DokiDokiLiteratureClubPlus!
どきどきりてらちゃーくらぶぷらす
詩と恋愛、そして恐怖に満ちた文芸部へようこそ!
※このゲームにはお子様や精神状態が不安定な方には適していません。
略称 | 『DDLC Plus』 『DDLC+』 |
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邦題 | 『ドキドキ文芸部プラス!』 |
開発 | Team Salvato / Serenity Forge |
対応機種 | Windows / macOS / Steam / Epic Games Store / PlayStation 4 / PlayStation 5 / Nintendo Switch / Xbox One / Xbox Series X / Xbox Series S |
ジャンル | サイコロジカルホラービジュアルノベル |
発売日 | 2021年6月30日(ダウンロード版)/ 2021年8月13日(macOS版)/ 2021年10月8日(パッケージ版)/ 2021年10月7日(アジア版) |
発売元 | Serenity Forge(ダウンロード・パッケージ版)/ PLAYISM(アジア版) |
レーティング | ESRB:M(17歳以上対象、海外版)/ CERO:C(15歳以上対象、アジア版) |
ゲームエンジン | Unity |
海外のTeam Salvatoが開発し、2017年にPCで発売されたフリーのサイコロジカルホラービジュアルノベルゲーム『Doki Doki Literature Club!(ドキドキ文芸部!)』(以降、オリジナル版)をベースに新要素を追加し、ビジュアルのHDリマスター化を行った完全版。
ダウンロード版
2021年6月30日(現地時間であり、7月1日とも発表されている)に発売。ただし、日本で発売されたのはPC(Steam、Epic Games Store)版とXbox(One、Series X/S)版のみである。macOS版は同年8月13日に発売。PlayStation(4・5)版とNintendo Switch版はアジア版と同時に同年10月7日に発売(海外先行販売である)。
パッケージ版とそのアジア版
2021年10月8日に発売(参照)。本来は2021年8月31日に発売予定だったが、新型コロナウイルス感染症による影響で二度延期されている。一度目の延期では同年9月21日に発売予定だった(参照)。対応機種はPlayStation(4・5)、Nintendo Switchのみであり、PC及びXboxでの発売の予定はない。カートリッジまたはディスク式。モニカが描かれたボックスアートは、SatchelyとLucidSkyが共同で制作したものである。Nintendo Switch版では、詩のノートをイメージしたリバーシブルジャケット仕様となっており、ソフトが置かれた場所の裏にモニカのちびキャラがいる。
日本を含むアジア地域で発売されるアジア版は、2021年10月7日に発売。パブリッシング・ローカライズはPLAYISMが担当。6月30日から予約が開始された。また、必ずパッチをダウンロードし適用してからプレイしてほしいと注意書きがされている。
パッケージ版では、初回特典として「Premium Physical Edition(プレミアムフィジカルエディション)」が収録。キャラクタースタンド4個セット(厚さ0.2mm、高さ5.5cm、両面、組み立て式)、フロッピーディスク型ペーパーカード(84mm x 84mm)に両面印刷したフルサウンドトラックダウンロードコード、ステッカーシール、ドキドキ文芸部メンバーズカード、モニカが書き下ろした詩(約115mm×170mm)が同梱されている。また、特典の付け方はビニールという簡素な梱包となっている。
サウンドトラックのダウンロードについては、WEBサイトでost.ddlc.plusと打ち込むことで、コードとメールアドレス入力画面に移動する。そこでカードに記載されたダウンロードコードとメールアドレスを入力、Serenity ForgeのEULAを了承し、「Redeem Code」を押すことで、自動でサウンドトラックのファイルがダウンロードされる。2021年10月11日には、ファイル転送サーバーに過度な負荷がかかり、サイトがメンテナンスの為ダウンする事態となったことが発表されたが(参照)、その1時間後に復旧し機能するようになったと発表された(参照)。同月14日には、Steamにてサウンドトラックがダウンロードコンテンツとして利用可能となった(Steamページ)。
アジア版では初回生産分のみに特典が付くようになっているが、海外版では、すべてのパッケージに特典があり、「限定版」や先行予約限定はないと明かしている(参照)。
