概要
2018年より無料コミックwebサイト「COMICMeDu」で連載されている漫画。公式略称は「エアサヴァ」。
作者は「アイドルマスター2」や「プラスティック・メモリーズ」のコミカライズを手掛けたこともある祐佑氏。2023年8月現在で4巻まで発売中。
架空のeスポーツ「AR/MS」(エーアール・マルチプルサヴァイヴ)に青春を懸ける熱い部活ものである一方、非常に練り込まれた設定や数々のネタ要素も多分に含まれた作品である。
あらすじ
AR/MSとは、拳と刀が交差し、魔法と銃弾が飛び交う、拡張現実サバイバルゲーム。
エルフに騎士、侍やミリタリー、変身ヒーローに魔法少女…etc.ジャンルレスでなりたい姿でバトルすることができる。
高校に入学した日向 向日葵は、幼い頃から憧れていた魔法少女になりきることを夢見て、AR/MS部に入部するのだが……⁉︎
(一巻紹介文より)
『AR/MS』とは
AR(拡張現実)を用いてコスプレの要素を組み合わせた架空のサバイバルゲームで、本作ではeスポーツの一環として捉えられている。
『Augmented Reality / Multiple Survive』を省略したもので、略称は『アームズ』。
最大の特徴はフィールドやプレイヤー本人にもAR処理をかけることで、好きなコスチュームや武器で戦闘が出来る事が最大の売り。
運営の努力の賜物か、大抵の版権キャラクターのコスチュームの着用が可能で、攻撃で魔法も使用可能と、文字通りなんでもありのサバイバルゲームが可能という事から人気が爆発している。
ゲームを楽しむにはAR映像を認識する専用のレンズを装着する必要があり、専用の眼鏡かコンタクトの装着が必須となる。
作中では大人気ゲームとして市民権を獲得しており、プロ選手がいるレベルの競技となるどころか、何とインターハイ種目として採用されている程。
投影用のフィールドは推定でサッカーコートレベルの広さがあるにもかかわらず、割とそこかしこに遊ぶためのショップが存在する描写があり、学校レベルでも専用の第二体育館を備えた学校が相当多くなっている等、大きく普及している。
登場人物
陽原高校(はるはらこうこう)
本作の主なメンバーが通う高校。
ARスポーツ施設として第二体育館が作られていたり、登校の確認が校門にある駅の改札システムになっているなど、かなりハイテクな機能が備えられた学校。
元々はエンジョイ勢が集まる高校で地区大会でも一回戦二回戦負けがデフォだったものの、昨年度地区大会でいきなり準優勝したことで、にわかに脚光を浴びている。
しかしそんな状況でもチーム方針としては「楽しむ」に比重が向いており、ガチの編成の際も「楽しんで勝つ」といった形。
インターハイ地区予選では上限となる4チームを投入し、A、Bチーム(エンジョイ勢)Cチーム(ガチ特訓に参加するようになった19名の内主力除く13名)Dチーム(ガチ勢6人)の編成で挑む。
Dチーム
- 日向向日葵(ひむかい ひまわり)
本作の主人公。陽原高校の一年生。通り名は「炎の魔女」、「例のアレ(あれ)」
慣れないところに一人で入るのが怖かったり、ネガティブな想像に陥りがちだったりと、性格は少々陰キャ気味。魔法少女ものが好きで、往年のアニメ「魔法少女ラブリー・ミリー」に登場する「ミリー」が一番のお気に入り。
小学・中学は(間も悪くて)AR/MSに触れられなかったが、幼い頃から憧れていた「魔法少女になりきる」ことを夢見て、AR/MS部の門を叩く。
