概要
アイテム番号:SCP-2006
オブジェクトクラス:Keter
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「おおこわいこわい」。
人間に恐怖を覚えさせる事に無上の喜びを感じ、人々を怖がらせる事を使命と考えている謎の存在。本体は直径50cmほどの球体をしているが、非常に高度な変身能力を有しており、普段からその能力を行使して本来とは異なる姿を取っている場合が多い。特に映画作品「ロボット・モンスター」に登場するキャラクターである「Ro-Man」がお気に入りのようで、最近は専らその姿を模している。
より多くの人々により深い恐怖に感じさせる事を望んでいるが、少なくとも現段階でSCP-2006が直接人間を傷付けるような行動に出た例は確認されておらず、むしろ性格的には割と無邪気。財団に収容されてからも接触するスタッフを恐怖に慄かせようとするが、それ以外は結構フレンドリーでインタビューにも特に問題なく答えてくれる。
度々人々を怖がらせようとするのは、それが自分の特技であり、そのような特技は最大限に活かすべきであると考えているため。また、どうすればより多くの人々を恐怖させる事ができるのかを常に研究する姿勢を見せている。Ro-Manの姿を気に入っているのも、このキャラクターが現在のSCP-2006の知る中で「最も恐ろしい存在」として君臨しているため。しかし、Ro-Manが登場するロボット・モンスターはかなり古い(1953年製)B級ホラー映画であり、当のSCP-2006の性格もあって本当に恐怖を覚えるような存在であるかは微妙と言わざるを得ない。
財団はSCP-2006に定期的にホラー映画を見せてその研究意欲を満足させており、その甲斐あってSCP-2006もその待遇に納得した上で大人しく収容されている。
しかし、SCP-2006が鑑賞しているホラー映画は、実は世間ではあまり受けが良くなかった作品、言ってしまえば「低質な」ホラー映画ばかりである。そんなものを財団は「これは卓越した恐怖を演出した名作ホラーだ」として見せており、それを鵜呑みにしたSCP-2006はその中の演出を再現するべく変身能力や演技力に磨きをかけている。
また、SCP-2006に接触する職員は、事前に様々な演技指導を受講し、「恐怖」や「驚愕」などを中心に自身の表現力を鍛えさせられる。SCP-2006の言動に対して適切なリアクションを取り、SCP-2006に「自分は今、格別な『恐怖』を演じている」と認識(誤認)させるためである。報告書にはその一部始終が記録されているが……なんというか、どこをどう取っても「恐怖」とは違う何かになっている。
しかし、何故そんなSCP-2006を騙すような形で収容しているのか。それはSCP財団の基本中の基本である「異常存在から人々を守る」という究極的な目的を果たすためである。
改めて確認するが、SCP-2006はKeter級オブジェクトの一つなのだ。
確かに無邪気でちょっとおバカ、どこか微笑ましささえ感じるSCP-2006だが、よくよく考えてみると到底無視できない問題をいくつか抱えている。
一つ、人々を怖がらせる事が大好きである事。
二つ、人々を怖がらせるためにどうすればいいか、その研究に余念がない努力家である事。
三つ、恐怖を演出するための変身能力に、現状「限界」が全く見られない事。
四つ、財団に仕込まれたもの以上の「恐怖」をSCP-2006は知らない事。
そして五つ、この世界にはSCP-2006が知らない「(本物の)恐怖」が溢れている事。
万が一SCP-2006が収容違反を起こし、世間に解き放たれてしまった時、以上の特性が一気に危険なものとなる。あくまで一例だが、テレビにたまたま「ゴジラ」が映っており、それを「恐怖」としてSCP-2006が認識してしまえば、SCP-2006はゴジラに変身して市街地に出現する事ができるようになる。根本的には違う存在とはいえ、あのゴジラが現実に顕現するのだ。そうなればいよいよ現実VS虚構なんて言っていられない。
勿論「恐怖」は映画の中だけの話では済まない。各種事故、事件、戦争、兵器、更には人々が抱く様々な妄想や恐怖症……。世間は思った以上に「恐怖」で溢れている。
それに財団の世界には映画の中の怪物よりも恐ろしい、それこそ特撮怪獣も真っ青なSCPオブジェクトや、それに対抗するために備えている様々な武力も存在する。最早SCP財団の施設内でさえ、安心してSCP-2006を放逐できる場所ではない。現在収容されているサイト118の気密収容室からさえも不用意には出せないのである。
確かに「今の」SCP-2006ならば脅威とは言い難いだろう。しかし、潜在的な危険性は決して否定できるものではない。だからこそコイツはKeterなのだ。