概要
江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の大政奉還後に起こった戊辰戦争を経て旧幕府勢力を一掃した後、主に薩長土肥出身者や討幕派の公家により発足した新政府のこと。
名目上、太政大臣に就任した三条実美が内閣のトップであったが実権はなく、内務卿を勤めた大久保利通が内閣を主導した。内閣制の採用後、現在まで続く日本政治の基礎となった。
創作における明治政府
広く知られているのが週刊少年ジャンプで連載された「るろうに剣心」で描かれる明治政府である。主人公緋村剣心が幕末に戦っていた頃の同志であった明治維新を成し遂げる志士達によって創設された。
表面上は新時代の日本の象徴とされているが、その裏では幕末の頃から続いている血なまぐさい権力抗争が行われており、政府にとって不都合な過去の悪事や関係者を闇に葬る等、政治的な負の部分が多く描かれている。
特に不都合な存在を闇に葬る所業がのちに政府にとって脅威となる国家転覆を画策する志々雄一派誕生の最大要因となっている。
また、明治政府には大久保利通のような良識的な人物も属しているものの、全体的には健全とは言い難く、官僚となった維新志士の多くが悪い意味で保守的な者ばかりで作中では保身のために利害の一致で暗殺者と結託して政敵を始末する汚職官僚も登場していた。
それらの事情から、相楽左之助のように明治政府を嫌っている者も多いが、曲がりなりに犯罪に対する抑止力になっており、西南戦争で疲弊した中でも勢力としては強固と言える。政府を嫌う左之助も「散発的な一揆で揺らぐほど明治政府はヤワじゃない」と評している。
しかし、一方では戦力のほとんどを警察や軍隊に依存しており、官僚自身は戦いから遠ざかった日和見主義者ばかりで暗殺などといったピンポイントの襲撃に弱く、京都編で大久保が志々雄一派に暗殺された途端に官僚達が報復を恐れて保身に走る体たらくであった。