…が、いろいろな要素が重なって初心者なのに初戦で「新入生のやべーやつ1号」認定されてしまうのを皮切りに、怒涛のAR/MSライフを送ることになる。
- 朝凪春一(あさなぎ はるいち)
向日葵がAR/MS部前で出会った男子高校生。通り名は「ザ・ホラー」
人をからかったり先輩や同学年と馬鹿をやったり、うっかりハラスメントに反応しちゃったりする健全な男子学生だが、人の真剣な思いには真摯に応える一面もある。
地元ではARスポーツ施設に恵まれず、かつ馴染のショップでも同世代の学生と対戦した事がなかったため、ARスポーツありきの学園生活を求めて他県からやってきた。
本人に自覚はないが、1年でありながら尋常でない実力者で、様々な武器を巧みに駆使して闘う。声真似が得意で女性の声すら真似ることが可能。
- 空海貞純(からうみ ていじゅん)
朝凪と同じく、向日葵がAR/MS部前で出会った男子高校生。通り名は「自爆者の工兵(Mr.オウン・ゴール)」
丁寧な物言いの眼鏡男子だが、春一以上にからかい好きの一面を持つ。ただ、春一曰く「遊んだ玩具はきちんと片付けないと気が済まない」との事で、からかいが行き過ぎた相手へのフォローもかかさない。
罠を駆使して闘う工兵タイプで、その深謀遠慮と確かなプレイ技術から逃れるのは至難の業。ただし、味方に爆弾仕掛けて敵ごと吹き飛ばす事も厭わない腹黒策士。こちらも自身の強さに対する自覚はない。
- 鳥甲鶚(とりかぶと みさご)
陽原高校三年生で、AR/MS部の部長を務める女子。通り名は「戦乙女(ヴァルキュリア)」
明朗快活かつ猪突猛進な性格で、人を引き付ける魅力を持っている分、良くも悪くも人を振り回す。
プロでも難しい盾を用いた受け流しを突撃しながら(なんだったら剣の方でも)行える猛者で、その実力に美貌と相まって校内のアイドルでもあり、校内には非公式ながらファンクラブもあるほど。
- 田中進(たなか すすむ)
陽原高校三年生でAR/MS部副部長。鍛えられた肉体と高校生どころか顧問の先生にしか見えない風貌の男子学生。
ゲームでは二枚の盾を駆使して鶚と共に前衛を務める……と思いきや、腰に仕込んだ小型の杖とカードで、なぜかボディビルのポージングをしながら魔法をぶちかましてくる。
- 西表庫裏(いりおもて くり)
陽原高校二年生。本当に高校生かと見まがうほどちっこい体格の少女。「カラ」というAR/MSガチ勢でない双子の妹がいる。
丁寧な口調と容赦ない本音が入り混じったような喋りをする。あまり表情が動かない。そしてときどき何の前触れもなく変なポーズを決める。
部長の鶚に対してはボロクソにけなすこともありながらも、なんだかんだで慕っている模様。
ゲーム中では主に鶚のサポートに回っており、絶妙なタイミングで回復を行うことで鶚の高い生存力に一役買っている。
Cチーム
- 壱岐來姫(いつき らき)
AR/MS部の部員で陽原高校2年生。
前年度は部長らが所属するガチ勢に所属していたが、練習の厳しさから挫折した経験を持つ。
おおらかな印象だが、周りの気配りができる。
- 佐伯(さえき)、新館(にいだて)
AR/MS部に入部した陽原高校1年生。
中学の時は地区の公式戦で準優勝の成績を残しており、「森中の鉄血コンビ」と言われていた。