Switch版はポエムノートインナーカバーシート、アジア版ではオリジナルしおり4個セットが追加で付属する。さらに、GEOではオリジナル予約特典として「Just Monika.スクエア缶バッチ」が付属している(参照)。
7話の長編サイドストーリー
新たに書き下ろされた本編を補足する前日譚となる。オムニバス形式の全7話。部員全員が初めて出会ってから親友になるまでや文芸部の入部までの経緯に焦点を当て、部員が共に人間的に成長する姿、部員同士の交流、そして友情と文芸を新規CG付きで描く物語となる。
ファンディスク的な内容で、キャラクターのペアごとに一つずつの合計六話のサイドストーリーとなり、Dan Salvatoによるとサイドストーリーの長さは全て含めると本編の半分以上になっているという。
アートワークはLucidSkyとSquChan、背景はvelinquent、音楽はVARIENが担当。またオリジナル版にてキャラクタアートを担当したSatchelyも協力しており、本作の為のアート作品も幾つか制作している。
新規楽曲と音楽プレイヤー
作曲家のNikki Kaelarが参加し、サイドストーリー用の13曲の新規楽曲を作曲。更に音楽モードにてミュージックプレイヤーがゲームに組み込まれており、カスタムプレイリストの作成や、曲のリピート機能も存在する。音楽プレイヤーには、ゲストのJason HayesとAzuria Skyが作曲した2つの楽曲も収録されている。ゲーム内の楽曲は全27曲となる。またサイドストーリーは、ミュージックプレイヤーでもアンロックされる。
オリジナル版の対応言語は英語のみだったが、日本語にも公式対応し、その他11言語(英語・簡体字・繁体字・韓国語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・スペイン語(ラテンアメリカ)・ロシア語・ポルトガル語)にも対応している。
日本語版の翻訳とローカライズに関して
日本語訳は、オリジナル版の非公式日本語化パッチの日本語訳が公式採用されているが、初期では反映が未完了であり残りは仮翻訳となっていた(参考)。
また初期は、日本語版ローカライズは直訳したような表現、キャラクターの呼称が統一されていない部分がある、詩などのフォントが内容やキャラクターに関係なく同じものになっているなど、粗く感じる部分が多く、非公式日本語化パッチよりも劣るものになってしまっていた。
これについては、PLAYISMが日本語訳とフォントに監修・調整を行った日本語・韓国語・簡体字版のパッチがアジア版発売と同時に公開予定であり、Steamの日本語版ローカライズもPLAYISMが監修したものにアップデートされる予定となっている。よってゲームに興味を持つ者には、それまではプレイを我慢するか、スペックを満たしたPCを持っている場合は無料のオリジナル版に非公式日本語化パッチを導入してのプレイが推奨されていた。
本作がNintendo Switchでも発売されることに際し、Nintendo Everythingにてゲーム制作者のDan Salvatoへのインタビューが行われており、インタビュー内では本作のコンテンツとその開発にも語っている(インタビューページ)。
DDLC再制作のきっかけ
これについてはこう語っている(以下、インタビューの文章を翻訳したものを記載)。
「DDLCにおいて文学はとても重要です。キャラクターは、多くのプレイヤーが強く認識しており、とても現実的で関連性のある不安と個人的な闘争を表現しています。これらのテーマを広げ、元のゲームでは許可されていなかった方法でキャラクターに対人関係を更に探求させる方法として、サイドストーリーを書きたかったのです。私にとって、フィクションはコミュニケーションの一つであり、普段は他人に表現できない感情やメッセージを伝えることができます。文芸部の部員を通し、お互いにもっと強い繋がりを感じている人もたくさんいると思います。それは、私たちが人生で経験していることの全てをサポートする強い要素にもなりえます。」 |
開発期間
これに関しては、本人自身も「色々なことが様々な時期に起こった為、開発にどのくらいの時間がかかったかは正確に言うのは難しい」と語っているが、2019年時点では既に作業を開始していたという。また2020年1月3日には、Dan SalvatoがTwitterにて「DDLCの新規コンテンツ(続編ではない)」のリリースを発表していた(参考)。
Serenity Forge
