。
このようなモンスターを何も考えずに場に出したとしても、攻撃力の高いモンスターで普通に殴り倒されるのがオチだろう。除外など破壊以外の手段で除去される事も考えられる。
仮にうまく(1)の効果を適用したとしても相手のターンでなければならない以上、こちらのターンに回ってくる前に戦闘で破壊されたり、「1度だけ」なので破壊効果のあるカードを連発して押し切られる可能性も高く、結局は他のカードで守る必要がある。
プレイヤーの意思に関係なくモンスターを効果破壊するモンスターを送り付ける、という手段も考えられるが、そのようなモンスターも大抵は飛行エレファントを戦闘でも破壊できるステータスだったりするのでいずれにせよ対策は必須。
現実的に(1)の効果の適用を狙う手段としては、相手の激流葬やブラック・ホールといった全体除去にチェーンしてリビングデッドの呼び声等でこのカードを特殊召喚して破壊に巻き込むという方法が考えられるだろう。
この場合、その後の相手の展開を虚無空間などでうまく妨害できれば、相手の場ががら空きになった所を直接攻撃して特殊勝利も狙っていける。
そのため基本的には、このカードを墓地に置いた上で意味ありげにカードを伏せることで上記のような戦術を狙っていると相手に思わせ、全体除去をうかつに使えないようにするブラフとして使う事になるか。
逆にこのカードを場に出しておくことで、相手の全体除去を躊躇もしくは強制させつつ戦闘を強要するという手もある(相手からすればどちらの状況でも飛行エレファントの戦闘破壊もしくは破壊以外の除去手段に持っていきたくなるため)。このようにうまく活用するためにはお互いの戦術や戦況を見て臨機応変に判断する事が求められる、上級者向けのカードと言えるだろう。
天上院明日香が使用したドゥーブルパッセはこのカードの戦闘破壊を防ぎつつ直接攻撃可能になるため相性は良い。
原作再現という意味では「高い攻撃力のモンスターによる攻撃」に対しては対処のしようが無いが(例えば上述したアニメ版の再現はできない)、魔法カードの「地割れ」に対してはそれにチェーンしてこのカードを特殊召喚する事でこのカードより攻撃力の高いモンスターを守りつつ(1)の効果を適用できるため相性がいい。そもそもの問題として、初心者が使いこなして勝利できるカードとは言いづらくなったが。
もしこのカードを使った特殊勝利を友達が実現出来たら、「〇〇の勝ちデース!」と高らかに宣言してあげよう。
(※もちろんTPOを弁えた上で行ってください。対戦相手にトラウマを植え付けるなどもってのほかです)