当初は「地元では大人に負けていた(意訳)」とげんなりしながら述懐した朝凪と空海を馬鹿にしていたが、初対戦で完敗してからは(向日葵を含めて)敬語で接するようになった。
- 川崎保(かわさき たもつ)
AR/MS部の部員で陽原高校2年生。
非公式に存在する「戦乙女ファンクラブ」会長(会員番号1番)。
- 羽森薺(はねもり なずな)
AR/MS部の部員で、向日葵と同じクラスの陽原高校1年生。
陰キャ気味の日向と普通に仲良くなろうと声をかける、ツインテギャルの見た目らしいコミュ強剛の者。
- 待宵朔(まつよい さく)
AR/MS部の部員で、向日葵と同じクラスの陽原高校1年生。
羽森と同じく体験入部の際に同一チームに振り分けられており、クラスこそ違うものの女子同士と言う事から共に行動する事も多い。
- 黒潮潮(くろしお うしお)
陽原高校AR/MS部の顧問を務める妙齢の女性教師。平時は3年を担当している。
指導は厳しく口うるさいし捻くれたところはあるが、何だかんだで生徒想い。
「頼まれて顧問をしているだけ」と言って部活動には一切口も手も出さないが、必要な時には労苦を惜しまず協力してくれることから部員からの信頼も厚い。
【黒木々場高校】(くろききばこうこう)
前年度地区大会の優勝校。学校全体のジャンルは和風ファンタジーで統一されている。
真っ当に強いうえに、情報戦で相手の優位を潰すカウンター型の戦法を得意とする慎重さを兼ね備えている。
- 参社院晶(さんしゃいん あきら)
黒木々場学園の3年生で同学園のAR/MS部の部長。
分析と指揮・統括に長けており、相手のレベルに合わせてアドバイスを送るなど、部活において有効活用している。その分析力は個人戦でも活かされており、一対多でも冷静に足止めして見せるなど、個人の戦闘力は高い。
本人曰く「スイッチが入ると別人になるタイプ」。人の名前を覚えるのが極端に苦手なようで、名前を間違えることもしばしば。((部員達も理解しており、間違えられた相手は受け答えしつつも即座に訂正を入れている。))
学校の部活動とは別に、親には内緒で魔法少女絡みのAR/MSイベントに参加したりする魔法少女ファンで、ひょんなことから出会った向日葵と意気投合する。
- 参社院諦(さんしゃいん あきら)
上述している晶の双子の妹。
姉と比べると要領がよく、時折姉をからかっている。要領の良さはAR/MSの部活動でも活かされてるが、自分より要領の悪い人の感覚が分からないところがある。
戦闘力は高く、晶の発言からして身体能力と対応力は朝凪クラス。
口には出さないが、前年度に対戦した鶚には思う所がある模様。
余談だが、戸籍に「読み」が登録されないため、この姉妹のような「同名異字での戸籍登録」は現実でも可能。
- 酒童(しゅどう)
黒木々場学園の男子生徒でAR/MS部に所属している。
学年は不明だが、参社院姉妹と昨年インターハイに出ていたことから、少なくとも2年生以上ではある模様。
実力者である諦と共に前衛を務めることから、相応の実力者と考えられる。
【空ノ宮高校】(うつのみやこうこう)
地区大会ベスト4の常連校。学校全体のジャンルはミリタリーで統一されている。
ミリタリーで扱う様々な武装を扱うが、最大の武器はあらゆる戦術の構築を可能とする統制力。
- 角飛人(すみ とびと)
空ノ宮学園の3年生で、同学園AR/MS部の部長。
昨年で既に頭角を見せており、鳥甲の紹介でも登場している。
空ノ宮高校の戦術や、自身の風貌から堅物と思われるが…?
