“チクタク”、カッコウ時計は刻む。
“カッコー”、中では鳥が鳴く。
チクタク、チクタク、チクタク、チクタク。
時の刻みは、ハートの刻み。
歌が聴こえるほど、長生きできる。
チクタク、チクタク、チクタク、チクタク。
よくお聞き、それが止まる時
雛鳥が家から飛び出してくる。
チクタク、チクタク、チクタク、チクタク —
聞こえたかい? 止まったかい?
坊や、それは時間切れという意味さ。
概要
アイテム番号:SCP-4975
オブジェクトクラス:Euclid
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「時間切れ」。
主にドイツにて、少なくとも1538年にはその存在が確認されていたらしい怪物。一部のドイツ民謡にもこの怪物との関連が見受けられるという。財団によって収容自体は完了しているが、未だ予断を許さない非常に危険な性質を持ち、現在Keterクラスへの再分類が検討されている。
おおよそ人型の姿をしながらも様々な鳥類の特徴を併せ持っている。嘴を含めた全身が硬化した外皮に覆われており、全体的に細長い長身のシルエットをしている。
頸椎が連結されていないらしく、これにより自在に首を曲げ伸ばしすることができる。また、首の中の骨(椎骨)を一定のリズムを刻むようにしながら常に回転させており、「チクタク チクタク」と時計のような音を立てている。
四肢は末端が途切れたような先細りの形状で、鎌のような両腕を武器として振り回し、獲物を殴打し、引き裂くようにして殺害・捕食する。主食は人間であり、一般的な成人男性一人でおよそ3か月分の活動が可能らしい。
獲物と認識した相手を非常に長い期間尾行し続ける。その期間は数か月以上に及ぶ場合もあり、しかも狙われている間はターゲットの耳には常にリズミカルなチクタク音が聞こえ続け、精神を擦り減らされ続ける。
そしてある時、ターゲットは突然このチクタク音から解放されるが、同時に謎の怪物の存在をハッキリと認識し、パニック状態に陥る。ただし、この怪物の姿はターゲットにしか見えない幻覚のようなもので、仮にその怪物が見えている場所を指定されても他の人の目には異常な存在は何も見えず、攻撃を仕掛けても当たらない。
そしてその後間もなく、ターゲットは謎の力で体をその場に固定され、ほとんど抵抗できないまま不可視の猛攻を浴びせられる。引き摺ってでもその場から引き離そうとしても、ターゲットの体の方が裂けてしまい、余計にダメージを大きくするだけで救出することはできない。
当然の如く最後にはターゲットは絶命してしまう。するとその直後からその肉体は徐々に細切れにされ、その肉片が死体から完全に分離するや否や消失してしまう。
この一連の異常事態、傍から見れば何が起こっているのか全く分からないが、ターゲットが幻覚によってパニックを起こしている間、SCP-4975が首の回転を止めて一定の方角を凝視し続ける姿、そして死亡したターゲットの肉片が消えていく中、特に餌を与えられていなかったはずのSCP-4975が、明らかに何かを食べているような挙動を見せている姿が監視映像に記録されていた。
実は上述した異常事態の全てがSCP-4975の狩りと捕食行動。SCP-4975は一種の念動力のような特殊な力を使い、距離や物理的な障害に関係なく獲物を狩り、捕食する能力を持っている。これがこのSCPオブジェクトが有する最も危険な異常性と言える。
同時にSCP-4975の鳴らすチクタク音が止まった時こそターゲットにとっての「時間切れ」なのだ。
最初に記したようにSCP-4975自体は既に財団によって確保されており、現在も鋼鉄製の収容室に封じ込められている。しかし、ドイツ国内では今なおSCP-4975が関与していると思われる事案や目撃報告が相次いでいるという。