ゲームデザイン、マーケティング、パッケージのパッケージングなどの分野では、ビジョンを実現させる為にあらゆる種類の慣習を破る必要があった。多くの大規模な販売元では自分達のアイデアにブレーキをかけると思っていたが、Serenity ForgeはDDLCを使用する際に必要なニュアンスを深く理解し、そのアイデアを受け入れてくれたことが選んだきっかけと語っている。
さらに、Serenity Forgeには素晴らしい社内開発チームがあるらしく、プロジェクトへの熱い情熱がなければDDLCPlusは実現できなかったと言う程である。
プラットフォーム対応とフルHD化
様々なプラットフォームに対応する作業については、技術的な観点から、基本的にゲームは一から再作成する必要があり、全てを正常に行わせる為に細心の注意を払った為、骨が折れる作業だったという。またゲームコンテンツに関しては、PCとその他のコンソールが根本的に異なっている為、それも念頭に置く必要があったとも語る。
本作が1080pのフルHD化されている理由に関しては、オリジナル版の解像度が最高720pなのに対し、大画面でのプレイに適しているとはいえないと感じ、その他のコンソールに導入する一環としてビジュアルの解像度をアップグレードしたと語っている。だがその為に、ソースマテリアルを再検討し、全アートワークを1080p用にレンダリングするのは大変な仕事で、一部は再描画する必要もあったという(ただし、気づかない程にとても正確に行われている)。
サイドストーリー
サイドストーリーは前述の通りに、キャラクターの対人関係について詳しく説明するものとなっており、部員達がお互いに親友になる為に現実的な課題に直面する。コミュニケーションの問題に向き合い、否定的な感情に対処し、自分自身を振り返る、これらは自分達が成長して教えられるわけではないことで、プレイヤーは他人がこれらの共通の課題に直面するのを見ることで、自分自身についても更に学ぶことができるといった、DDLCの核となるテーマと共通するこの考えが追加のきっかけという。
翻訳
PLAYISMが日本語版に携わることになった経緯は、以前より懇意していたSerenity Forgeから新作の予定とアジア販売協力のパートナー探しの連絡を貰い、そこに飛びついた形となっている。
独自翻訳ではなく非公式日本語化パッチが採用された理由は、Team Salvatoがファンベースを大事にし、それを活かしたいという想いが強かったことにあるという。基本はキャラ付けや正確・口調などが非公式翻訳をそのまま活かしており、キャラ付けと方向性をより活かすために言葉の調整・整理、明らかに間違えている文法の修正をPLAYISMが行っている。大体で半分程度はそのままになっているという。
本作は海外産だが、日本の学校を舞台にしている為、生きている女の子の感じをどれだけだせるかを肝にされている。美少女ゲームもベースとなっている為、冒頭で可愛い幼馴染がぐいぐい来る所などもできるだけそういうノリを出そうとしていると語ってる。また、ファン翻訳のものに手を加えられるラインが不明瞭だった為、DDLC翻訳部とコンタクトを取り、確認しつつ進めたという異例の部分もある。
詩の翻訳については、作中にて詩を作る人物が4人いる為、各キャラクターの正確と書き方と考慮しながら、それぞれの詩の文体を作り、特徴をより伝わるよう翻訳されている。ナツキは何となく「少女漫画風」、サヨリは何となく「ポップな感じ」、ユリは何となく「文学風」、モニカは「切実な感じ」というように区分分けされ、大体そうなっていたファンローカライズも参考になっている。内容がゲームの展開を少し暗示していたりするのもあり、そういうのを分かりやすく絶対にバレないよう心がけている。ゲーム中では自分が書いた詩を自身が解説する為、その通りの詩にするのに苦労しており、パズルを解いているような心地だったと語っている。
本作は「日本語に翻訳したら意味が分からなくなる」といったシーンの台詞が存在するが、PLAYISMはどうしても意味が分からない英語ならではの言い回しやジョークなどは、『シルバー事件』、『Night in the Woods』、『グノーシア』を翻訳したPLAYISMのチームの英語ネイティブに聞いて確認を行っている。ミームとして流行し、ファンの間で大切にされているワード「Just Monika」に翻訳についてはまだ悩んでおり、そのままが実は一番いいのではと血迷った時期もあり、最後の最後まで悩むだろうと考えている。
プラス版の新要素の翻訳は会社・Riotlocが手掛け、PLAYISMが協力しながら、最後にアジアで売る為の調整が行われた。Steam版での初期翻訳はPLAYISMが一部手を加えたところがあり、ユーザーの反響を見つつ調整を行っている。意見はアジア版に反映しており、PLAYISMも本作の大ファンで、関われただけで満足だと語ってる。
コンテンツ警告