元々はヒーローに憧れてAR/MSを始めたのだが、初回のぎこちないプレイを生暖かい目で見られた事で苦手意識が出たのと中学時代ミリオタの先輩達に指導を受けたことで現在のスタイルになった。陽原Dチームの戦いを見てファンになってしまい、ロールプレイの方向性が変わっている。(本人曰く蒙が啓けた。)
- 下村範久(しもむら のりひさ)
空ノ宮学園AR/MS部の顧問を務める男性教師。顔の下半分を覆ったひげが特徴で、ちょっと中年太りが入っている。
「楽しさ」を理解するファンキーな性格で、座右の銘は「知った事かよそんなもん」。
【串名田高校】(くしなだこうこう)
- 山田(やまだ)
AR/MSによる魔法少女イベントに参加した女子の一人。本名は4巻時点で不明。
イベントだけの登場かと思いきやインターハイにも出場しており、思わぬ活躍をすることになる。何故か強豪校の参謀ポジからの評価がうなぎのぼり。彼女の使用する「BUSTERS(バスターズ?)」の「オロチのヤマタ」の元ネタは魔法で盗賊から追い剥ぎする有名ライトノベルの外伝に登場する金魚のうんちと思われる。なお、単行本では出ずっぱりの主人公はともかく4巻、5巻と連続で表紙を飾っている。
【皐月川高校】(さつきがわこうこう)
- 橘米狸(たちばな めいり)
文字通りのワンマンアーミーで戦う運に左右されない筋書き通りの戦いを理想とする少女。一対多のみを想定したその歪な戦闘スタイルは山田から「痛々しい戦い方」と評された。
彼女が扮する「靂騎*極暁ラジカルマギカ」の元ネタは魔法少女…ではなく名乗り口上から神罰の地上代行者だと思われる。音声が存在しない作品にもかかわらず、オリジナルの歌を制作し、歌うほどの熱狂的ファン。『魚屋』の姪御であり、『魚屋』が日向達の修行中に阿頼耶識に来ていなかったのは彼女を鍛えるためだった。地造曰く『鬼才』。
AR/MSショップ&フィールド「阿頼耶識」
朝凪と空海が幼少期から通っていた、工業地帯の中にある怪しげなAR/MSショップ。現在は「若店長」と呼ばれる女性が店長の模様。
主に通っているのはAR/MSのメインユーザー世代から外れた社会人だが、常連は誰もが癖の強すぎる実力者ばかりである。
- 洞目地造(うつろめ じぞう)
阿頼耶識常連の一人であるAR/MS狂いのお爺さん。
普段は杖をついているが、ゲームとなれば近接戦闘が特異な朝凪を一方的に倒すほどの実力の持ち主。
- 洞目僂々(うつろめ るる)
阿頼耶識常連の一人で、先に紹介した地造の孫娘。
人見知り気味だが朝凪と空海に懐いている。ただ、空海は動きに予想を付けられない彼女が苦手。
血筋なのか環境のせいか、幼いにもかかわらず阿頼耶識のレベルに適応している。
- 道祖土華愛(さいど かちか)
阿頼耶識常連の一人。2巻カバー裏によると中学生の頃から通っている最古参。現在はOLをしているとの事。
幼少から付き合いのある朝凪と空海、特に朝凪は彼女に頭が上がらない。
難しいプレイを事もなげにこなす実力者だが、相手を色気で揶揄う事を楽しんでおり、ハラスメント違反すら戦法に組み込んでいる。
- 若月勉(わかつき いさお)
阿頼耶識常連の一人。本人曰くしがないサラリーマンとのことだが、実態は道場を持つガチ剣術の師範。名前や上記のセリフも含めてどう見ても同じタイトルのあの人のオマージュ
洞目地造とはAR/MS以外のいろいろな趣味においても同行の士である。
相手の気配から考えを先読みして手段を潰してくるため、空海からは「理不尽の権化」とまで言われている。
- 『魚屋』(仮称)
阿頼耶識常連の一人。単行本1巻予告では顔を見せていたが、本編では遅れて登場しており、正式名称は不明。
普段は温厚なのにゲーム時は珍妙な格好で奇声を発して襲い掛かってくるため、阿頼耶識の面々からも「一番性質が悪い」と評されている。米狸のおじに当たる。
その他の登場人物
- 風巻蔵人(しまき くろうど)
AR/MS開発主任。
AR/MSの説明動画に顔を出すことも多いようだが、飄々と説明しているかと思いきや、日頃の苦労からか途中から個人的な憤りの発言が飛び出すなど、過激な一面が飛び出すこともある。
ヤバい発言が飛び出すと周囲のスタッフが止めに入っているが、その後の動画感想を見る限りそれが日常茶飯事の模様で、AR/MSファンからは苦笑いされながら受け入れられている。
また、そんな形ながらもゲーム運営に関しては仕事は迅速で的確、追加要素や上方修正も一々的確と非常に優秀であると言う事も大きい。
- 玉響セツナ(たまゆら~)
「戦うコスプレイヤー」なる異名を持つAR/MSコスプレアイドルで、東京のインターハイ予選では実況を担当している。