概要
かき氷の歴史は古く、平安時代には小刀で氷を削ってかき氷を作ったとする記録が存在する。
しかし常温では刻々と溶けゆく氷から口当たり良くかき氷を作るには、素早く均質な厚さで氷を削る必要があった。
その内鰹節と同様に鉋をひっくり返した様なスライサーで削る様になったが、それでも体温を奪って溶解が加速する上ツルツル滑る氷の扱いはなかなか難儀する物であった。
転機となったのは明治16年、東京製氷会社の設立によって機械氷が一般的な物となりかき氷が庶民の間にも夏の風物詩として浸透した事による。
明治20年には氷商の村上半三郎が現代と同じ構造をした氷削機の特許を取得しており、機械式かき氷機の歴史が始まった。
しかし鋳鉄製の機械は当時まだ高価な物であり、一般の店に普及するのは更に日本の重工業化が本格的に進行する数十年の時を必要とした。
昭和40年代、家庭に冷蔵庫が普及した事でかき氷機も家庭用の簡易版が普及した。
業務用かき氷機
飲食店や屋台などで大量のかき氷を高速で掻く事に特化したかき氷機。
半貫目氷と呼ばれる一辺13cm前後の板氷を専用に削る機種が多く、フワフワのかき氷を作るには刃の微調整や氷を解ける寸前まで温める等相応の下準備が必要である。
日本では中部コーポレーションの初雪と池永鉄工のSWANが二大ブランドであり、戦後の復興期から今日に至るまで熟練職人の手仕上げで製造が続けられて居る。
氷削機
昭和時代にかき氷屋のトレードマークであった手動式の大型かき氷機。重い角氷を載せて激しく動かすため鋳鉄でどっしり作られており、清涼感を演出する水色に塗装されて有る事が多い。
半貫目氷を刃の上に置いて氷抑えの間に挟み、垂直の大型ハンドルを回す事で氷抑えが氷を回転させて削る仕組み。
平成時代には電動式に押されたが電源が無くても使用可能であることから屋台や移動販売等の仮設店舗で一定の需要があり、近年昭和レトロブームが追い風となって出荷・採用台数は回復傾向にある。
ブロックアイススライサー
半貫目氷を電動で回転させて削る大型のかき氷機。平成以降専門店の主流となった方式
氷を回転させながらハンドルで刃を繰り出して削る為、氷の粗さを簡単に微調整出来る。
過渡期には氷削機にモーターを後付けして電動と手動の両方で稼働が可能な代物も存在した。
キューブアイススライサー
製氷機や製氷皿のバラ氷からかき氷を製造する機械。
業務用の製氷機で飲料向けに大量の角氷を消費する飲食店での採用が多い。
半貫目氷と違って角氷を投入するだけで手早くかき氷が作れるが、不定形な角氷に対応する為に内部の遊びが大きく取られて居り作られるかき氷は粒の粗いシャリシャリ氷になる。
かき氷自動販売機
昭和時代に製造された、冷凍状態の氷を自動で削って盛り付ける自動販売機。他の調理型自販機と同様に、可動部分の多さから保守面で敬遠され現存機数は少ない。
家庭用かき氷機
一般家庭での使用を前提とした、一人前のかき氷に特化した容量を持つ小型のかき氷機。家庭用製氷皿のバラ氷に対応した機種が多いが、大抵の場合一人前の氷を掻くのに丁度良い製氷皿が付属してくる。
ペンギンやホッキョクグマ等の寒冷地の動物ドラえもんやアンパンマン等の丸っこいキャラクターを象った児童向けの小型機も定番であり、Pixivでは未発売のキャラクターをかき氷機に変えた「かき氷機化」と呼ばれる器物化のジャンルが存在する。
手動式かき氷機
手動でハンドルを回す事で氷を切削する家庭用のかき氷機。安価な機種では頂上部のハンドルをX軸方向に回転させる簡易型が代表的だが、縦方向に氷を抑えながら回す必要がある為回し方には力が要る。業務用の氷削器をそのまま小型化した様な中型機も存在する。
ハンドルに連動して目線が動く機構で昭和時代のベストセラーとなった、タイガー魔法瓶の「きょろちゃん」同社は既に撤退済みだが、昭和レトロの代名詞として度々復刻されて居る。
電動式かき氷機
家庭用の100V電源で動く小型のかき氷機。頂上部の押し釦スイッチを押す事で稼働する機種が多い。設置型のかき氷機のみならずスパイスミルの様に手に持って盛り付けるハンディタイプも存在するが、電動モーターと氷を合わせると結構な重量となる為主流となってはいない。