(参考:Updates to Content Warnings in DDLC Plus – Team Salvato)
ゲームに存在するコンテンツ警告リストにアクセスする方法が調整されている。オリジナル版ではセンシティブな内容をネタバレ有りでコンテンツ警告リストのURLを介してWebブラウザにて閲覧できたが、これを全プラットフォームで簡単にアクセスできるよう、ゲームを開始する前に、警告リストをゲーム内で表示するオプションが実装された。
またコンテンツ警告オプションが追加され、オプションがオンの場合、センシティブな内容を含むシーンの直前に小さな警告が表示される。これは、ゲーム内の設定メニューからいつでもオンとオフの切り替えが可能。Team Salvatoは、これらのアクセシビリティオプションが「ゲーム中のデリケートな部分について事前に警告を受けたいという方のための選択肢となることを願っている」と述べている。ちなみに、2020年発売のRPG『Ikenfell』を参考に設計されているとのこと。
データマイニングやMOD作成について
(参考:About DDLC Plus Datamining and Modding – Team Salvato)
本作では、全コンテンツがゲーム内で発見可能であり、データマイニングはゲーム要素として含まれておらず、外部ツールやソフトウェアを使用する必要もないという。
またオリジナル版で使用されていたRen’PyゲームエンジンではMODが簡単に実行できたが、ゲームエンジンがUnityに変更され再制作されたことにより、MOD制作や実行は困難を極めることも開発者によって語られている。それにより、開発者はMOD制作はオリジナル版で行うことを勧めており、またオリジナル版を削除するつもりはないことも明かしている。
検閲と演出の一部変更について
(参考:About Censorship – Team Salvato)
PlayStationやNintendo Switchでの発売により、本作は多方面から「規制され、内容の一部が検閲または変更されるでは」との声があった。その声にTeam Salvatoは「特定のシーンが削除されてしまう場合は、そのプラットフォームにゲームを公開しないことを以前から決定しており、本作はシーンが削除されているなどの基本的に大きな変更はない」と発言している。
ただしPlayStation 4/5版では1つのシーンの演出のみに一部視覚的な変更がされている。この変更はDan Salvato自身が決定し、Team Salvatoによりデザインの調整が行われており、シーンの心理的効果がまったく減ってない自信があると語っている。また、「シーンの心理的効果が損なわれるものでは一切ございません」と発言している。
また、海外向けタイトルが日本国内で発売されることに同じような不安の声が上がったが、PLAYISMはアジア版と海外版の違いに対し、全要素を審査機構に提出した上でのCERO:C(15才以上対象)でレーティングを取得し最終確認を行っているため、海外版との中身の違いはないと語った。
Amazonでは、TVゲームストアの予約数ランキングにて2021年6月27日~7月3日の期間でアジア版の、Switch版が4位、PS4版が8位、PS5版が10位にランクインし、売れ筋ランキングでは1位を記録。また、Serenity ForgeとTeam Salvatoから発売2週間で販売本数が50万本を突破したことが発表されている。
Steamでは売上トップで1位、またユーザーレビューでは96%が好評と評価している。Nintendo Switchのベストセラー(英語版)では最高3位を記録。Play Stationでは編集部が厳選したタイトルを薦める「Editors' Choice」(英語版、2021年)に選定されている。MetacriticのMetascoreでは85点を獲得した。
2021年10月7日に発売された週刊ファミ通の2021年10月21日号では、本作の発売記念特集が組まれた。作品の魅力と追加要素を紹介し、翻訳スタッフであるPLAYISMとDDLC翻訳部への、ローカライズするにあたってのこだわりを訊いたインタビューも掲載されている。同月4日には表紙も先行公開されたが、新規書き下ろしイラストではなく中央にモニカが写された表紙となった。
同年11月19日に、パッケージ版の発売を記念してNintendo Switch、PlayStation 4、PlayStation 5向けのパッケージが10部プレゼントされるキャンペーンが行われた。プレゼントは12月3日まで、受賞者は12月4日でランダムに選ばれることとなり、18歳以上を対象としている(プレゼントページ・参照)。
秋葉原では、文芸部の部員4人のデジタルサイネージが掲載された。